【47都道府県マーケットレポート㊴】高知県の住宅市場分析|人口動態・着工構造・主要プレイヤーから読み解く2026年の経営戦略・工務店経営を読み解く

2026.05.18 2026.05.18

目次

高知県の住宅市場分析|南海トラフ・陸の孤島・地場覇権から読み解く2026年の経営戦略

高知県は、四国4県のなかで最も人口が少なく、最も人口減少率が高く、そして最も「特殊」な住宅市場である。坂本龍馬・板垣退助・岩崎弥太郎を輩出した土佐の地は、いまも独自の歴史・気質・地政学的条件のなかで住宅市場が成立している。本州との間に四国山地が立ちはだかり、南は太平洋に開かれ、可住地面積割合は16%と全国最小値。高知県の住宅市場を理解するには、人口や着工戸数の数字だけを追っても本質に届かない。

最大の特徴は4つに集約される。第一に、業界トップの一条工務店が高知県に展示場を出店していないという、47都道府県で沖縄と高知のみ、というほぼ唯一の異例の構造。第二に、南海トラフ巨大地震の最大津波高34m・最大震度7・地盤沈下による高知市中心部約2,800haの長期浸水想定という、住宅市場の前提を揺るがす災害リスク。第三に、「陸の孤島」と呼ばれた地理的隔絶ゆえに育まれた、県外大手の参入が極めて少ない「地場ビルダー絶対優位」の市場構造。第四に、建匠グループが高知県着工棟数No.1を維持し、土地情報ネットワークと展示場戦略で県内市場を制圧している点だ。PG社は建匠様はじめ、複数の顧問先・会員先を抱えている。
筆者も建匠様を顧問として定期的に高知県に訪問をしているので、地域制は理解している認識で執筆する。

本稿では、高知県住宅市場の構造を「南海トラフ前提市場」「陸の孤島型市場」「地場覇権型市場」の3つのキーワードで解剖する。


■ 高知県の位置づけ|全国47都道府県のなかでの座標

▼ 総人口(2026年4月1日推計) 約63.8万人 全国45位(四国最少)
▼ 世帯数 約30.8万世帯
▼ 高齢化率(65歳以上) 約36.8% 全国上位水準
▼ 県土面積 約7,103平方キロメートル 全国18位
▼ 可住地面積割合 約16% 全国最小値
▼ 高知市の人口集中率 約48.6%(県人口の約半数が高知市に集中)
▼ 県内総生産(2022年度) 約2兆4,704億円 全国46位
▼ 1人当たり県民所得 約182.6万円 全国46位
▼ 森林面積割合 約83.3% 全国第1位
▼ 年間日照時間・年間降水量 ともに全国トップクラス


■ 高知県の地理的要因と「陸の孤島」の意味

ピュアグロース式・高知県エリア分析が前提とする地理的特性

**高知県の地政学的核心は「四国山地によって本州・四国他県と隔絶された孤立性」にある。**県の北方を東西に走る四国山地が愛媛県・徳島県との間を遮り、南は太平洋に開かれる。高知県は東西に長い四国の南部、太平洋から四国山地の尾根までの範囲で「海の国」としてのイメージが強いが、高知市から香南市・香美市土佐山田町南部に至る高知平野、香長平野と南西部の四万十市周辺がやや広い平野となっているほかは、そのほとんどが海の近くまで山が迫る典型的な山国である。可住地面積割合は16 %で全国最小値である。

**高知県は「陸の孤島」と呼ばれてきた。**高知県は「陸の孤島」と称されるほど長年にわたり交通機関が不便な土地であり、高速道路の整備が1990年代にまで遅れたことからその小売業者は県域で循環する性格が強い傾向にあった。この「県域内循環性」は、高知県の住宅市場が「県外大手が侵入しにくく、地場が圧倒的に強い」という構造を生み出した本質的な要因である。

第一に、四国山地を越える主要道路の脆弱性である。香川県境を貫く国道32号、愛媛県境を貫く国道33号、いずれも2車線道路で、台風や集中豪雨で頻繁に通行止めとなる。高知自動車道の川之江JCT〜大豊IC区間も冬季の積雪で通行止めが起きやすく、「陸路が止まれば本州との物理的アクセスが遮断される」状況がいまも残る。

**第二に、高松・松山・徳島と比べて「本州への所要時間が圧倒的に長い」**こと。高松から岡山まで瀬戸大橋経由で約55分、松山から広島までフェリー併用で約2時間半、徳島から大阪まで明石海峡大橋経由で約2時間半。これに対し、高知市から岡山・広島・大阪のいずれにも車で3〜4時間以上かかる。この「アクセスの遠さ」が、高知県の経済圏を独立的なものにしてきた。

