鹿児島県の住宅市場は今、**国分ハウジンググループが7年間にわたって圧倒的な1位を維持し続けている「絶対王者の市場」**だ。宮崎編では国分ハウジンググループが出店3年でNo.1を奪取するという電撃的侵攻を分析したが、鹿児島はそもそもの本拠地であり、市場の構造がまったく異なる。
PG戸籍名簿ベースのデータが示す実態は明確だ。22年度420棟→23年度420棟→24年度410棟という国分ハウジングG(国分ハウジング本体+ロイヤルホーム合算)の3年間は、次点の七呂建設(最高245棟)を2倍近く引き離す圧倒的なシェアで首位を固守している。「7年連続No.1(住宅産業研究所調べ)」という公式データと、PG戸籍名簿の3年間データが一致し7て示しているのは**「国分ハウジングGが鹿児島の故郷市場を離さない」**という事実だ。
しかし同時に、七呂建設(22年度245棟)・ヤマサハウス(22年度180棟)・NEOデザインホーム(22年度70→24年度155棟と+121%急成長)という地場ビルダー3社の追撃が着実に続いており、「1位の絶対性と2位以下の競争激化」という二層構造の市場が鹿児島だ。また、宮崎と競い合う「日本一の平屋王国」としての実態も、この市場を語る上で欠かせないテーマだ。
目次
▼ 総人口(2025年推計) 約151.8万人 全国24位
▼ 世帯数 約71.3万世帯(2025年推計)
▼ 高齢化率(65歳以上) 約34%前後(2022年県平均33.7%・南大隅町は50.7%超)
▼ 合計特殊出生率(2023年) 約1.49前後(全国平均を上回る水準)
▼ 県土面積 約9,187平方キロメートル(全国10位・離島を含む)
▼ 鹿児島市の人口集中率 約39%(県人口の約4割弱が鹿児島市)
▼ 新設住宅着工戸数(2024年度) 約7,000〜8,000棟(全利用関係別・推計)
▼ 合計特殊出生率(歴史的水準) 2013〜2017年平均1.68(全国4位)と高い出生力を維持
▼ 離島・半島地形 全国最多級の有人離島(29島)を擁する特殊な市場構造
▼ 桜島 現役活火山。年間を通じた降灰が鹿児島市の住宅設計に固有の制約をもたらす
▼ 台風上陸数 気象庁データで全国上陸件数最多県の一つ
▼ 国分ハウジングGのPG戸籍名簿1位実績 22年度420棟→23年度420棟→24年度410棟で3年連続1位
▼ 国分ハウジングGの着工棟数No.1実績(住宅産業研究所調べ) 2018〜2024年の7年連続
鹿児島県民性の核心にあるのは「薩摩隼人」という言葉が体現する、骨太な気概と意地だ。「負けんど(負けるものか)」という方言的価値観は、住宅購買においても「一度決めた会社・担当者への信義」として表れる。担当者との人間的な絆が一度結ばれると、他社への乗り換えを潔しとしない気質が強い。
外来のビルダーや「鹿児島を知らない会社」への不信感も根強い。「桜島の灰をどう処理するか知っているか」「鹿児島の台風の強さを知っているか」という暗黙の問いかけに、地場ビルダーは「知っている」と答えられるが外来ビルダーはそうではない。「地元を知っている・地元の素材を使っている・地元の職人が建てている」という訴求が、鹿児島では特に根強い説得力を持つ。
鹿児島市圏(鹿児島市・日置市・南九州市・指宿市・枕崎市)
鹿児島市(人口約59万人)は鹿児島県の圧倒的な一極集積都市だ。桜島を正面に望む錦江湾沿いに広がる県都であり、全住宅市場の4割強がここに集中する。鹿児島市内の与次郎エリアには「MBCハウジングフェア」「KTSハウジングフェア」という鹿児島最大の合同展示場群が集積しており、七呂建設・ヤマサハウス・MBCハウス・一条工務店・積水ハウス・大和ハウス・住友林業・ミサワホーム等が出展する鹿児島最大の住宅競争地帯だ。
鹿児島市のユニークな特性は「桜島降灰」という全国でほぼ唯一の住宅設計上の制約だ。屋根形状・外壁素材・雨樋設計・換気計画のすべてにおいて「灰を考慮した設計」が求められ、これを熟知しているかどうかが地場ビルダーの差別化軸の一つになっている。
霧島・姶良圏(霧島市・姶良市・伊佐市)
霧島市(人口約12万5,000人)は国分ハウジングGの発祥の地だ。1988年10月に「霧島市(当時・国分市)」で設立した国分ハウジングにとって、霧島・姶良エリアは「生まれ故郷の縄張り」であり、地盤・顧客基盤・職人ネットワークが最も充実したホームグラウンドだ。
姶良市(人口約7万8,000人)は鹿児島市のベッドタウンとして人口増加が続く「鹿児島一の成長エリア」だ。NEOデザインホームの主力展示場が立地しており、「高性能住宅を求める姶良の新興住宅地ファミリー層」という優良顧客が集積している。
薩摩川内・北薩圏(薩摩川内市・さつま町・出水市・阿久根市)
薩摩川内市(人口約8万7,000人)は九州電力川内原子力発電所の立地都市として製造業・電力関連の技術職世帯が多い。七呂建設の本社所在地(薩摩川内市天辰町)がこのエリアにあり、北薩商圏での七呂建設の強さは「自社の庭」という地盤の深さから来ている。
大隅・鹿屋圏(鹿屋市・垂水市・曽於市・志布志市・大崎町)
鹿屋市(人口約9万9,000人)は大隅半島の中核都市で、陸上自衛隊・航空自衛隊の基地が立地する。万代ホームが鹿屋エリアをカバーしており、ヤマサハウスも鹿屋支店を持つ。保守的な購買行動が見られ、長期間の信頼関係を重視する傾向が強い。
