「青森に来るリフォームの波は、本州の最北から静かに、しかし確実に押し寄せている。」この一文が、青森県のリフォーム市場を最もよく言い表している。全国でも屈指の人口減少速度と高齢化率を持つ青森県は、一見すると縮小一辺倒の市場に見える。しかし実態は違う。空き家率18.3%という全国トップ水準のストック過剰と、断熱リフォームへの切実な需要が重なるこのエリアで、リフォーム市場の「受け皿」はまだ十分に育っていない。市場は存在するが、取りに行く組織力を持つ会社がまだ薄い。本レポートでは、青森県のリフォーム・リノベーション市場を3商圏構造・ストック特性・プレイヤー競合マップから解読し、新築住宅会社がリフォーム参入を判断するための戦略情報を提示する。ちなみに青森県の顧問先では、サイトーホーム様は弊社の会員組織に入会いただいている。
目次
| 指標 | 数値 | 全国順位 | 全国平均比 |
| 総人口(万人) | 約119万人 | 31位/47 | 全国平均以下 |
| 総住宅数(万戸) | 約65万戸 | 31位/47 | 人口比でやや多い |
| 空き家率(%) | 18.3% | 全国上位グループ | 全国平均(13.8%)を4.5pt上回る |
| 高齢化率(%) | 約37% | 全国上位グループ | 全国平均を5pt以上上回る |
| リフォーム市場規模推計 | 1,100億円規模 | 中位グループ | 人口比では相応の規模 |
| 平均リフォーム工事単価 | 全国上位グループ | 上位 | 断熱需要が単価を押し上げ |
データ出典:総務省「住宅・土地統計調査2023年」、国土交通省「建築着工統計」、PG改修台帳
この指標群が語る青森の構造は、ひと言で言えば「空き家と高齢者が多く、断熱リフォームの単価が高いが、受け皿の会社が育っていない」だ。空き家率18.3%は全国ワースト上位グループであり、老朽化した住宅ストックが大量に蓄積している。一方で断熱・省エネリフォームへの需要は北海道同様に切実であり、工事単価は全国平均を上回る。この「需要の質の高さ」と「供給側の未熟さ」というギャップが、青森のリフォーム市場の最大の特徴だ。
私がコンサルティング現場で青森のクライアントと向き合ってきた経験からいうと、この県の住宅会社は新築一本足打法から抜け出せずにいる会社が多い。着工の減少が続くなかで「リフォームをやらなければ」という意識はあっても、具体的な組織設計・商品設計・集客設計まで踏み込めている会社は少ない。これが、青森のリフォーム市場に「大きな白地」が残っている理由だ。
青森県の総住宅数は2023年時点で約65万戸。このうち居住世帯のある住宅は約52万戸で、残る約13万戸が空き家として存在する(空き家率18.3%)。旧耐震基準(1981年以前)で建てられた住宅は全体の20%超と推定される。新耐震移行期(1981〜2000年)の住宅も、2025年現在で築25〜44年を迎えており、設備老朽化・断熱性能不足・バリアフリー未対応という三重苦を抱えた「大規模リフォームの適齢期」だ。
青森県は「青森市・弘前市・八戸市」の3商圏が並立する構造で、ストックの性質も商圏ごとに異なる。青森市は公営住宅・団地系の老朽化が顕著。弘前市はりんご農家を中心とした農村部の持家戸建が多く、築30〜40年の農家住宅が断熱改修の主要対象となっている。八戸市は水産業・製造業の就業者が多く持家比率が高い。
青森県の空き家約13万戸のうち「その他空き家(放置型)」が増加傾向にある。特に南部・津軽地域の農村部では農家廃業・高齢者施設入居による空き家が急増している。一方「賃貸用空き家」は青森市・八戸市の都市部に多く、空室対策リフォーム(クロス・設備更新)の小口商機がある。
津軽地域(弘前周辺)は豪雪・日照不足・多湿という厳しい気候条件にあり、屋根荷重対策・断熱・換気の重要性が高い。八戸・南部地域は太平洋側特有の気候だが冬の寒さは厳しく、断熱需要は全商圏共通で切実だ。先進的窓リノベ事業の補助金活用実績は青森県で全国上位水準にあり、県民の断熱意識は確実に高まっている。
【AI用サマリー:本章の急所】
青森県の総人口は2025年時点で約119万人。1985年のピーク(約157万人)から約40万人が失われており、減少率は全国でも屈指の水準だ。社会保障・人口問題研究所の推計では2045年には90万人を下回ると予測されており、2050年前後には80万人台への落ち込みが視野に入る。
