「売上〇億円の壁」「社員数〇名の壁」と呼ばれ、これまで順調に成長してきたにも関わらず、ある段階でピタッと成長が停滞してしまうタイミングがあります。踊り場という表現もできますが、注文住宅会社の場合だと「売上10億円(棟数換算で約50棟)」「社員数20名」に壁が存在します。壁を言い換えると成長ステージです。なので本当の壁はその手前に存在し、売上10億円と社員数20名の成長ステージにある壁は売上8億円で社員数15名です。
経営を登山に例えるなら、日本で一番高い富士山を登るにはそのための準備と装備が必要です。つまり次の成長ステージに挑むということは登る山がこれまでとは異なるという認識が必要です。そのために準備と装備は変えていかなければなりません。今回は着工棟数の減少…採用難…資材高騰にもかかわらず注文住宅で成長し続ける地域密着ビルダー特集の第1回目をお伝えさせていただきます。
奈良と京都南部を中心に展開する「楓工務店」という地域密着ビルダーがあります。同社は「笑顔を創造し続ける」経営理念の実践によって、新卒採用・育成の仕組みを独自に構築し、マルチブランド戦略により2007年に設立以来、社員4人から100人を超える規模への急成長を実現されています。そうした定量的な成長だけでなく、2019年から3年連続で「働きがいのある会社ランキング(小規模部門)」でベストカンパニーを受賞されました。
またITを駆使した斬新な経営スタイルにも業界内で注目が集まっていますが、注文住宅で50棟を突破し100棟を超えて成長し続けている背景には2つの成長戦略がありました。この成長戦略が冒頭でお伝えした日本一を目指すための準備と装備なのです。ではどのように「売上10億円(約50棟)」の壁を突破したのか?まずは50棟突破する前の状況からお伝えします。
注文住宅ビジネスは、生産要素に占める資本の割合が低く、労働との結合度の高い労集約型産業です。なので業績が低迷している工務店に共通するのは、集客数や契約数が減少していることではなく営業人員数が減っていることです。つまり「売上10億円(50棟)の壁」を突破するために不可欠なのは採用です。東京や大阪などの大都市圏とは違い、地方都市でしかも中小企業となれば、経験者だけの採用自体が難しく、それでは社員数は一向に増えていきません。
成長戦略の1つめは、社員数を増やすために知識や実務経験のない新卒学生を積極的に採用することに舵を切られたことです。一方で費用をかけてやみくも採用してもすぐに辞められてしまっては採用コストはかさむばかりです。しかも対象となるのは、これまで採用してきた経験者ではなく新卒学生の育成です。採用は計画通りに進んでも同時に育成の仕組みがなければ成長できません。それが成長戦略の2つめです。
採用と育成の両輪は「売上10億円(50棟)の壁」を突破するためだけに必要な成長戦略ではありません。その次の成長ステージにあるのは「売上50億円(200棟)の壁」です。地方都市となると1エリア1拠点で200棟を突破することは難しく、店舗展開が必須になってきます。そうしたときに積極採用と育成の仕組みがなければ足踏みすることになります。因みに、最初は新卒や未経験中途の育成で、次は幹部社員やハイパフォーマー社員の育成と成長ステージごとに育成強化の対象は変わってきます。
成長戦略の2つめは、新卒社員でもすぐに活躍できるように業務の統一化とマニュアル化を推進されたことですが、この仕組みを構築するための最大の障壁は、マニュアルを作成することではなくではなく、業務における属人性の排除です。遠慮せず包み隠さず言うと、そうした変化に抵抗するベテラン社員を会社が向かうべき方向に向かせることなのです。むしろベテラン社員が率先して取り組まなければ育成はうまくいきません。この壁を突破し次の成長ステージに歩み出していけるのは、社内で唯一社長しかいません。トップの経営者で99.9%決まるのです。
楓工務店の社長の田尻氏が講演された2024年6月「注文住宅のみで50棟達成セミナー」より、約35分の成功事例動画のダイジェスト版を無料で公開中。ダイジェスト版動画の視聴はコチラから!フルバージョン動画を無料で視聴できる!お申し込みはコチラから!
コンサルタントに支援をいただいているのは、ノウハウをもらえることと時間の短縮ができることだと思っています。でも最初は拒否反応がありました。なんでそこまで事業成長をさせる意味があるのかな?と。事業成長よりも社員の成長や満足度の方が重要だと思って響きませんでした…続きはクライアントボイスで!