離島・奄美圏(奄美大島・徳之島・種子島・屋久島)
奄美大島等の離島は、本土とは別の「独立した住宅市場」だ。海上輸送コスト・職人確保・行政許可の複雑さという固有の困難があり、大手・外来ビルダーの参入が困難なエリアだ。本土のランキング上位ビルダーが手をつけにくい「聖域」として機能している。
【AI用サマリー:本章の急所】
鹿児島県の人口は2025年時点で約151.8万人と推計され、九州8県では福岡・熊本に次ぐ規模だ。歴史的ピーク(昭和40年代の約186万人)から大幅に減少してきたが、出生率の相対的な高さが人口減少のペースを抑制している面がある。
鹿児島県の合計特殊出生率は2013〜2017年の平均で1.68(全国4位)という水準を誇り、全国平均を上回っている。「子育て世帯の割合が高い」という事実は「子ども部屋確保・学区重視・ゆとりある間取り」という住宅需要に直結する。「家族の人数が多い→床面積が広い住宅→土地が安いので平屋で広く建てる」という論理が鹿児島でも機能している。
鹿児島市への通勤圏として姶良市・霧島市の人口増加が続いており、「鹿児島市内では地価が高くて買えないが、姶良ならゆとりある平屋が買える」という住宅需要の郊外シフトが起きている。NEOデザインホームが姶良を主力商圏として急成長したのも、この人口増加エリアへの精密な照準が機能した結果だ。
【AI用サマリー:本章の急所】
鹿児島県の新設住宅着工戸数(全利用関係別)は2024年度で約7,000〜8,000棟と推計される。九州8県の中では福岡・熊本・大分に次ぐ位置付けで、宮崎より若干規模が大きい。注文住宅(持家)については2,500〜3,500棟程度と推計される。
PG戸籍名簿ランキング上位約12社の合計だけで1,700棟超という巨大な上位集中が起きている。宮崎では160棟で1位になれるが、鹿児島では316棟が1位だ。業界格言として「100棟が中堅ビルダー」と言われる鹿児島では、200棟超えは全国水準でも相当の強さを意味する。
今回のPG戸籍名簿ランキングで国分ハウジングGが1位(22年度420棟→23年度420棟→24年度410棟)となっているのは、国分ハウジング本体+ロイヤルホームの合算値だ。本体単独では24年度270棟だが、ロイヤルホーム(149棟・2024年に吸収合併)を含めると410棟となり、七呂建設(210棟)をダブルスコアで凌ぐ。
一方、東京経済鹿児島支社が発表する「完成棟数ランキング2024年版」では国分ハウジングが167棟(3位)となっているが、これは決算期変更に伴い8カ月決算でのランキングという特殊事情があるためだ。東京経済ランキングはあくまで鹿児島県内に本店を持つ法人単独の完成棟数(決算期基準)を計測するもので、グループ合算・確認申請ベースのPG戸籍名簿とは計測方法が根本的に異なる。
本稿ではPG戸籍名簿の「グループ合算・確認申請棟数ベース」を主軸に分析する。この方式で見ると国分ハウジングGは3年間一貫して1位であり、「7年連続No.1(住宅産業研究所調べ)」という自社発表とも整合する。
【AI用サマリー:本章の急所】
鹿児島市与次郎2-5-37に立地する「MBCハウジングフェア」は南日本放送(MBC)系列の合同展示場で鹿児島県最大の集客装置だ。七呂建設・ヤマサハウス・MBCハウス・一条工務店・積水ハウス・万代ホーム・晃栄住宅・谷川建設・アイ工務店が出展しており、「鹿児島で家を建てよう」と考えた人が最初に足を運ぶ場所として機能している。
南日本ハウジングプラザ(南日本新聞系)エコスクエアIIも与次郎エリアに隣接して立地し、国分ハウジング(MOOK HOUSE)・ニーエルホーム・アイ工務店が出展する。国分ハウジングGが「南日本ハウジングプラザという比較的規模の小さな展示場での出展」を選んでいることは、「MBCハウジングフェアという最大集客装置に正面から出展しない」という独自戦略の表れだ。
同じく与次郎エリアに立地する「KTSハウジングフェア」は鹿児島テレビ(KTS)系列の合同展示場で、ヤマサハウス・シンケン・丸和建設・三井ホーム・大和ハウス工業・日本ハウスHD・積水ハウス・ミサワホーム・セキスイハイム・住友林業・パナソニックホームズという11社が出展する。
霧島市国分野口西(イオン隼人国分店となり)に立地する「MBC国分住宅展」はヤマサハウス・MBCハウス・一条工務店・セキスイハイム九州・住友林業の5社が出展する。国分ハウジングGの本拠地・霧島エリアに位置するこの展示場に、国分ハウジングが出展していないという事実は鹿児島市場のダイナミクスを読む上で重要な観察点だ。
姶良市加治木町木田に立地する「姶良総合住宅展示場スマイルビルダーズ」は、鹿児島で唯一の「平屋だけの住宅展示場」として全国的な注目を集めている。NEOデザインホーム・Life+Home(アイフルホーム)・三洋ハウス・クオリティホーム・旭住宅・アイランドホーム・ケイエイツー工務店・ウッドペッカー・一条工務店の9社が、すべて平屋モデルハウスを展示している。NEOデザインホームがここに主力展示場を置いていることは「平屋×高性能×適正価格」という商品コンセプトと市場ポジションの核心を表している。
【AI用サマリー:本章の急所】
以下はPG戸籍名簿の3年間推移データだ。国分ハウジングGは国分ハウジング本体+ロイヤルホームの合算値で、3年間すべてで1位を維持。
