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2025年9月(令和7年)に、経済産業省が新たに定義する**「GX ZEH」および「GX ZEH-M」が発表されました。
従来のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、「家庭で消費する一次エネルギー量を実質ゼロにする」ことが目標でした。
一方GX ZEHは、断熱性能や省エネ設備、再生可能エネルギー、そしてエネルギーマネジメント(HEMS)+蓄電池の制御まで含めた、より広義の定義へと進化しています。
GX ZEHは性能水準に応じて4段階に分類されます。
| 区分 | 特徴 | 一次エネルギー削減率(再生エネルギー除く) | 設備要件 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| GX ZEH+ | 外皮性能・省エネ設備が最高水準。蓄電池必須 | 115%以上削減 | 蓄電池・HEMS必須 | 実質エネルギー供給住宅 |
| GX ZEH | 標準的なGX基準。ゼロまたはマイナス | 100〜115%削減 | 蓄電池・HEMS必須 | 新築住宅の主流基準に |
| Nearly GX ZEH | GX達成を目指す先導住宅 | 75〜100%未満削減 | 蓄電池・HEMS必須 | 移行期モデル |
| GX ZEH Oriented | 都市部・多雪地域対応。再エネ導入なしでも可 | ― | 設備要件ない | 敷地条件に配慮 |
いずれも断熱性能等級6以上、一次エネルギー消費量35%以上削減が共通条件です。
この基準は2030年に向けた新築住宅の省エネ義務化の布石とされています。
GX ZEHでは、省エネ性能に加え「エネルギー自立性」が必須条件に。
具体的には次の2つの要件が義務化されます。
経済産業省は、第6次エネルギー基本計画(2021年)で次の目標を掲げています。
2050年までに、住宅ストック平均でZEH水準の省エネ性能を確保する。
2030年度以降の新築住宅はZEH基準を標準化。
GX ZEHの登場は、この政策目標を実現するための明確なステップです。
今後、新築住宅におけるZEH相当の性能が実質的に義務化されていく流れが確立しました。
今後は、国・自治体の支援策とともに、住宅会社の提案力と技術力が問われる時代になります。
GX ZEHは、省エネだけでなく「エネルギーを賢く使う家」への転換点です。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅業界全体がGX化(グリーントランスフォーメーション)へと進み始めています。
これから新築を検討する方、住宅会社・設計事務所の方は、
「ZEH対応」ではなく「GX ZEH対応」を前提とした設計・提案へシフトしていくことが求められます。