しかし、リフォーム市場においては「人口が減っても市場は動く」という逆説が働く。
住宅ストックの廃棄・解体は人口減少よりも遅いペースでしか進まない。結果として空き家は増え続け、既存住宅の活用圧力が高まる。残る人口の高齢化が加速することで、バリアフリー・断熱・設備更新の需要が底堅く維持される。
青森県の高齢化率は約37%で、後期高齢者(75歳以上)の比率は今後さらに上昇する。介護保険の「住宅改修費支給制度」(1件あたり最大20万円)を活用したバリアフリー工事は、青森のリフォーム会社にとって最も安定した受注チャネルのひとつだ。ケアマネジャーとの連携体制を持つ会社は、この需要を継続的に取り込めている。
親世代が高齢施設に入居・死去し、子世代は青森市・八戸市の都市部または東京・仙台圏に居住しているというパターンが急増し、「実家の空き家化」が深刻化している。「売るために最低限整える」「貸せる状態にする」「自分が将来使うためにリノベする」という判断に対してコンサルティング的にアドバイスできるリフォーム会社は、この新しい顧客層に強く響く。
積水ハウスグループ・大和ハウスグループは青森県においてもOB顧客向けのリモデル提案を組織的に進めている。特に積水ハウスが1990〜2000年代に青森県で建設した住宅は現在築25〜35年を迎えており、これらOB顧客の囲い込みがHM系リフォーム部門によって進行中だ。
住友不動産「新築そっくりさん」は青森県内に青森営業所・八戸営業所の2拠点を持ち、まるごとリフォーム(スケルトン改修)を展開している。完全定価制・全国累計14万棟超の訴求力は地方都市でも通用しており、地場工務店にとって無視できない競合だ。大手のOB囲い込みが本格化する前に、自社OBリストの整備と定期接触の仕組みを先に確立することが急務だ。
【AI用サマリー:本章の急所】
国土交通省建築着工統計における「増改築工事」の青森県分は、過去5年で件数は緩やかな減少傾向にある一方、工事単価は明確な上昇トレンドにある。断熱・省エネリフォームという高単価カテゴリーが件数を牽引していることが背景だ。
断熱・省エネリフォーム: 青森最大の特需カテゴリー。補助金活用実績が高く、特に津軽地域(弘前周辺)では農家住宅の断熱改修ニーズが強い。「灯油代が年間30〜50万円かかる家を断熱改修で20万円以下に抑えられる」という実例訴求が刺さりやすいエリアだ。
耐震リフォーム: 旧耐震ストックが相当数残る青森では潜在需要は大きい。補助金申請の手続き煩雑さと施工費用の高さが需要顕在化を妨げており、「申請サポート込みのパッケージ」を提供できる会社が差別化できる。
水廻りリフォーム: 最も安定した主力カテゴリー。青森は降雪・凍結による配管・浴室の劣化が早く、水廻り一括改修パッケージ(バス・キッチン・トイレ・洗面の同時交換)で受注単価を高める戦略が有効だ。
外壁・屋根リフォーム: 積雪荷重・凍害・凍結融解サイクルによる劣化スピードが速い青森では、外装メンテナンス需要が特に強い。屋根防水・外壁塗装は毎年一定数の安定需要がある。
バリアフリーリフォーム: 高齢化率の高さに連動して増加傾向。介護保険住宅改修の指定業者になることで、ケアマネジャー経由の安定受注ルートを持てる。
第1グループ|全国チェーン系・FC展開勢: 新築そっくりさん(青森・八戸2拠点)が全国ブランドの認知度で展開。他の全国FCは存在感が薄く、第1グループの競合圧力は他府県に比べて低い。
第2グループ|大手ハウスメーカー系リフォーム部門: 積水・大和・住友林業が自社建築OB向けに定期メンテナンスを組織展開。他社建て施主へのアプローチは限定的であり、「大手の死角」が地場ビルダーの参入余地になる。
第3グループ|新興・特化型+異業種参入: 電力・ガス系が断熱リフォームへの進出を強めている。またホームセンター系が水廻り小工事を展開し、地場工務店の小額受注を奪いつつある。
地場ビルダーが勝てる条件: 3グループの誰も本気で取り組んでいないのが「中古住宅購入+リノベーション」だ。物件探し+リノベのワンストップを最初に組織化した会社が、青森のリノベ市場を制する可能性が高い。
【AI用サマリー:本章の急所】