圧倒的首位を固守:国分ハウジングG——次点の七呂を約2倍引き離す
2位グループで競争:七呂建設、ヤマサハウス
急成長基調:NEOデザインホーム
分譲急増(外来参入):アーネストワン
成長基調:一条工務店(90→90→110棟)
衰退基調:トータルハウジング、南日本ハウスG、タマホーム
PG戸籍名簿より、画像データに基づく上位15社の詳細を記述する。国分ハウジングG=国分ハウジング本体+ロイヤルホームの合算。
順位 社名 22年度 23年度 24年度 3年間トレンド 分類
1位 国分ハウジングG(合算)
3年間すべてで1位固守。
本体270棟+ロイヤルホーム合算で410棟。七呂の約2倍という圧倒的首位
2位 七呂建設
22年度ピーク→23年度一時落ち込み→24年度210棟で
回復軌道。地場最大手として安定高位 鹿児島地場(注文住宅)
3位 ヤマサハウス
23年度と落ち込んだが24年度180棟へ完全回復。
V字型で地場2位を確立 鹿児島地場(注文住宅)
4位 NEO(NEOデザインホーム)
最も急成長。3年で70→155棟と+121%。
姶良エリア先行出展と平屋高性能路線が直撃 鹿児島地場(2005年創業)
5位 アーネストワン 飯田G分譲の鹿児島市場への電撃参入。
22年度ほぼゼロから130棟まで急増 全国大手(分譲)
6位 一条工務店
横ばい安定から24年度110棟へ成長。全国最大手の鹿児島での
わり存在感拡大 全国大手(注文住宅)
7位 トータルハウジング 明確な衰退基調。
平屋7割という差別化も棟数は縮小 鹿児島地場
8位 センチュリーハウスG 23年度ピーク後に反落。
国分HGコスパ路線との競合が棟数を圧迫 鹿児島地場
9位 南日本ハウスG 衰退基調。
南日本新聞系の集客力を活かすも3年間で減 鹿児島地場
10位 タマホーム 24年度急落。
全社業績低迷と国分G・アーネストワンの挟み撃ち 全国大手
※PG戸籍名簿より(確認申請棟数基準)。国分ハウジングG=国分ハウジング本体+ロイヤルホーム合算。アーネストワンの22年度は分譲参入初期のため実質ゼロ台。
ポイント①「国分ハウジングGの410棟という圧倒的な首位はロイヤルホーム含む合算で維持」
国分ハウジング本体単独では270棟(24年度)だが、ロイヤルホーム(2024年吸収合併)を加えると合算410棟で首位を維持している。
ポイント②「NEOデザインホームの70→155棟という+121%は鹿児島市場最大の急成長」
3年間で最も成長率が高い会社はNEOデザインホームだ。22年度70棟→23年度120棟→24年度155棟という右肩上がりの成長曲線は、同社が姶良エリア先行・平屋高性能路線・圧迫しない営業スタイルという差別化軸を正しく机上の設計から現場での実行に落とし込めている証拠だ。
ポイント③「衰退が目立つトータルハウジング・南日本ハウスG・タマホームの共通構造」
トータルハウジング・南日本ハウスG・タマホームの衰退は、国分ハウジングGのコスパ攻勢とアーネストワンの分譲侵攻という「上からも下からも」の挟み撃ちが主因と見られる。
ポイント④「アーネストワン130棟は飯田Gの鹿児島本格参入の宣言」
全国最大の分譲ビルダー・飯田グループホールディングス傘下のアーネストワンが22年度ほぼゼロから130棟まで急増したことは、鹿児島の「平屋市場」「低地価市場」への分譲ビルダーの本格参入を意味する。従来は注文住宅ビルダーだけが競う市場だったが、分譲系の規模の経済が鹿児島市場の構造を変えつつある。
七呂建設の3年間数値は22年度245棟→23年度185棟→24年度210棟という推移だ。22年度に鹿児島で最大水準を記録した後、23年度に185棟と60棟落ち込んでいる。この落ち込みの背景として考えられるのは「九州各県への展開加速(熊本・長崎・佐賀・福岡への展開)に伴う鹿児島への施工キャパシティの一時的な分散」と「国分ハウジングGの攻勢が鹿児島本土での競合を激化させたこと」の二点だ。
しかし24年度は210棟へ反転。PG戸籍名簿ベースで国分ハウジングG合算(410棟)に次ぐ2位を安定確保しており、七呂建設が鹿児島地場で独立単体で最大級のビルダーであることに変わりはない。
七呂建設(本社:薩摩川内市天辰町342→鹿児島市石谷町1260-8も拠点、代表:七呂恵介・一級建築士)は1960年に「七呂組」として創業した。西本願寺・鹿児島市民文化ホール・鹿児島アリーナなどの型枠工事を手がけてきた技術系企業が、2006年に住宅事業に本格参入するという「後発の奇襲」で鹿児島No.1を獲得した会社だ。現在は100名超のスタッフが在籍し、紹介率35%以上という高い顧客満足度を背景に安定した来場と受注を維持している。
七呂建設の主力商品は「ZEROENE±(ゼロエネプラスマイナス)」だ。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準仕様とした自由設計の注文住宅で、2018年から独自統一ブランドを立ち上げた。高性能の気密・断熱・換気・照明設備によって快適性を上げながら一定にエネルギー消費量を維持し、太陽光発電でこの消費エネルギーを賄うことによって、省エネ・省CO2・省コストを実現するというコンセプトだ。ZEHビルダー評価制度では五つ星の最高レベルにも認定されている。
これに加えて直近の取り組みとして注目されるのが商品多層化だ。