第三に、高知市への極端な一極集中。県人口約63.8万人のうち約31万人が高知市に集中し、人口集中率は約48.6%。これは47都道府県でも極めて高い水準で、人口の分布としては県庁所在地の高知市に県民のほぼ半数が居住し、いわゆるプライメートシティとなっている。単独市制施行に必要な人口である5万人を上回る市は高知市のみであり、全都道府県中最も少ない。

第四に、東西に長い県土と過疎地帯の広がり。県土は東西に約180kmと長く、東端の東洋町から西端の宿毛市・大月町までは車で3時間以上。室戸岬・足摺岬という日本有数の岬を擁する一方で、その間の沿岸部・山間部は過疎化が深刻だ。県中部の高知平野の他に比較的まとまった人口が居住する地域は四万十市などごく僅かであり、県西部・東部は日本でも有数の人口密度が低い地域となっている。

「陸の孤島」が育んだ高知の独自経済圏

「陸の孤島」という地理的条件は、高知県に独特の経済・文化を育てた。県外資本の小売・流通が侵入しにくい構造のなかで、地元資本のスーパー(サンプラザ・サンシャイン・マルナカ等)、地元放送局(RKC・KUTV・KSS・KSC)、地元銀行(四国銀行・高知銀行・高知信用金庫)が独自の経済圏を形成してきた。住宅市場もこの構造の延長線上にある。

**「高知の人は高知の会社で家を建てる」**という地場信仰が極めて強く、これが地場ビルダーの圧倒的優位性を支えている。建匠・サン・ブランドハウス(シオミホーム)・はりまや住宅・益岡工務店・和建設・SHINKAの家といった地場ビルダーが、全国大手を寄せ付けない強さを発揮してきた背景には、この「陸の孤島型ローカル経済圏」がある。

一次産業・サービス業中心の経済構造

高知県の経済活動別県内総生産を全国と比較すると、製造業の比率が低い一方、保健衛生・社会事業のほか、農林水産業などの比率が高い。製造業の比率が低い高知では、所得水準も全国下位(1人当たり県民所得46位)となっており、住宅購買力は四国4県の中で最も弱い。

主力産業は、(1) 農業:ピーマン・なす・トマト・しょうがを中心とする施設園芸(ハウス農業)が全国トップクラス、(2) 林業:森林面積割合83.3%は全国1位で、土佐杉・土佐ヒノキの一大産地、(3) 水産業:カツオ一本釣り・養殖・遠洋漁業が伝統的な基幹産業、(4) 観光業:四万十川・仁淀川・室戸ジオパーク・足摺岬・坂本龍馬関連史跡などの観光資源、(5) 公務・医療・福祉:高齢化率の高さから医療・介護業の比率が拡大している。

製造業は紙パルプ(土佐和紙・大豊製紙)・食品加工・一次産品関連が中心で、香川や愛媛のような大規模製造業集積地は限定的だ。この産業構造が「公務員・医療従事者・農業従事者が安定的住宅需要層」という市場特性を生んでいる。


■ 第1章|人口・世帯動態

1-1|2026年4月時点で63.8万人・10年連続で1万人超の減少

高知県の人口は、2026年3月までの1年間に9975人減った。死亡数が出生数を上回る自然減は7640人となり、転出数が転入数を上回る社会減は2335人となった。その結果、推計人口(4月1日現在)が63万8338人となり、64万人を割った。1年前の2025年4月には64万8313人で、すでに65万人を下回っていた。

直近の人口推移を整理すると以下の通りだ。

  • 2020年(国勢調査) 約69.2万人
  • 2024年4月 約65.9万人
  • 2025年4月 約64.8万人(前年比1.1万人減)
  • 2026年4月 約63.8万人(前年比1.0万人減)

四国4県のなかで最も人口が少なく、減少率も最も高い。高知の人口減少は、香川・徳島・愛媛のいずれよりも先行して進行しており、住宅市場の縮小ペースも四国4県で最速だ。

1-2|高齢化率36%超・若年人口の長期的減少

人口の2.8人に1人が65歳以上、5.3人に1人が75歳以上で、高齢者と生産年齢人口の比率は、1対1.5となっています。つまり、1人ないし2人の青年・壮年・中年が1人の65歳以上の高齢者を支えていく社会です。2025年時点の高知県の人口構造は、すでに「日本の30年後の姿」を先取りしている。

