「経験者を採用すると、社風が壊れるのではないか」
「求人を出しても、優秀な人材が来てくれない」
採用難が続くなか、住宅会社・工務店の経営者様からこうした相談を受けることが増えています。応募を増やす施策も大切ですが、見落とされがちなのが「社長自身が優秀な人材を口説けるか」という視点です。
ピュアグロースでは、全国の経営者17名が参加する1泊2日の「社長力強化合宿」を開催しました。事前課題は、元大手ハウスメーカーのトップ営業で現在は当社コンサルタントのメンバーを「口説く」こと。全員がその人物と採用面談を行い、「当時の自分が転職を考えていたら、この会社に入りたいと思うか」という基準で率直に評価しました。本記事では、その合宿から見えたハイパフォーマーを採用できる社長の共通点を解説します。
社長は営業や設計には「ロープレをしよう」と言いますが、自分自身が採用面談のロープレをしたことはほとんどありません。合宿でも「履歴書を面談の15分前に見ていた」「会ったときのノリで話していた」という声が多く聞かれました。そのやり方でうまくいく人もいますが、準備して臨むべき社長も多い。それに気づくだけでも大きな前進です。
成果を出している人材は、絶対に転職したいと考えているわけではありません。今の職場に満足はしている。けれど、何かが足りない。だから外を見ている、という層です。
この「足りないもの」を引き出せなければ、その後の話は続きません。評価の高かった社長は、「環境があるのは当然、あなたならできるでしょう」というスタンスで、「あなたは結局どうなりたいんですか」と問いかけていました。

ある社長は、まず経営理念を説明し、そこから会社を紹介したため話がすっと入ってきました。「悪い噂はすぐに広まるが、良い評判はなかなか広まらない。だから一件一件誠実に向き合うしかない」といった言葉と、紹介受注が4〜5割という実績がセットで語られ、説得力がありました。例え話を多く使い、聞き手が同じ物語に入り込めるように話すのも特徴です。人柄で「すごい人だ」と思わせ、熱量のあるプレゼンで引きつけ、最後に人間力で信頼をつかむ。この順番を準備しておくことが再現のポイントです。
別の社長は、冒頭で「仕事ではなく、個人としてどうなりたいか」を尋ねました。候補者が個人的な夢を語ると、まず受け止めたうえで「それでいいんですか。もっと大きな夢を持てるのでは」と問いかけます。そして自身の挫折と再起のストーリー、「会社は社員が自己実現できる場所でなければならない」という考えを語りました。候補者の夢をさらに大きくし、それを自分も一緒に叶えたいと伝えることで、「この会社」より「この社長にまた会いたい」と思わせていました。
さらに「共感できないなら来なくていい」と序盤ではっきり伝えることで、聞く側の集中力も高まり、会社の魅力がかえって伝わります。
最も印象に残ったのは、「入社したらこういうことをやってほしい、こういうことができる」という提案を8つも用意していた社長です。たとえば独立志向の候補者に対し、「ゼロからの独立は人も採れず、銀行も後ろ向きで超ハイリスク。グループ内で経営者のポジションを担えばローリスク・ミドルリターンで挑戦でき、失敗しても戻れる」と提案しました。AIでは作れない、相手を本気で調べ、考え抜いた提案です。
合宿では、長年大手企業の経営に携わってきた講師から、人間性を見極める質問の仕方も共有されました。「あなたは素直ですか」と聞いても「はい」としか返ってきません。具体的な経験を聞くことがポイントです。
| 見極めたいこと | 質問の例 |
|---|---|
| 素直さ | 今までで一番叱られたことは? それをどう反省し、 どう直しましたか? |
| 誠実さ | 嘘をついて失敗したことは? その後、行動を どう変えましたか? |
| 感謝の気持ち | 人生で一番影響を受けた人は? それはなぜですか? |
| お金の使い方 | 給料が増えたとき、 何に使いましたか? |
あわせて、教育者・森信三氏の「しつけの三原則(挨拶・返事・後始末)」が家庭や学校、職場で身についているかも重要な判断材料になります。面接慣れした候補者もいるため、最終判断は会社訪問をしてもらってから行うのがおすすめです。
新卒採用だけを続け、経験者を「カルチャーを壊す怪獣」と敬遠してきた会社は少なくありません。しかし、社風を壊すのは本当のハイパフォーマーではなく、稼ぐことだけが目的の人材です。

こうした人材はめったにいません。だからこそ、出会えたときには十分に準備し、本気で口説いて仲間にする必要があります。
また講師からは、「売上や利益が未達で叱ったことは一度もないが、嘘をついたときは本気で叱る」「採用したら一人前にしてやるという強い信念を持つこと」というメッセージも贈られました。
A. 本当のハイパフォーマーは社風を壊しません。むしろ前職の経験を生かして周りを巻き込み、会社を良くしてくれます。実績へのプライドを捨てられるか、理念に共感しているかを見極めることが大切です。
A. まず理念と人柄を伝え、相手が「今の職場に何が足りないと感じているか」「どうなりたいか」を引き出します。そのうえで相手の夢を一緒に描き、入社後の具体的な提案を示しましょう。事前の準備とロープレが欠かせません。
A. 「素直ですか」と直接聞くのではなく、「一番叱られた経験とその後どう直したか」など、具体的なエピソードを聞きます。素直さ・誠実さ・感謝の気持ち・お金の使い方の4つを確認するのがおすすめです。
ピュアグロースでは、母集団形成やスカウトだけでなく、社長自身の採用力を高める支援も行っています。経営者向け勉強会では、こうした実践型の合宿も開催しています。