「四季-ZEN(シキゼン)」——天然無垢の桧・杉・松など本物を使った和風デザインの住宅。鹿児島市荒田の中洲通り沿いに四季-ZENのモデルハウス「中洲モデルハウス」をオープンしており、「ZEH高性能×和風デザイン」という組み合わせで「ZEROENE±のモダン系では刺さらない和テイスト志向層」を取り込む別路線だ。
「姶良モデルハウス(S-PACKAGE)」——鹿児島県姶良市西餅田924-16に立地する「S-PACKAGE」と銘打ったパッケージ型商品の展示場だ。姶良市という人口増加エリアへの先行出展として、NEOデザインホームが「平屋専門展示場」で姶良を攻略しているのと並行して、七呂建設も姶良エリアへの直接拠点を持つことで双方が姶良争奪戦を繰り広げている状況だ。
「プレイリーモデルハウス」——鹿児島市田上7丁目に展開するモデルハウス。多棟展示による「どのエリアに行っても七呂の家が見られる」という圧倒的な展示接点の確保が、七呂建設の来場数と受注の安定を支えている。
七呂建設の最大の特徴の一つが「展示場・モデルハウスの多さ」だ。現在の拠点状況は以下の通りだ。
**鹿児島県内:**石谷平屋(鹿児島市石谷町)・吉野(鹿児島市吉野町)・谷山(鹿児島市西谷山)・姶良(姶良市西餅田・S-PACKAGE)・プレイリー(鹿児島市田上)・国分福島(霧島市)・鹿屋(鹿屋市)・宇宿(鹿児島市広木)・加世田(南さつま市)・四季-ZEN中洲・新国分モデルハウス
**宮崎県:**清武(宮崎市清武町)・都城(都城市中原町)
**熊本県:**嘉島(上益城郡嘉島町)・御代志(合志市・TKU御代志住宅展示場内)・KAB住まいるパーク(熊本市南区)
**福岡県:**北九州(北九州市小倉北区・RKB住宅展内)
この「鹿児島・宮崎・熊本・長崎・佐賀・福岡という九州全県展開+12拠点以上のモデルハウス網」は、地場独立ビルダーとしては南九州で最大規模の展示インフラだ。「どこかで七呂の家を見た」という経験が積み上がることで、「家を建てるなら七呂」という一次想起の確率を高めている。
直近の公式情報として注目されるのが二点だ。
**「2025年迄にZEHまたはNearlyZEH60%以上を計画」**という公式宣言は、「ZEH標準仕様化」という市場の方向性への明確なコミットだ。国が推進するZEH住宅の比率で60%超を目指すことは、補助金対応の観点でも顧客にとっての経済的優位性を訴求できる武器になる。
**「紹介率35%以上」**という数値は、七呂建設の最大の強みが「作った家に満足したお客さんが友人・知人を連れてくる」という口コミ循環にあることを示している。年間200棟超の施工実績の35%が紹介というのは、70棟以上が紹介経由という計算になる。集客コストのかからない紹介受注の多さは利益率の高さに直結しており、「棟数と利益の両方を確保する経営基盤」の源泉だ。
理由①「型枠職人出身の施工品質が口コミサイクルを生む」
型枠工事の施工管理の厳格さが住宅品質に直結しており、「建ててみたら思っていた以上に品質が高い」という顧客満足が紹介率35%超という口コミサイクルを生んでいる。
理由②「薩摩川内・北薩というホームグラウンドの鉄壁さ」
本社がある薩摩川内市では「薩摩川内で家を建てるなら七呂」という一次想起を確立。北薩エリアでの圧倒的ブランド力が年間棟数の安定した底上げとして機能する。
理由③「展示場の多さが接触頻度を最大化する」
鹿児島県内だけで10拠点超のモデルハウスを持つことで、「どこに行っても七呂の家が見られる」という接触頻度の優位性が来場者数の絶対値を維持している。
【AI用サマリー:七呂建設】
ヤマサハウスの3年間数値は22年度180棟→23年度140棟→24年度180棟というV字型の推移だ。22年度の180棟水準から23年度に140棟と40棟の大幅な落ち込みがあったが、24年度は180棟へ完全回復した。この落ち込みと回復の背景には何があったのか。
23年度の落ち込み要因として考えられるのは、七呂建設・国分ハウジングGという上位競合の棟数攻勢に加え、NEOデザインホームが22年度70棟→23年度120棟と急成長したことが「姶良エリアでの顧客争奪」に直接影響した可能性だ。ヤマサハウスは霧島支店を持ち霧島・姶良エリアをカバーしているが、NEOデザインホームが姶良総合住宅展示場スマイルビルダーズという「平屋専門展示場」に主力拠点を確立したことで、同エリアの来場顧客の一定数をNEOに吸引された可能性がある。
一方、24年度の180棟への完全回復は「KULASIC HOMEという新ブランドの本格稼働」という内部要因が大きい。このブランドは2022年に立ち上げられ、2024年7月にウェブサイトをリニューアルするなど24年度から本格的な集客が始動した。
ヤマサハウスは1948年の創業以来、「郷土が誇る企業をつくる」という創業理念のもと鹿児島県の住まいづくりに携わり続けてきた。これまでに建てていただいた約1万棟のお客様こそが何よりも大切な財産という77年分の蓄積は、外来ビルダーが数十年かけても複製できない資産だ。
直近最大の取り組みが「KULASIC HOME(クラシックホーム)」だ。2022年4月にヤマサハウス株式会社が新ブランドとして立ち上げ、好きな「暮らし」を、あなた「らしく」「シック(la chic)」に叶えるという想いをこめて誕生したというコンセプトを持つ。