若年人口(34歳以下)は、これに先立ち昭和50年以降、45年以上連続して減少しており、直近10年間(平成22年~令和2年)の減少率は、総人口(▲9.5%)に比べて、若年人口(▲20.4%)が大きい。住宅一次取得層(25〜44歳)の減少は、新築需要の構造的縮小を意味する。

1-3|高知市一極集中と県東部・西部の急速な過疎化

市町村別の人口分布は極端な「高知市一極集中」型だ。

  • 高知市 約31.0万人(県人口の48.6%)
  • 南国市 約4.6万人
  • 香南市 約3.2万人
  • 四万十市 約3.1万人
  • 香美市 約2.6万人
  • 土佐市 約2.6万人
  • 須崎市 約1.9万人
  • 宿毛市 約1.8万人

特筆すべきは、**「住宅市場として成立する市町村が極めて少ない」**という事実だ。年間着工棟数が30棟を超える地域は、実質的に高知市・南国市・香南市・四万十市の4市に限られる。県東部の室戸市・安芸市、県西部の土佐清水市・宿毛市・大月町・黒潮町は、人口減少と高齢化により住宅市場としての規模が縮小し続けている。

1-4|「はちきん」気質と土佐人の県民性

高知県の住宅市場を理解するうえで、土佐人の県民性は欠かせない要素だ。県民性を簡単に言うと、「酒を酌み交わせば誰とでもすぐ親しくなれる」「とにかく心が温かくて、誰にでも親切」とった特徴があります。 · また、エネルギッシュでパワフルな”よさこい祭り”に高知県民の元気さが表れています。 · なかでも、活発な女性を表す”はちきん”という土佐弁があるくらい、高知県は特に女性が元気です。 · ハキハキしていて行動力があり、働き者で面倒見が良く、そして真面目です。

「土佐の三気質」と住宅購買行動。土佐人の気質として一般に語られるのは、「いごっそう(頑固で一徹)」「はちきん(活発で気が強い女性)」「おきゃく文化(酒席でとことん語り合う社交性)」の三気質だ。これが住宅購買行動にも色濃く反映される。

第一に、「いごっそう」が生む地場ビルダーへの忠誠心。「いったん信頼した会社・営業担当者と長く付き合う」「他人の意見より自分の判断を優先する」という気質は、地場ビルダーの営業担当者と一度信頼関係を築けば、紹介の連鎖が起こりやすい市場構造を生む。一方で、「県外資本・大手の上から目線」を嫌う気質でもあり、全国大手ハウスメーカーが侵入しにくい風土を作っている。

第二に、「はちきん」が決定権を握る家づくり。土佐の女性は意思決定が早く、家づくりにおいてもプランニング・設備・デザインの最終決定権を持つことが多い。「はちきん奥さんを動かす提案力」が住宅会社の受注成否を分ける重要な変数となる。Instagram・Pinterest等のビジュアル訴求が刺さりやすい市場でもある。

第三に、「おきゃく文化」が育てる紹介経済。土佐の「おきゃく」は単なる飲み会ではなく、地域コミュニティの結節点として機能する。住宅会社の経営者・営業担当者が地域の「おきゃく」に呼ばれる関係性を築けるかどうかが、紹介受注の決定要因となる。これは香川の地場文化とも、徳島の関西志向とも違う、土佐独自の文化資本だ。

第四に、「県外より地元」の価値観。坂本龍馬の維新志士的気風から続く「土佐は土佐」というアイデンティティが、住宅選びにおいても「全国大手より地場の会社」を優先させる。建匠が「高知県着工棟数No.1」を維持できている根本要因は、この県民性に深く根差している。

考察|「人口は急減・所得は最低・高齢化は最先端、それでも地場が強い」

高知県の人口・世帯動態を経営判断のフレームに整理すると、**「人口減少は四国最速・所得は全国最低水準・高齢化は最先端、それでも地場ビルダーが強い」**という、一見矛盾した構造が見えてくる。新築需要の縮小は構造的に避けられないが、地場の信頼資産と土佐人の気質が、地場ビルダーに「狭くて深い市場」を保証している。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 2026年4月時点で高知県人口は63.8万人、毎年約1万人ペースで減少
  • 高知市が県人口の48.6%を占める極端な一極集中(プライメートシティ)
  • 高齢化率36%超で全国最先端、若年人口は45年以上連続減少
  • 「いごっそう」「はちきん」「おきゃく」の三気質が地場ビルダーの優位を支える
  • 県民所得は全国46位、住宅購買力は四国4県で最も弱い

