「利益を追うほど、社員の心が離れていく」
「理念は掲げているが、業績とどう結びつければいいのか分からない」
会社の成長を目指す住宅会社・工務店の経営者様なら、一度は向き合うテーマではないでしょうか。
本記事では、全国53店舗まで出店を広げ、今も成長を続けるヤマト住建株式会社を取り上げます。ピュアグロースとは18年来のお付き合いがある同社の会長が、当社の経営者勉強会で語った講演の内容と、長年そばで見てきたからこそ分かるエピソードから、伸び続ける会社の経営者の考え方を解説します。
会長は貧しい家庭で育ち、小学6年生のころから働いていたといいます。「普通の暮らしがしたい」という思いで31歳のときに起業し、当初はとにかくお金を儲けることに必死でした。成績の良い社員は給料を上げ、成績の悪い社員は去ってもらう。利益だけを追い、上場も目指していました。
しかし、心が通っていない経営をすると、社員はどんどん辞めていきます。会社のお金を持ち逃げする社員、お客様を騙す社員まで現れ、信用は失墜。そこにリーマンショックが重なり、会社は倒産寸前まで追い込まれました。
そこで気づいたのが、理念とそろばん(マーケティング・戦略)の両方がなければ会社は成り立たないということです。高性能な住宅を建てなければ売れない時代になり、原価も販売価格も上がる。それでも売れる営業力と戦略が必要です。一方で、理念がなければ社員の心は離れていく。この両立こそが経営の土台だと語ります。
創業時に掲げた理念は「万人に喜びを」。そして13年ほど前、ドイツの住宅を視察した際に、その断熱性能の高さに衝撃を受けたことが転機になりました。「自分たちが建てている住宅は情けない」と痛感し、帰国後すぐに高気密・高断熱の家づくりへと舵を切ります。
性能を上げれば価格も上がり、むしろ売りにくくなります。それでも、住宅の性能を世界基準に引き上げれば、血圧の上昇や冬場の体調不良を防ぎ、膨らみ続ける医療費の抑制にもつながる。「日本の住宅を世界基準のレベルに引き上げる」ことが同社のミッションです。
同社が経営の根幹として社員に伝え続けているのが、「愛・自由・拡大・変化・光」という5つの言葉です。

会長は、これらの言葉は作り込んだ戦略ではないと言います。社員を幸せにしたい、お客様に幸せになってもらいたいという思いを誰よりも強く持っていれば、言葉は自然と出てくる。経営者がどんな考えで事業をしているか、それ自体が社員に伝わるのです。
講演だけでなく、日々の行動にも人を惹きつける理由があります。長年ご支援してきた中で見えてきた習慣を紹介します。

社外の取引先である当社の担当者にまで、毎年必ず誕生日のメッセージが届きます。社外にまで送っているということは、社員にも送っているはずです。数千人規模の組織で毎日のように続けるのは簡単ではありません。この小さな積み重ねが、人を惹きつける理由の一つです。
月に2〜3回は電話で相談が来ます。最近では、受注報告の中で「お客様がAIで調べて来店している」という話を聞き、「AIO(AI検索最適化)は全国でも起きているのか」「今やるべきか、待ってもいいか」と問いかけがありました。「急ぐ必要はないが、中長期的には必ず必要になる」と伝えると、その場でやること・やらないことを決め、マーケティング責任者とのミーティングを設定。年齢を重ねても好奇心が衰えず、自らAIも使いこなして壁打ちしたうえで質問してくるため、こちらも鍛えられます。
オンライン会議では、会長が開始の15分ほど前から入室し、普段会えない社員と雑談をします。その雑談が講演さながらに面白いため、社員も早めに入るようになり、最近は開始10分前に全員がそろって始まるほどです。店舗が増えて直接会えない社員が増えるなか、リモートでも雑談の機会をどうつくるかを工夫し続けている点は、多拠点展開する会社にとって大いに参考になります。
A. 両立できますし、両立しなければ会社は長続きしません。ヤマト住建では、利益だけを追った結果倒産寸前になった経験から、理念とマーケティング・戦略の両方を経営の土台に据え、全国53店舗まで成長を続けています。
A. 叱るときは別室で短く、褒めるときはみんなの前で盛大に。社員の失敗を経営者自身の失敗と捉えることです。また、無理のない範囲で毎年少しずつ会社を拡大し、社員が将来に希望を持てる状態をつくることも重要です。
A. 急ぐ必要はありませんが、お客様がAIで住宅会社を調べて来店するケースは全国で出始めています。中長期的には必ず必要になる取り組みなので、今から準備しておくことをおすすめします。
ピュアグロースでは、成長企業の経営者による講演や、YouTubeでは公開していない実践ノウハウを学べる経営者向け勉強会「ピュアグロースクラブ」を運営しています。会員企業の年間建築棟数は合計2万3,000棟と、業界でも最大規模の勉強会です。