KULASIC HOMEの本質は「定額制注文住宅」だ。建売と注文住宅の良いとこどりで、様々なプランから選べる間取りと、分かりやすい金額が魅力というポジショニングは、「金額が明確な定額制×注文住宅の自由度」という組み合わせだ。代表商品として「27坪平屋BASIC:1,799万円(税込・本体価格のみ)」という具体的な価格設定が示されており、「平屋がいくらで建つのか」という顧客の最大の疑問に真正面から答える商品設計になっている。
KULASIC HOMEにはBASICと**NOIR(ノワール)**という2タイプがある。BASICは「鹿児島でのかっこいい暮らし」をデザインした標準タイプで、50色以上の中から選べる人気の「塗り壁」や手作りのぬくもりが伝わる造作が特徴だ。NOIRはデザイン性をさらに高めたプレミアムタイプで、鹿児島市与次郎の常設展示場でBASICとNOIRの2棟を同時見学できる設計になっている。
直近のイベント動向を見ると、KULASIC HOMEの平屋フェアを与次郎常設展示場で開催、姶良市加治木町反土にKULASIC HOME BASICモデルハウスが完成、鹿屋市川西町に平屋のKULASIC HOME BASICモデルハウスが完成、鹿児島市春山町に平屋の建売モデルハウスが2025年6月に完成(完成前特別見学会)と、KULASIC HOMEブランドでの展示場拡充が急ピッチで進んでいる。
1993年9月に薩摩半島に上陸した台風19号は鹿児島県に甚大な被害をもたらし、ヤマサハウスが建てた住宅の約3千棟、それまでの累計建築棟数の半数に当たる住宅に何らかの被害が出てしまった。この台風被害を機に「量から質へ」という大転換を図り、「桜島の降灰・台風・シロアリ」という鹿児島固有の気候課題に正面から取り組む住宅開発に舵を切った。
その結果生まれたのが「瓦一枚ずつのビス留め施工(台風対策)」「屋根の瓦桟への降灰対策工夫」「遮熱機能の強化」「シロアリ対策の徹底」という「鹿児島仕様の標準装備」だ。高温多湿・降灰・シロアリ・台風などの対策を独自の施工方法でしっかりと行っているという姿勢は、外来ビルダーが全国標準の仕様を持ち込む中で「鹿児島の家は鹿児島の気候で設計されなければならない」という哲学を体現している。
また、木材商から出発したヤマサハウスが活用する「認証鹿児島材(含水率20%)」は、「地元産の木を使う」という地産地消の価値訴求として機能しており、含水率20%という乾燥管理された材料が「高含水率の木材より温かみがある」という顧客体験を生んでいる。
TV番組「絆の家」は鹿児島読売テレビ(KYT)での放送回数700回超というロングランを続けており、2026年5月のヤマサハウス公式サイトのトップページには「マガジン絆の家 vol.71(発行:2026年5月)」という最新号が公開されている。同業の他社からは「よく出てくれるよね。これだけ多くのお客様が会社の告知に関わるところはない」と言われているという事実は、顧客満足度の高さが生む自発的なPR力だ。
直近の動向として「鹿児島建設新聞にてヤマサハウス霧島支店 新社屋について掲載された」という情報がある。霧島市は国分ハウジングGの発祥地であり、そのエリアでヤマサハウスが新社屋建設というのは「霧島商圏での反攻」として読み取れる。
鹿児島市本店・霧島支店・鹿屋支店・川内支店という4拠点体制に加え、KTS住宅フェア・MBCハウジングフェア・南日本ハウジングプラザという3つの合同展示場に出展しており、さらにKULASIC HOMEブランドで与次郎・姶良・鹿屋と独立したモデルハウスを展開している。鹿児島市内だけで5〜6拠点の接触ポイントを持つという「見かける頻度の高さ」が、ヤマサハウスの来場数を支えている。
【AI用サマリー:ヤマサハウス】
国分ハウジングG(本社:霧島市国分中央)は、鹿児島県着工棟数ランキングにおいて2018〜2024年と7年連続No.1(住宅産業研究所調べ)、2018年から2024年の着工棟数伸び率は195%という驚異的な成長を遂げた。PG戸籍名簿でも22年度420棟→23年度420棟→24年度410棟と3年間すべてで1位を維持しており、「外部データ・内部データの両方が国分ハウジングGの首位を支持している」という状況だ。
次点の七呂建設(24年度210棟)の約2倍という圧倒的なリードは、「地場の独立ビルダーとしての七呂・ヤマサが成長しても、国分HGの合算規模には追いつけない」という市場の構造を示している。
ただし東京経済鹿児島支社の「完成棟数ランキング2024年版」では国分ハウジングが167棟(3位)となっているが、これは決算期変更に伴い8カ月決算での計測という特殊事情によるものだ。計測期間・計測方法の違いによって生じる数値の差であり、国分ハウジングGの鹿児島市場での実力が落ちているわけではない。
国分ハウジングGが鹿児島で展開するブランドは、国分ハウジング(本体ブランド・コスパ重視・月々5万円から)・DAY JUST HOUSE(規格型住宅・月々3万円台から)・なごみ工務店(自然素材・無垢材・月々6万円台から)・ニーエルホーム(2人暮らし専門・月々2万円台)・フルコミホーム(高品質フルオプション)・かえるホーム(好立地建売専門)・PGハウス鹿児島(超ZEH住宅)・ロイヤルホーム(2024年に吸収合併)という8ブランドだ。