■ 第2章|着工動向と「四国最小市場」の構造

2-1|四国最小・年間2,000戸前後の住宅市場

高知県の新設住宅着工戸数は、近年2,000〜2,300戸前後で推移している。高知県の最新の新設住宅着工戸数(持家・分譲住宅)は、1,765(戸)です。(2023年)。こちらの日本全国の新設住宅着工戸数(持家・分譲住宅)が多いランキング表では、統計が取れる47つの都道府県の中で、高知県は46位と、全国でも最下位クラスの規模である。

四国4県の住宅着工市場規模を比較すると以下の通りだ(2024年)。

  • 愛媛県 約5,200戸前後
  • 香川県 約4,800戸
  • 徳島県 約2,800戸
  • 高知県 約2,000〜2,300戸

四国全体(約14,910戸)のなかで、高知の市場シェアは約14〜15%に過ぎず、香川(32%)や愛媛(35%)と比べて圧倒的に小さい。「四国の住宅市場における高知の存在感は限定的」という事実は、県外ビルダーが高知への展開を後回しにする経済合理性の根拠となってきた。

2-2|2024年全国の住宅着工縮小局面と高知

2024年の年間の新設住宅着工戸数は 79万2,098戸で、前年比としては3.4%減で2年連続減少となり、15年ぶりに 80万戸を下回った。全国的に住宅市場の縮小が進む中、残り40都道府県は数%~10%を超える減少幅となった。高知県も2024年は持家を中心に減少傾向が続いた。

2-3|「狭くて深い」高知市場の収益構造

高知の住宅市場が「狭い」ことは事実だが、地場ビルダーにとっては「深く濃い」市場でもある。年間着工2,000戸前後の市場で、年間100棟超を施工する地場最大手の建匠が君臨し、年間30〜80棟級の地場中堅ビルダーが複数存在する。市場が小さい分、競合数も限定的で、上位5〜6社で市場の半分以上を占有する寡占構造に近い。

この「寡占的市場構造」は、新規参入者にとって極めて高い参入障壁となっている。建匠・サン・ブランドハウス・はりまや住宅・益岡工務店・和建設の上位陣はすでに地元の土地情報・施工網・施主OBネットワークを掌握しており、新規参入者がこれを切り崩すには5〜10年単位の長期投資が必要となる。

2-4|持家比率の高さと「土佐の家」文化

高知県は持家比率が全国的に高い県のひとつだ。特に郡部・農村部では「親の土地に家を建てる」継承型持家が多く、地場工務店の固定顧客基盤を形成している。都市部(高知市中心部)では分譲マンション・建売の比率も上昇しているが、市全体としては注文持家が主流だ。

土佐の住宅は伝統的に「縁側のある木造平屋」「土佐漆喰の白壁」「土佐和瓦の屋根」というイメージが強かったが、現代ではこうした伝統工法は減少し、ハウスメーカー型の総2階建てや、土地単価が高い高知市中心部では「狭小地3階建て」が増えている。

考察|「四国最小市場・狭くて深い寡占構造」

高知県の住宅市場は、**「全国最下位クラスの市場規模だが、地場上位寡占型で参入障壁が極めて高い」**という独自構造を持つ。市場の絶対量で見れば成長余地は限定的だが、上位ビルダーにとっては「県外勢が来ない安全市場」として収益性を確保できる。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 高知県の新設住宅着工は約2,000戸前後、全国46位(持家・分譲住宅で46位)
  • 四国全体の14〜15%のシェア、香川・愛媛と比べて圧倒的に小規模
  • 上位5〜6社で市場の半分以上を占める寡占構造
  • 県外大手の参入障壁が高く、地場ビルダーが土地情報・OB網を掌握
  • 持家比率は全国上位、注文住宅主流の市場

■ 第3章|南海トラフ巨大地震と住宅市場の特殊性

3-1|全国最大34mの津波・地盤沈下による高知市中心部2,800ha長期浸水

高知県の住宅市場を語るうえで、南海トラフ巨大地震の被害想定は最大の前提条件である。最大クラスの南海トラフ…いてもすべての沿岸市町村で10m以上が想定されており、土佐清水市と黒潮町は全国最大の34mの津波が予想されています。34mというのは、10階建てビルを超える高さの津波であり、沿岸部の住宅は事実上「居住不可能リスク」を抱えている。

さらに深刻なのは、地盤沈下による高知市中心部の長期浸水想定だ。特に高知市においては、地震発生時に約1.5m地盤が沈降するため、様々な都市機能が集中する中心市街地が約2800haも長期に浸水すると想定しているほか、宿毛市においても同様に、約2.4m地盤が沈降し、市の中心部が約559haも長期に浸水すると想定しています。

