集客数を安定するためには手法論も大事ですが、本質的には集客の構造自体をアップデートしていく必要があります。安定して集客が取れているところの集客構造は、チラシ広告、ウェブSNS広告をきっかけとしたホームページからの予約などのダイレクト来場が5~6割。資料請求や会員登録などのリード獲得からのインサイドセールスによるアシスト来場が2~3割。その他紹介や看板、TVCMなどの認知媒体からのリファラル来場が1~2割といった割合です。集客が安定していない会社ほど、ダイレクト来場の割合が高い傾向にあり、たまたまイベントが当たった、広告が当たったときは集客が爆発しますが、ダイレクト来場一本足だと経営上、不安定だと言えます。
そうしたときにポイントとなってくるのがリード獲得からのインサイドセールスによるアシスト来場です。ただ来場数で見た場合、割合的には2~3割なので決して多く集客が取れるわけではありませんが、ある地域一番店だとダイレクト集客からの契約率は8%だったのに対して、アシスト来場からの契約率は約3倍の25%でした。極端な事例かもしれませんが、契約率だけで見れば、ダイレクト集客が10%、アシスト来場15%、リファラル来場25%で、全体の契約率が15%前後といった感じです。紹介を含めたリファラル来場は当然ながら、アシスト来場を獲得していくというのは集客以上に契約にインパクトを与えることがわかります。リード獲得で最も有効なのはポータルサイトですが、予約は入ったのに来場キャンセルが相次いでいるという現象が行っています。その理由を探るとともに今回は対策をお伝えしていきます。
リード獲得も大きく2つの経路にわかれます。ひとつは自社サイトを経由した資料請求や会員登録からのリード獲得と、もうひとつはポータルサイトを経由したリード獲得です。会社側からすれば“反響”や“名簿”とひとくくりになりますが、実態は全く違います。インサイドセールスによるアポ率は、自社サイトを経由したリードからの方が高い傾向にあり、KPIは25~30%です。10件反響があれば、2~3件の来場アポを獲得するイメージです。一方、ポータルサイトはポータルサイトごとでアポ率は変わります。
全国的に展開しているポータルサイトで言えば、アポ率のKPIはスーモ10~15%、ライフルホームズ15~20%、タウンライフ20~25%です。こうした違いが出るのは、それぞれリーチしている客層が違うからです。例えばスーモはTVCMなどの露出度も高くSEOも強いので、主に住宅検討初期段階の客層にリーチしています。よって反響後すぐにインサイドセールスを行っても「考え始めたばかりなので…」と言われてアポが取りにくい傾向があります。反対にタウンライフはTVCMなど一切行っていないので認知度はありませんが、アフィリエイト広告が中心なので家づくりに興味関心があるユーザーにしか広告を配信していませんので、比較検討段階の客層にリーチしています。そのためポータルサイトの中では最もアポが取りやすい傾向にあります。このようにポータルサイトごとにインサイドセールスとナーチャリング(来場を獲得するための中長期フォローによる顧客育成)を変えていく戦略も有効です。
それではなぜ自社サイトからとポータルサイトからと比べてアポ率が違うのでしょうか?それは自社への認知理解度と期待値の違いです。ホテルの予約サイトを例にあげてお伝えするとわかりやすいかもしれません。各社で若干違いはあるかもしれませんが、基本的に予約サイトよりもホテルの自社サイトから直に予約する方が安く予約ができます。その筆頭は「アパ直」を展開するアパホテルでしょう。アパホテルに限らず、ホテルのエレベーターに乗ると自社サイトからの予約を促すPOPを貼っているのを目にします。予約サイトに支払っている費用を抑制したいなど理由は様々ですが、最大の理由はリピート率です。出張族のサラリーマンなどは、出張先は違えど“いつものホテル”に泊まることが安心感につながります。所謂、定宿です。
自社サイトからのアポ率が高い理由は、すでに何かをきっかけに自社のことを知って上で、わざわざ検索して流入している客層だからです。そこがポータルサイトの一括資料請求やポータルサイトで初めて知って、一先ず資料請求する客層とは大きく自社への認知理解度と期待値が違います。勿論、ポータルサイトからの反響客は、インサイドセールスですぐにアポが取れなかったとしてもマーケティングオートメーションで追客して、自社への認知理解度と期待値を高めていくためのナーチャリングは有効です。このようにポータルサイトからの来場がないという状況で「やめた方がいいか?」という相談をよく受けますが、ポータルサイトをやめるという判断をする前に自社のインサイドセールスとナーチャリングの仕組みを構築する方が賢明です。あとは成果の有無は来場だけでなく、自社を認知したきっかけがポータルサイトである場合も多いので、そのあたりのことも含めて正しい判断をすべきだと思います。
ポータルサイトからアポが取れたのに、来場キャンセルになる理由と対策についてお伝えしていきます。対策を講じる前に、アポ客が来場キャンセルに至る理由を顧客目線で考える必要があります。あるクライアント先でキャンセル理由を調べたところ、①アポが取れたあと連絡がつながらない②子供の体調不良による日程変更で連絡があったがそのあと連絡がつながらない③他決及び家づくり断念の3つでした。この3つの理由は一見違うように見えますが実は同じです。それは来場前に自社に対する理解度と期待値を上げることができなかったためです。
自社サイト経由からとは異なり、そもそもポータルサイト経由の客層は、基本的にポータルサイトをきっかけに初めて自社を認知した客層です。そして必ず比較している競合がいます。その前提に立って対応しないと、来場当日まで何もしないというのでは論外ですが、自社への理解度と期待値を高めるための仕組みがあるか?それを営業が実行しきれているかどうか?が重要です。よく「資料は送った方がいいですか?」という質問を受けますが、資料は送らないよりは送った方がいいに決まっていますが、顧客目線で考えれば、他社を凌駕できるほどの立派な資料であれば別ですが、そうでなければ郵送するよりもルームツアーや社員紹介の動画を作成して、送料をかけずにURLをメールやSNSで送信するが効果的で経済的です。ポータルサイトからの予約は入ったのに来場キャンセルになっているのは、そうした顧客に寄り添った対応のアップデートができていないからなのです。