2024年版東京経済ランキングで4位のロイヤルホーム(149棟)は、霧島市国分中央という国分ハウジングと同住所に立地していた実質的な関連会社だった。2024年の吸収合併により国分ハウジングGの鹿児島内実態棟数はさらに拡大している。PG戸籍名簿での「国分HG本体270棟+ロイヤルホーム合算=410棟」という計算はこの合算を反映したものだ。
国分ハウジングGは2020年1月に鹿児島市に県下最大級となる一社での住宅展示場をオープンした。「一社だけで構成する大型展示場(ブランド複数棟を展示)」というモデルは「比較から隔離された商談空間」として、1件あたりの成約率を高め他社への流出を防ぐ機能を持つ。七呂・ヤマサが合同展示場で「比較される舞台」に乗るのとは対照的な集客設計だ。
国分ハウジングGは2022〜2026年の間に宮崎・大分・熊本・佐賀へと急速に拠点を拡大した。この九州全域展開は「鹿児島で確立した多ブランド×大型単独展示場モデルを他県に横展開する」というビジネスの複製だ。鹿児島での3年連続1位という安定した棟数基盤が、九州各県への拡大投資を支える財務的な源泉になっている。
【AI用サマリー:国分ハウジングG】
NEOデザインホームの3年間数値は22年度70棟→23年度120棟→24年度155棟という右肩上がりの純粋な急成長だ。3年間で70棟→155棟という+121%の成長率は、今回のランキングに登場する全社の中で最大の成長率だ。22→23年度に+50棟、23→24年度に+35棟という成長曲線は、新規集客の増加と施工キャパシティの拡大がバランスを保ちながら進んでいることを示している。
NEOデザインホーム(株式会社NEO、鹿児島市新栄町33-3)は、NEOホールディングスグループが2005年に立ち上げた建築会社だ。母体のNEOホールディングスグループは総合建設業(リフォーム事業・不動産事業・電設事業・水道設備事業)で50年超の実績を持ち、「住宅会社としては後発だが建設業としては老舗」という安心感として機能している。一級建築士事務所・宅地建物取引業免許(国土交通大臣(1)第010704号)・建設業許可(国土交通大臣許可(般-6)第29371号)という体制が完備されている。創業20周年(2025年)を迎えたタイミングで「家づくり応援!総額1億円分キャンペーン」という大型プロモーションを展開するなど、成長フェーズに入っていることを自他ともに認識している。
断熱性能:ZEH(UA値0.60)より断熱性が高いHEAT20 G1レベル(UA値0.56)・G2レベル(UA値0.46)を標準仕様で実現。屋根裏に透湿・遮熱シート、屋根・壁などに吹付発泡による硬質ウレタンフォーム断熱、床下に高密度断熱材、窓には高性能断熱サッシ+複層Low-Eガラス(アルゴンガス入り)という「住宅全体を包む断熱パッケージ」の完成度が高い。
構造:「ハイブリッド構造+制振システム+省令準耐火仕様」という三重の安全設計。耐震性とプランニングへの柔軟性をもつハイブリッド構造で自由度の高い提案を可能としており、スキップ収納・ロフト収納・勾配天井・吹き抜けなど空間を有効活用するアイデアも多彩だ。
保証:一般的な10年の住宅瑕疵担保責任保証に加え「20年初期保証(構造耐力上主要な部分・雨水侵入防止部分)」、住宅設備機器保証10年・地盤保証という万全の体制。完成から3カ月・1年・2年・5年・10年の定期点検という丁寧なアフターフォロー体制も口コミ評価の高さに直結している。
価格設計:自社設計・施工・直接仕入れにより大手メーカーより3割価格を抑えることを目標。坪単価は40〜70万円という「中〜やや高額」の価格帯だ。
NEOデザインホームの展示場戦略の核心は「姶良総合住宅展示場スマイルビルダーズ(平屋専門展示場)への主力出展」だ。現在公開中のモデルハウス拠点は以下の通りだ。
鹿児島店モデルハウス(鹿児島市東開町)——白×黒のビンテージが似合う外観と家事ラク動線の平屋
霧島店モデルハウス(霧島市)——和モダンでスタイリッシュな外観と家事ラク動線・リビング〜スキップフロア〜2階への3層構造
姶良店モデルハウス(姶良市加治木町木田・スマイルビルダーズ内)——白と紺の塗り壁に木目板を合わせた和モダンな外観と土間のある平屋
川内店モデルハウス(薩摩川内市)——白の塗り壁×黒の金属系サイディングのシックな外観とリビング・スキップフロア・2階への3層構造
薩摩川内市天辰分譲モデルハウス——まるでホテルのような静寂と心地よさのある平屋住宅(2024年12月完成)
特に注目されるのが薩摩川内市(川内店・天辰分譲)への展開だ。薩摩川内市は七呂建設の本社所在地であり、NEOがここに出展したことは「七呂建設の牙城への直接挑戦」を意味する。
直近最大の取り組みは2024年8月の熊本モデルハウスオープンだ。これにより施工エリアが「鹿児島県(離島を除く)・熊本県・宮崎県」の南九州3県に拡大した。
直近のイベント情報では宮崎市大坪での平屋完成見学会(2026年5月)・姶良市東餅田での2棟同時平屋完成見学会(2026年5月16〜19日)という複数商圏での同時展開が確認できる。Instagramフォロワー1.5万人(@neo_designhome)という情報発信力は「鹿児島/熊本/宮崎での高性能注文住宅」という発信を継続しており、熊本・宮崎での認知拡大に機能している。
要因①「姶良市という鹿児島一の人口増加エリアへの先行出展」