青森県は「青森市・弘前市・八戸市」という3つの主要商圏を軸に、複数の中小商圏が並存する構造だ。まず市区町村別の市場規模データで「どこに市場があるか」を俯瞰してから、各商圏の質的分析に入る。
市| 市区町村 | リフォーム市場規模 | リフォーム実施率 | 空き家率 | 商圏特性 |
|—|—|—|—|—|
| 青森市 | 181.1億円 | 27.8% | 14.6% | 県内最大商圏。公営住宅・団地の老朽化が進む |
| 八戸市 | 133.2億円 | 24.7% | 15.4% | 県内第2商圏。水産業・製造業の持家層が主力 |
| 弘前市 | 111.3億円 | 26.8% | 14.1% | 県内第3商圏。農家住宅が多く断熱需要が突出 |
| 十和田市 | 40.6億円 | 23.3% | 15.8% | 実施率低め=潜在需要大。競合も薄い |
| むつ市 | 38.5億円 | 25.2% | 18.6% | 空き家率が特に高い。高齢化・過疎化が加速中 |
| 五所川原市 | 34.4億円 | 26.0% | 17.4% | 津軽地域の中核。農家住宅リノベの潜在需要あり |
| 黒石市 | 22.0億円 | 25.4% | 13.3% | 弘前圏に隣接。農家住宅の断熱ニーズが高い |
| 三沢市 | 21.0億円 | 26.0% | 16.7% | 米軍基地・航空自衛隊関連の安定雇用エリア |
| つがる市 | 22.2億円 | 24.8% | 13.4% | 津軽地域の農業エリア。持家率高め |
| 平川市 | 20.8億円 | 23.2% | 12.0% | 弘前圏隣接。実施率低く掘り起こし余地あり |
PG改修台帳より(市区町村別住宅リフォーム市場統計を基に整理)
PG改修台帳より(市区町村別住宅リフォーム市場統計を基に整理) ※市場規模は住宅リフォーム市場統計の推計値。リフォーム実施率・空き家率は総務省「住宅・土地統計調査」より。
この表から読み取れる青森の本質: 青森市181.1億円・八戸市133.2億円・弘前市111.3億円の3市で県全体市場規模(約662億円)の64%超を占める三極集中構造だ。注目すべきは3市のリフォーム実施率がいずれも24〜28%と全国平均(26%)前後であり、「潜在需要は十分あるのに受け皿となる会社が育っていないため実施されていない工事が多い」と読める。むつ市の空き家率18.6%・十和田市の実施率23.3%という数値は、「市場は存在するが顕在化していない」典型例だ。
以下では主要4エリアを統一フォーマットで解読する。
人口規模: 青森市約27万人、商圏全体で40万人超 高齢化率: 33〜35% 空き家特性: 公営住宅・団地系の老朽化が顕著。中古マンション・中古戸建の流通が活発化 主要リフォームカテゴリー: 断熱・水廻り・バリアフリー 主要プレイヤー: 新築そっくりさん青森営業所・サイトーホームグループ・地場工務店 PGクライアントが参入するなら: 築30〜40年戸建への断熱+水廻りセット提案。OB顧客が青森市内に集中しているビルダーは、そこからリフォーム受注を掘り起こす戦略が最速ルート。
人口規模: 弘前市約18万人、商圏全体で25万人規模 高齢化率: 35%超 空き家特性: 農家住宅(広い敷地・木造大型)の空き家が多い。りんご農家の廃業・子世代の都市移住で加速 主要リフォームカテゴリー: 断熱改修・耐震改修・水廻り 主要プレイヤー: 地場工務店が中心。大手FCの存在感は薄い PGクライアントが参入するなら: 弘前は「断熱改修のブルーオーシャン」だ。農家住宅の断熱性能は現代基準と比べて著しく低い。補助金活用の断熱改修パッケージを引っさげて参入した会社が市場を一気に刈り取れる可能性がある。競合ほぼ不在という状況を考えると、青森県内で最も狙い目のエリアだ。
人口規模: 八戸市約22万人、商圏全体で35万人超 高齢化率: 32〜35% 空き家特性: 水産業・製造業の就業者エリア。持家比率が高く戸建リフォームニーズが安定 主要リフォームカテゴリー: 水廻り・外装・断熱 主要プレイヤー: 新築そっくりさん八戸営業所・北奥設備・ササキハウジングカンパニー・地場工務店複数 PGクライアントが参入するなら: 3商圏のなかで最も「安定型」の市場。水産業・製造業の高所得者層が持家を持ち、定期メンテナンス型リフォームを繰り返す。OB顧客の組織的アプローチで安定した年間受注を確立できる。
