「来場特典を上げ続けないと、集客が維持できない」
「マーケ担当が作業に追われ、会社の成長につながる仕事ができていない」
集客の減少に悩む住宅会社が増えるなか、鹿児島県と宮崎県でトップの実績を持つ国分ハウジング様は、事業を拡大しながら集客も安定させています。本記事では、同社のマーケティング責任者と当社コンサルタントの対談をもとに、伸びている住宅会社のマーケターが何を考え、日々どう動いているのかを解説します。
同社のマーケティング責任者は、異業種でコンテンツ企画の仕事を経験したあと、地元・鹿児島にUターンして入社しました。入社時に約130名だった社員数は、およそ5年で約350名に。注文住宅やリフォームなど9つのブランド、30以上の店舗を展開する規模に成長しています。
この規模の集客を担うマーケティングチームは7名。単純計算で1人あたり100棟以上の受注を支える体制です。住宅業界の未経験から入社し、最初は戸惑うことばかりだったといいますが、今ではチームを統括し、社長に施策を提案する立場になっています。
同社のマーケティング責任者が大切にしているのは、「ブランドとは社員そのものであり、会社は箱にすぎない」という考え方です。入社時には、会社のロゴがどんな意図で設計されたのかを調べるところから始めました。
創業者や社長の思いをくみ取り、広報担当として翻訳して世の中に届ける。そしてブランドをつくるのが社員である以上、社員の意識づくりにも広報・マーケティングが関わる。業務的な広告運用だけでなく、ブランドの根っこから考えられることが「本物のマーケター」の条件だといえます。
オンライン予約が当たり前になり、来場特典の金額が上がり続けるなかで、マーケティングの小手先の手法は増えても、本当に新しいことは少なくなっています。だからこそ同社では、ディテールまで徹底的にこだわることを強みにしようとしています。
家づくりは高額で、お客様は不安を抱えています。2万円、3万円の来場特典だけを武器に集客すると、お客様と会社の間に温度差が生まれます。細部までこだわった集客で期待を高め、その意図を営業に伝えたうえで初回接客をする。それがお客様にとっても社員にとっても幸せな流れだと考えています。

同社では媒体を2つに分けて考えています。リスティング広告やMeta広告、チラシなど、直接来場につながる反響媒体。そして看板など、家づくりを考えたときに「国分ハウジングって聞いたことがある」と思い出してもらうための認知媒体です。この両方の施策を細かいタスクに分解してメンバーに割り振り、進捗を管理しています。
以前は「来場単価はいくらですか」と聞かれても答えられない状態でした。管理部門の立ち上げと、他社の管理方法を学ぶ機会を通じてシステムを整え、今では反響単価・来場単価をすべて数字で出せるようになっています。その数字をもとに、今もっとも集客にインパクトのある使い道を判断し、予算を配分します。全体の舵取りは当社と一緒に行い、具体的なタスクはメンバーに任せる分担です。
役割分担は、ブランドごとの縦割りと、機能ごとの横割りを組み合わせています。たとえばMeta広告は、全ブランド分を得意なメンバーに任せるといった形です。責任範囲を縛りすぎず、メンバーの得意分野を伸ばす配置を意識しています。チーム内のミーティングは週次で行い、当社とは注文住宅・不動産それぞれで月1回、方針を決める会議を開いています。
同社のマーケティングは、Web広告やチラシだけではありません。商業施設への出展、大型の会場を借りたフェスのようなイベント、さらにはヒーローショーと一緒に幼稚園を回る企画まで、お客様と営業の接点をつくるために幅広く動いています。
根底にあるのは、「自社で家を建ててもらうことが、お客様にとって絶対に幸せだ」という自信です。だからこそいかに営業を打席に立たせられるかを自分たちのKPIに置いています。集客の最大化に加え、最近は来場率や成約率といった「率」の改善にも、マーケティングの視点から営業に提案するようになっています。
同社の社長はもともとマーケティングと営業の出身で、広告の請求書にもすべて目を通すほど市場の相場感を持っています。それでも一方的に指示するのではなく、「あなたはどう思う?」と責任者に考えさせる場面が多いといいます。年間で数億円規模の広告予算の配分も任されており、社長の右腕・左腕になる人材を育てるために、あえて任せていることがうかがえます。
組織が大きくなると、営業部門とマーケティング部門の衝突はどこでも起こります。大事なのは、衝突を衝突で終わらせず、部門をつなぐ接着剤になれるかどうかです。
同社のマーケティング責任者は、個人のInstagramで日々の仕事や考えを発信し、全国の住宅会社の関係者にフォローされています。発信を続けるうちに、アカウントが「どんな思いで、どんな会社で働いているか」が伝わる名刺代わりになりました。
優秀な人を見かけたらDMで声をかけ、実際に地元で知られた方の採用にもつながっています。今では会社公認でリクルーターの名刺も持っています。集客のために培った発信力は、採用にもそのまま生かせるということです。

同社のマーケティング責任者は、「マーケ担当は会社と心中する覚悟がないとできない」と語ります。集客が途切れれば、営業は安心して働けず、社員とその家族を悲しませることになるからです。社員とその家族、そして会社のブランドを守るために攻める。だからこそマーケターは矛であり盾であり、会社を本気で好きでいなければならないという考えです。
同じレンガを積む仕事でも、「レンガを積んでいる」と考えるか「誰も見たことのない大聖堂をつくっている」と考えるかで、仕事の意味は変わります。手数が多く泥臭い仕事であっても、社員とお客様を幸せにするという目的があれば、やりがいは必ず見つかります。社員が長く定着して会社が存続し続けることが、長期保証を約束したお客様のためにもなるのです。
A. まずは反響単価と来場単価を媒体ごとに数字で出せるようにすることです。数字が見えれば、今いちばん集客にインパクトのある施策に予算を寄せる判断ができます。
A. ブランドごとの縦割りと、広告運用など機能ごとの横割りを組み合わせ、メンバーの得意分野を生かすことです。週次で進捗を確認し、大方針は月1回の会議で決めるなど、会議体で管理する仕組みも欠かせません。
A. 対立をなくすより、衝突を前向きな議論に変えることが大切です。マーケのKPIを「営業を打席に立たせること」に置き、日頃から信頼関係を築いておくと、率の改善などにも一緒に取り組みやすくなります。
ピュアグロースでは、広告やイベントの企画だけでなく、反響単価・来場単価の管理、マーケティング組織の体制づくり、マーケターの育成まで支援しています。全国の住宅会社のマーケターが集まる勉強会も企画しています。