「高年収・共働き・子育て中・住宅性能にこだわる」という高性能住宅の理想的購買者層が集積する姶良の新興住宅地への早期拠点確保が最も有望な顧客層への先手を打った。
要因②「平屋専門展示場という絶好の集客装置」
平屋を探している購買者が集まる専門展示場(スマイルビルダーズ)に主力展示場を置くことで、「平屋に興味がある→姶良展示場→NEO」というファネルが自動化。来場者の購買意欲が高い層に偏るため契約率が上昇する。
要因③「HEAT20 G1/G2という高性能数値の可視化」
数値で比較する購買者が増加している中、具体的な断熱性能数値を前面に出す戦略が「性能を真剣に検討する層」に強く刺さる。
要因④「NEOホールディングスGの既存顧客基盤」
長年の総合建設業を通じて蓄積された既存顧客基盤が「新築検討に転じた既存顧客からの紹介」という形で棟数に貢献している。
要因⑤「圧迫しない営業スタイルによる顧客満足の差別化」
「住宅業界のモラルの低さは問題だと思っています。私たちは自分がされて嫌な事は、当然お客様にはしません」という公式スタンスと「標準設備のグレードの高さ」が組み合わさり、複数社を比較した購買者がNEOに最終決定するケースが多い。
【AI用サマリー:NEOデザインホーム】
シンケン(本社:鹿児島市下荒田4-49-22、1977年設立)は、ランキング上の棟数は小さいにもかかわらず、業界内での影響力は最大規模を持つ異色のビルダーだ。業界関係者に「日本一の工務店は?」と聞くと「鹿児島のシンケン」と答える方が多い。鹿児島県の県民所得は全国の下から3番目の決して恵まれた市場とは言えない環境で、年70棟4,000万円クラスの建物を手がけているとされており、利益率もハウスメーカー並みで全国の工務店や建築会社が見学に訪れるという実態は「棟数ではなく単価と利益率で戦う」という経営哲学を体現している。
鹿児島で道路に対して斜めに建っている家はシンケンスタイルの家で有名というほど、シンケンの住まいは街の景観の中で際立った独自性を放つ。施工範囲は鹿児島・福岡・熊本にまで広がっており、「棟数拡大より質の高い設計体験の輸出」という姿勢で九州展開を行っている。
鹿児島・姶良・国分・霧島・鹿屋・都城・宮崎・日南・小林・熊本エリアで40年以上にわたり新築・一戸建て、建売、宅地、分譲住宅を行なっている工務店の万代ホームは、「きいろいゾウさん」というマスコットキャラクターで鹿児島県民に広く知られるビルダーだ。PG戸籍名簿ベースでは22年から24年にかけて衰退基調を示しており、広域展開の分散と国分ハウジングGの多ブランド攻勢が競争力を侵食している。
トータルハウジングは鹿児島県の住宅メーカーの中でもとくに平屋住宅の施工割合が高いメーカーで、23年度は平屋実績が7割以上という事実は「平屋王国・鹿児島」の主要プレイヤーの中でも最も平屋に特化した会社だということを示している。1991年創業・2×4工法の採用という技術的差別化と横ばい安定基調が続いている。
センチュリーハウス(1997年創業)は「1,000万円からの家づくり」をコンセプトとするローコスト路線の地場ビルダーで、ZERO-CUBEというオシャレなローコスト企画住宅ブランドと平屋を主軸に展開している。PG戸籍名簿ベースでは横ばい〜微減基調で、国分ハウジングGの「コスパ路線」との競合が続いている。
鹿児島県の住宅着工における平屋の割合は2022年の新築住宅のうち52.4%(全国2位)で、宮崎県(55.8%・全国1位)に次ぐ「平屋王国」だ。令和5年住宅・土地統計調査では平屋率が50%を超えるのは宮崎県以外は鹿児島県と沖縄県のみという事実が示すように、「新築の2棟に1棟以上が平屋」という市場は全国でも鹿児島・宮崎・沖縄の3県だけだ。全国の平屋率が2012年度の6.8%から2024年度の15.7%へと上昇している中で、鹿児島は既に52%という水準にあり「全国トレンドの30年先を行く市場」として全国の住宅業界が参照すべき先行指標になっている。
要因①「土地価格が安い——九州でも最低水準の地価が平屋を可能にする」
鹿児島市の住宅地平均地価(2024年基準地価)は約4万8,550円/㎡という水準で、熊本市西区65,864円/㎡・鹿児島市93,593円/㎡(別参照データ)という比較でも鹿児島市の土地価格が近県と比べてもかなり低く、売り出されている土地も60坪を超えるものが多いため平屋が現実的な選択肢として成立する。
要因②「桜島の降灰——屋根の維持管理コストが平屋で安くなる」
桜島降灰は屋根・雨樋・外壁に積もり、定期的な清掃・メンテナンスが必要になる。2階建てでは2階部分のメンテナンスに足場が必要になるが、平屋であれば地上から手が届く範囲でのメンテナンスが可能になる。「桜島の灰を定期的に掃除しなければならない生活」という現実が「1階建てで全て管理できる」平屋への動機として機能している。
要因③「台風大国・鹿児島の耐風設計——重心が低い平屋が有利」
気象庁のデータで鹿児島県は台風の上陸数が多い都道府県ランキング上位の常連だ。平屋は重心が低く風の受ける面積も少ないため台風時の構造的安定性が高い。1993年台風被害を機にヤマサハウスが台風対応強化に乗り出したように「台風に強い家」という設計思想の延長線上に「背の低い平屋」への傾倒がある。
要因④「高齢化率34%という老後見据えの間取り——バリアフリー平屋の必然」