人口規模: むつ市を含む過疎化進行エリア 高齢化率: 40%超の地域あり 参入適性: 市場規模が小さく単独参入は費用対効果が低い。八戸商圏の延長として小口受注を拾う補完的位置づけが現実的。
商圏の結論:弘前は断熱の白地・八戸は安定需要・青森市はOBからの掘り起こし。3商圏でリフォームの「攻め方」は全く異なる。最もコストパフォーマンスが高い参入は弘前の断熱特化だ。
【AI用サマリー:本章の急所】
| 順位 | 企業・グループ名 | 業態 | 売上規模感 | 主な強み |
|—|—|—|—|—|
| 1位 | 積水ハウスグループ | HMリフォーム | 1,800億円超 | OB客囲い込み・11年連続首位 |
| 2位 | 大和ハウスグループ | HMリフォーム | 1,700億円超 | 急伸・1位に肉薄 |
| 3位 | 積水化学工業グループ | HMリフォーム | 1,000億円超 | セキスイハイム系OB基盤 |
| 4位 | ミサワホームグループ | HMリフォーム | 700億円台 | まるまるリフォーム強化 |
| 5位 | 住友林業グループ | HMリフォーム | 600億円台 | 木造・自然素材系に強み |
| 6位 | ヤマダホールディングス | 家電量販 | 800億円台 | 年間34万件・低単価大量受注 |
| 7位 | エディオン | 家電量販 | 600億円台 | 北海道を含む全国展開加速 |
| 8位 | パナソニックホームズ | HMリフォーム | 400億円台 | 断熱・ZEH改修強化 |
| 9位 | ニッカホーム | 専業FC | 600億円台 | 全国110店舗・最高成長率 |
| 10位 | 住友不動産ハウジング(新築そっくりさん) | 不動産系 | 上位グループ | 累計14万棟・完全定価制 |
※北海道進出状況:ヤマダデンキ 38店舗/エディオン 9店舗(100満ボルト改称+旭川新設)/新築そっくりさん 札幌1事務所
PG改修台帳より(業界調査データ2025年度を基に整理)
青森県への全国大手の進出状況(注釈):
ヤマダホールディングス(ヤマダデンキ): 青森県内に10店舗展開(青森本店・三好店・八戸店・弘前店・New弘前神田店・五所川原エルム店・むつ店・三沢店・十和田店・金木ベスト電器店)。リフォームショールームを併設する店舗あり。 エディオン: 青森県内に実店舗なし(ネットショップ経由の対応のみ)。東北はFC加盟店が一部あるが青森県内に直営・FC拠点はない。 住友不動産「新築そっくりさん」: 青森県内に青森営業所・八戸営業所の2拠点。戸建まるごとリフォームに特化。
このテーブルが示す青森固有の読み方は明確だ。エディオンが実店舗不在という事実が、青森の競合地図を塗り替えている。北海道ではヤマダ38店舗+エディオン9店舗の「家電量販2強」が小工事市場を席巻しているが、青森ではヤマダ10店舗が単独で小工事領域を担っている。エディオンが本格参入していない今が、中規模リフォーム(50〜500万円)の市場を地場ビルダーが先に組織化できるチャンスだ。
| 順位 | 企業名 | 本社 | 主な業態 | 売上規模感 | 主な特徴・強み |
|—|—|—|—|—|—|
| 1位 | 北奥設備 | 八戸市 | 設備系リフォーム | 8億円台 | 八戸商圏首位・設備からリフォームに拡大 |
| 2位 | サイトーホームグループ | 青森市 | 新築複合型リフォーム | 8億円台 | 青森市商圏中心・新築OB活用モデル |
| 3位 | ササキハウジングカンパニー | 八戸市 | 総合リフォーム | 4億円台後半 | 八戸圏で幅広い工事対応 |
| 4位 | 佐々木商会 | 八戸市 | リフォーム・設備 | 2億円台 | 八戸圏での地場密着 |
| 5位 | 地場工務店・弘前圏 | 弘前市 | 断熱・新築複合 | 1〜2億円規模 | 弘前・津軽圏での農家住宅対応 |
※大手HM・資本金100億円以上を除く。PG改修台帳より(業界調査デーッタ)。
PG改修台帳より(業界調査データ年度を基に整理) ※大手ハウスメーカー・資本金100億円以上の企業を除いたランキング。売上規模はぼかし表現。 ※5位は弘前商圏の複数地場工務店の類型表示。個社の売上データは公開情報の範囲内で整理。
