「お客様に『うちで建ててください』とお願いする営業から抜け出せない」
「成果に波があり、売れない時期にどう立て直せばいいか分からない」
島根県・鳥取県で住宅事業を展開する中央建設様に、直近10年で約445棟、営業人生の累計で約700棟を販売してきたトップセールスがいます。昨年の受注は43棟。当社が開催した表彰でも、3部門で全国1位に輝きました。しかし20代のころは、まったく売れない営業だったといいます。
本記事では、そのトップセールスとの対談をもとに、売れない営業が変わったきっかけ、2回の商談で意思決定をいただく流れ、お客様が決めない3つの心理、そして成果を出し続ける習慣を解説します。
新卒で入社して以来、約25年にわたり営業一筋。20代のころは成果が出ず、加盟していたフランチャイズ本部から「売れない」と厳しい評価を受けたこともあります。転機は30歳のころ。住宅営業の専門家の本を読み込み、のちに会社としてもその専門家の指導を受けるなかで、「家は買わなくてもいいですよ」というくらいのお客様とのポジショニングを学んだことでした。
当時いちばん嫌だったのは、本当は欲しくないかもしれないお客様に「うちで建ててください」とお願いする営業でした。そのお願いをやめたことで、お客様との関係が良くなり、無理のない自然な会話ができるようになって、成約数も伸びていきました。近年はお客様に「お願いします」と言ったことは一度もないといいます。
住宅展示場に来るお客様は、「売りつけられるのではないか」と身構えています。そこで「不安があるなら、いったん止めるのも1つの選択肢ですよ」と伝えると、お客様の肩の力が抜け、目の前の営業の話を聞いてみようと思ってもらえます。
そのうえで、お客様の気持ちに引っかかっている不安や、決断を妨げている要因を1つずつ聞き、客観的な情報と解決策を伝えていきます。すると、こちらからお願いしなくても、お客様のほうから「よかったらお願いします」と言っていただけるのです。「建てなくてもいい」と伝えたお客様から、後日「その一言が決め手になって全部任せようと思った」と連絡をもらった経験が、このスタイルへの確信になりました。

初回接客の時点では、土地も決まっておらず、住宅ローンの事前審査もしていないのが普通です。それでも、初回で「この担当者に任せて進める」という意思決定をいただくことを目標にしています。初回で決まらなければ、2回目で意思決定をいただく。3回目の商談になることはほとんどありません。意思決定をいただいた後に、土地、資金計画、プランをじっくり一緒に進めていきます。
| 段階 | 割合の目安 |
|---|---|
| 初回接客から 次回アポイント | 約8割 |
| 初回接客から 申し込み(意思決定) | 約55〜60% |
| 初回接客から 請負契約 | 約40% |
※対談内でのご本人の説明に基づく目安です。住宅ローンの審査などで申し込みから契約に至らないケースもあります。
このトップセールスは、自身の営業を「感覚が6、理論が4」と表現しますが、とくに大事にしている理論があります。お客様がその場で意思決定しない理由は、次の3つに集約されるという考え方です。
この3つがすべて「イエス」にならなければ、お客様は決められません。お客様の多くは、他社から伝えられた判断基準をすでに持っています。その判断基準をずらし、3つの心理に先回りして答え、すべてをクリアできるのは自社だと伝えられたお客様は、即日でも任せてくださいます。そのためのトーク、ツール、雰囲気づくりを重視しています。
性能や設備を前面に出す競合と比べられたとき、「うちも蓄電池を入れます」と同じ土俵に乗ると、ほぼ確実に負けます。もちろん商品は大切ですが、まずは「そもそも、なぜ家が必要なのか」という家を持つ目的に立ち返ることが大切です。その目的に照らして、今の選択が本当に正しいかを一緒に考えていきます。
成果の天井をつくらないことも、このトップセールスの特徴です。車の中で「日本一の営業になる」と声に出して自分に言い聞かせ、高い目標を掲げ続けてきました。年間62棟を販売した年もあります。
予定でびっしり埋まった手帳をお客様に見せ、「ここしか空いていないのですが」と相談すると、朝一番の打ち合わせでも快く応じていただけることが多いそうです。

営業には波があり、これまで効いていたトークが急に響かなくなることもあります。そんなときは、紙に「現状」「原因の仮説」「対策のアクション」を書き出し、新規接客の中で試行錯誤を繰り返します。1つ成功パターンが見つかれば、そこからまた商談がうまく回り始めます。マイナスがむしろプラスに転じるきっかけになるのです。これを毎朝5時に起きて行い、あわせて自分の目標や願望も書き出して気持ちを整えます。
毎日最低2時間は、自分を成長させる時間に充てています。本やSNSで得た学び、営業に生かせる心理学の知識などをノートに書き留め、定期的に見返すと、今つまずいていることへのヒントが見つかります。他社のトップ営業とも積極的に交流し、学べるものは何でも学ぶ姿勢を続けています。
「自分に才能があると思ったことはないが、可能性は信じている」。習慣の力で力は積み上がるという確信が、25年にわたって成果を出し続ける原動力です。現在はこうした考え方を店長向けの勉強会で共有し、組織全体のレベルアップにも取り組んでいます。
A. 「家は建てなくてもいい」「不安があるなら止めるのも選択肢」というスタンスでお客様と向き合うことです。お客様の警戒心が解け、不安や決断の妨げになっている要因を聞けるようになります。それを1つずつ解決すれば、お客様のほうから任せていただけます。
A. 「もっと安いものはないか」「同じ条件でもっと良いものはないか」「担当者は信頼できるか」の3つの心理があるからです。この3つすべてに先回りして答えられれば、初回や2回目の商談で意思決定をいただける可能性が高まります。
A. 現状・原因の仮説・対策を紙に書き出し、新規接客の中で試行錯誤を繰り返すことです。1つ成功パターンが見つかれば流れは戻ります。毎朝決まった時間に振り返る習慣をつくると続けやすくなります。
ピュアグロースでは、全国のトップセールスの知見をもとに、商談の進め方から営業の育成、店長・管理職の育成まで支援しています。営業組織の成果を底上げしたい方は、お気軽にご相談ください。