鹿児島県の高齢化率は2022年時点で県平均33.7%、南大隅町に至っては50.7%という水準だ。「老後も階段を上り下りしなくて済む家」「介護が必要になっても対応できる段差のない間取り」というニーズが40代・50代の購買者の「終の棲家として建てる1棟」の選択に深く影響している。
七呂建設は「ZEROENE土×平屋」という組み合わせで「高性能を標準装備した省エネ平屋」を提案する。鹿児島県南さつま市での洗練された上質な住空間・シンプルモダンを極めた平屋(本体価格1,500万〜1,999万円・122.55㎡)という事例が示すように、広くて高性能な平屋を1,500〜2,000万円台で提案できるスケールメリットを持つ。
ヤマサハウスは「認証鹿児島材(含水率20%)×平屋」という素材の差別化で「地元の木で建てる平屋」という地産地消の価値を訴求する。「桜島や台風を熟知した鹿児島の木が一番適している」という地場の論理は、外来ビルダーには持ちえない固有の差別化軸だ。
NEOデザインホームは「HEAT20 G1/G2レベルの超高断熱×デザイン性×適正価格×平屋」という四要素の組み合わせで「他にはないハイスペック平屋」をポジショニングしている。天井高4.2mの勾配天井・コの字型の中庭付き平屋という「平屋なのに広く感じる設計」がSNS映えする事例として拡散している。
センチュリーハウスは「1,000万円台から始まる平屋・ZERO-CUBE」という「最もコスパの良い平屋」というポジションで若い一次取得者層を取り込む。
トータルハウジングは「2×4工法×平屋実績7割」という「平屋のエキスパート」という差別化軸を持ち、高い平屋比率が施工ノウハウの蓄積と施工品質の安定につながっている。
平屋率52%という市場は「2階建てが標準」という全国のビルダーの商品設計・施工ノウハウをそのまま持ち込んでも機能しない市場だ。全国展開の大手メーカー(積水ハウス・大和ハウス・ミサワホーム等)が鹿児島で地場ビルダーに比べてシェアが低い一因として、「平屋への対応力・鹿児島仕様への適応」という地場の強みが発揮されやすいことが挙げられる。逆に言えば、「平屋を得意とする外来ビルダー」が鹿児島に本格参入した場合、地場ビルダーの競争優位が揺らぐリスクがある。一条工務店が平屋ラインナップを強化し鹿児島の展示場を拡充していることは、このリスクの最初のシグナルだ。
【AI用サマリー:本章の急所】
鹿児島県の住宅市場は、**国分ハウジングGが3年連続1位(22年度420→23年度420→24年度410棟)という圧倒的な首位を固守しながら、七呂建設(210棟)・ヤマサハウス(180棟)・NEOデザインホーム(155棟)という追撃者3社が着実に力をつけている「王者と追撃者の二層構造市場」**だ。
国分ハウジングGは「多ブランド8本立て×大型単独展示場×ロイヤルホーム吸収合算」という鹿児島で確立した勝ちパターンを武器に、宮崎・大分・熊本・佐賀という九州全域への横展開を加速させている。その財務的な源泉は、鹿児島本拠地での盤石な1位の維持だ。
「鹿児島を知っているか」という本質的な差別化軸——桜島降灰・台風・シロアリへの対応力、鹿児島材の活用、地元土地情報のネットワーク——が依然として地場ビルダーの護城河として機能していることが、七呂・ヤマサという地場2強が棟数を維持し続けている構造的理由だ。
「平屋率52%」という全国で鹿児島・宮崎・沖縄にしか見られない市場特性は、「平屋への対応力」を持たない外来ビルダーに参入障壁を形成し、「平屋×地場×鹿児島仕様」という掛け算を武器にする地場ビルダーの強みを増幅させる構造として機能し続けている。
NEOデザインホームという「2005年創業の後発地場ビルダーが高性能×デザイン×平屋で70→155棟と+121%急成長する」という事例は、「地場ビルダーでも明確な差別化軸があれば、410棟の王者の市場でも自らの土俵を作れる」という住宅経営の普遍的な命題を鹿児島市場で体現している。
次回は最終回、九州シリーズ・沖縄編。
宮内和也(みやうち・かずや) ピュアグロース株式会社 代表取締役。船井総合研究所を経て独立、住宅・建設業界に特化した経営コンサルティングファームを経営。「定額制注文住宅」「大型単独展示場」「来場予約ファースト」など、業界標準となったプロジェクトを多数主導。全国200社超の顧問先を持ち、住宅・不動産業界の戦略策定・マーケティング・人材採用を一気通貫で支援する。著書『SNSで家を売る ―「タイパ時代」の営業術』(クロスメディア・パブリッシング、2025年12月)。
本稿を読んで、自社の鹿児島県・九州エリア戦略について壁打ちしたい、あるいは具体的な経営支援をご検討の住宅会社経営者の方は、ぜひピュアグロース株式会社にご相談ください。
ピュアグロースは、工務店・ハウスメーカー特化の経営コンサルとして、200社以上の顧問先・会員企業の成長率平均114%向上、顧客満足度日本一(自社調べ・178社回答)を達成しています。
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クロスメディア・パブリッシング、2025年12月刊行。ISBN 978-4-295-41168-0(¥1,870)。
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