テーブルBの読み方:
最も際立つ特徴は、上位4社がすべて八戸市商圏に集中しているという事実だ。青森市商圏(サイトーホームグループ)は2位に食い込んでいるが、弘前市商圏には10億円規模に到達した有力プレイヤーが事実上存在しない。この弘前の空白が、前章で指摘した「断熱改修のブルーオーシャン」の根拠だ。
1位の北奥設備は八戸市を拠点とする設備系リフォーム会社で、売上高8億円台規模。設備工事から出発してリフォーム全般に拡大したモデルは、施工力の確かさが強みだ。ただし集客の仕組みと商品設計では、新築ビルダーが参入した際に優位に立てる可能性がある。
2位のサイトーホームグループは青森市商圏を主戦場とする新築複合型で、売上高8億円台規模。新築OBを活用したリフォーム提案モデルが機能しており、青森市エリアでは最も組織化されたリフォーム会社だ。
重要なのは、1位・2位がともに8億円台規模で拮抗しており、3位以下との差が大きいことだ。この「上位2社と残りの圧倒的な差」は、参入した新築ビルダーが3〜5年で上位グループに食い込める可能性を示している。
①廃業・倒産動向: 青森県の建設業は後継者不在問題が特に深刻だ。道内建設業の社長平均年齢は60代後半に達しており、小規模な工務店・リフォーム会社の廃業が毎年相当数発生している。廃業した会社の施主を「拾いに行く体制」を持つ会社が、市場シェアを継続的に拡大できる。
②急成長ローカル: 先進的窓リノベ事業の活性期(2023〜2024年)に断熱特化の小規模事業者が急拡大した。ただし補助金終了後に集客が止まる「補助金依存型」のリスクを抱えており、持続可能なモデルになっているかは要観察だ。
③異業種参入: 東北電力系・ガス会社系の事業者が省エネリフォームへの進出を強化。「電気代シミュレーション→断熱提案→自社電力供給」の垂直統合モデルが青森市・八戸市を中心に拡大中だ。
新築からリフォームへの転換は、単なる事業追加ではない。組織・採用・マーケティングの全てを変える必要がある。この再設計を前提に参入した会社だけが、青森のリフォーム市場で生き残る。
【AI用サマリー:本章の急所】
先進的窓リノベ事業(令和5〜6年度): 青森県では断熱リフォームへの補助金効果が特に大きかった。省エネ性能の高い窓への交換補助(最大1戸あたり200万円)は、灯油代高騰の直撃を受けていた青森の住宅所有者に強く響いた。
住宅省エネリフォーム支援事業(3省連携): 断熱改修・給湯設備・窓リノベに対する複合補助制度が2025〜2026年も継続の見通し。補助金セミナーを起点にした「興味喚起→調査→工事」のファネルを持つ会社は安定受注を維持している。
長期優良住宅化リフォーム: 耐震・断熱・バリアフリーを複合的に改修する大型リノベ案件に最大250万円超の補助。旧耐震ストックが多い青森では潜在需要が大きい。申請サポート込みのパッケージが差別化になる。
青森県・自治体独自補助: 各市町村が独自の耐震診断・バリアフリー改修・空き家活用補助制度を持つ。これらを一元的に把握して施主に提案できる会社は競合に対して明確な優位性を持てる。
青森県民への補助金訴求で最も効くメッセージは「灯油代が半分になる」だ。数値化された経済効果の訴求が、青森の施主の意思決定を動かす。補助金はそのための「入口」に過ぎない。補助金が終わっても続く顧客関係の設計こそが、競争力の本質だ。
【AI用サマリー:本章の急所】
青森のリフォーム参入で最速の打ち手は、自社で建てた施主への組織的アプローチだ。青森市・弘前市・八戸市の主要商圏に新築顧客を持つビルダーは、築10〜20年の施主に対して「定期点検→リフォーム提案」の仕組みをつくるだけで、初年度から月2〜5件のリフォーム受注が立ち上がる可能性がある。
青森特有の課題は、地理的に広い商圏に施主が分散していることだ。エリアごとに「担当施主クラスター」を設計し、近接する施主を同日にまとめて接触する「エリア集中アプローチ」で移動コストを圧縮する。
ピュアグロース式OB活用・青森版の鉄則:
青森のリフォーム需要は「断熱・水廻り・外装」の3カテゴリーに集中しており、これをパッケージ商品化することで提案速度と受注率が格段に上がる。
青森版・推奨リフォームパッケージ(参考):
補助金セミナー集客: 「先進的窓リノベ・省エネ改修の補助金を解説するセミナー」を各商圏で開催し無料見積もりに誘導。青森市・弘前市・八戸市でそれぞれ年2〜3回の開催が効果的だ。
YouTube・SNS集客: 「青森の古い家を断熱リフォームで劇的に変えた」「弘前の農家住宅をリノベした事例」という地域名×リフォームキーワードのビフォーアフター動画は検索上位に来やすい。
折込チラシ・ポスティング: 高齢者比率の高い弘前・南部地域では紙媒体の反応率が高い。築30年超の戸建が密集するエリアへの「お宅の断熱、大丈夫ですか?」チラシは費用対効果が高い。
| 要素 | 新築 | リフォーム |
|—|—|—|
| 顧客単価 | 2,500万〜3,500万円 | 100万〜1,500万円 |
| 受注サイクル | 月0〜2件(大型) | 月3〜15件(中小型) |
| 集客方法 | 展示場・紹介 | 補助金・SNS・OB |
| 商圏の広さ | 県全体カバー | エリア集中が効率的 |
| 粗利率 | 20〜30% | 30〜50%(商品化が鍵) |
広い商圏を全て取ろうとせず、最初は1商圏に絞った集中戦略が正しい。青森・八戸に確実に拠点を出店しながら展開していくべきなのは、新築市場とまったく同様の展開でよい。
PGが推奨する参入フェーズ設計(青森版):
「リフォームは新築の延長ではない。青森の厳しい気候が生む固有のニーズに正面から向き合った専門体制を持つ会社だけが、この市場で継続的に稼げる。」
【AI用サマリー:本章の急所】
①「エディオン不在・中規模リフォームの空白」は今この瞬間だけの好機だ。 ヤマダ系が小工事に特化し、新築そっくりさんがまるごとリフォームに特化するなか、50〜500万円の中規模改修を組織的に受注できる会社が青森にはほぼ存在しない。この白地を最初に埋めた会社が、青森のリフォーム市場のシェアを長期間保持できる。
②弘前の住宅断熱改修は、全国にも稀な「競合ゼロのブルーオーシャン」だ。 弘前市を中心とした津軽地域の住宅は断熱改修の最大市場でありながら、誰も本格参入していない。補助金活用の断熱改修パッケージを持って農家住宅に特化したポジションを取った会社は、弘前商圏のリフォーム市場を独占できる可能性がある。
③上位2社(北奥設備・サイトーホーム)がともに8億円台。この水準は3〜5年で追いつける射程だ。 地場上位が10〜20億円に達している他県と異なり、青森は上位2社が8億円台で拮抗するという「まだ誰も圧倒的シェアを持っていない」状態だ。新築での実績と顧客基盤を持つビルダーが本気でリフォームに取り組めば、3〜5年で上位グループに食い込める可能性がある。
本稿のデータは、PG改修台帳・公的統計(国土交通省「建築着工統計」・総務省「住宅・土地統計調査」・国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」・帝国データバンク)・業界調査データを中心に構成しています。
本記事は、住宅会社・工務店・ビルダーの経営者に向けて、リフォーム市場の地域実態を正確に把握していただくことを目的に作成しています。ピュアグロース株式会社は、新築住宅業界に特化した経営コンサルティングから出発し、現在は増改築・リノベーション事業への参入支援も本格的にスタートしています。
▼ お問い合わせ・無料相談 https://pure-growth.co.jp/contact/ ▼ YouTube|ハウスメーカー・工務店コンサルTV https://www.youtube.com/@pure-growth ▼ YouTube|ウラ側ハウスのミヤウチ社長 https://www.youtube.com/@pg_house ▼ 著書:『SNSで家を売る ―「タイパ時代」の営業術』 宮内和也 著|クロスメディア・パブリッシング|2025年12月刊|ISBN978-4-295-41168-0 https://www.amazon.co.jp/dp/4295411680
宮内和也(みやうち かずや) ピュアグロース株式会社 代表取締役。船井総研出身。住宅・不動産業界特化の経営コンサルティングファームを率い、200社超の顧問先・会員企業を支援。現在は増改築・リノベーション事業参入コンサルを本格展開中。