**地震直後の津波被害だけではなく、地盤沈下による「長期浸水」**という想定は、高知の住宅市場における土地選びの判断基準を根本的に変えている。「津波が引いた後も水が引かない」「数週間〜数か月単位で市街地が水没し続ける」という想定は、住宅会社・施主双方の土地選びに重大な影響を与える。

高知県や西日本各地に大きな被害をもたらした昭和南海地震は、1946年(昭和21年)1221日午前4時19分に和歌山県潮岬の沖合い約50キロメートルの海底で発生しました。地震の規模を表わすマグニチュードは8.0でした。 · 高知県の沿岸には4~6メートルの津波が押し寄せ、大きな揺れと津波により679人が死亡・行方不明、1,836人が負傷したほか、4,846戸の家屋が全壊・流失するなど大きな被害が出ました。1946年の昭和南海地震の記憶は、土佐人の世代間で語り継がれており、「南海トラフは必ず来る」という前提が県民の意識に深く刻まれている。

3-2|2026年3月公表の新被害想定と住宅市場への影響

南海トラフ地震の被害想定を検討する高知県の会議が開かれ、津波などの被害をどのように予測するかについて議論されました。 県は2013年以来となる独自の被害想定を作成することにしていて、20日は高知市で3回目の検討委員会が開かれました。会には委員長である名古屋大学の福和伸夫名誉教授と東北大学の今村文彦教授も出席し、津波浸水予測について言及しました。新しい被害想定の2026年3月公表に向けて、あと3回会議が開かれることになっている。

2026年3月に新被害想定が公表されれば、ハザードマップの更新・住宅会社の販売地選定・施主の土地購入判断のすべてに影響が及ぶ。住宅会社としては、新想定の公表前後で「安全エリアの再定義」が起こることを想定した戦略が必要となる。

3-3|ハザードマップが規定する高知の土地市場

高知県の土地市場は、**「ハザードマップ前提市場」**として動いている。津波浸水想定区域・地震時地盤沈下想定区域・土砂災害警戒区域などのハザード情報が、土地価格・住宅需要に直接反映される構造だ。

高知市内では、津波浸水想定区域(特に沿岸部・低地)の土地価格が抑制される一方、市北部の高台(朝倉・薊野・愛宕・神田・鴨田・一宮等)や、南国市の高台エリアへの需要が集中している。

一方、ハザードマップで安全とされる高台のなかでも、土砂災害警戒区域に該当しない平坦地は希少で、優良な土地は早期に売買成立する傾向が強い。建匠が「土地情報No.1」を掲げる経営戦略の本質は、この「ハザード前提市場での優良地確保」にある。

3-4|耐震性能・避難安全性が商品の中核に

高知の住宅会社にとって、**耐震等級3・制震ダンパー・免震構造は「あって当たり前」**のレベルに達している。建匠が「ZEHより断然高断熱」「全国の建てた家を実際に1棟1棟揺らす」と謳い、地場の益岡工務店も「減震パッキンUFO-E」を採用し、地震対策を商品の中核に据えている。工務店森本も「スーパーウォール工法」で「制震性能」を訴求している。「耐震だけでなく制震」という二重防御の打ち出しが、高知の住宅会社の標準的なポジショニングとなっている。

3-5|南海トラフ臨時情報と事前避難の住宅地選定

「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」が発表された場合,後発地震発生後の避難では間に合わないおそれがある地域(事前避難対象地域。高知市の場合は,30センチメートル以上の津波浸水が地震発生から30分以内に生じる地域)に対し,大津波警報又は津波警報が,津波注意報に切り替わったあと,避難指示等を発令し,避難を継続させます。事前避難対象地域に該当するかどうかは、土地・住宅選びの重要な判断基準となる。

住宅会社は、施主への土地提案時に「南海トラフ臨時情報での事前避難対象地域に該当するか」を必ず説明することが、信頼関係構築の前提条件となっている。

考察|「南海トラフ前提市場ゆえに、住宅会社の役割が大きい」

高知県の住宅市場は、**「南海トラフという巨大リスクを前提とする市場ゆえに、住宅会社が提供する『土地の安全性判断』と『建物の耐震・制震性能』が極めて高い付加価値を持つ」**という、他県にはない独自構造を持つ。建物そのものの性能勝負だけではなく、「どこに建てるか」を含めた総合提案力が、高知では住宅会社の競争力の核心となっている。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 南海トラフ最大津波高34m(土佐清水市・黒潮町)、全国最大
  • 高知市中心部約2,800ha・宿毛市約559haが地盤沈下で長期浸水想定
  • 2026年3月に新被害想定公表予定、ハザードマップ更新の影響大
  • 高知市北部の高台エリア(朝倉・薊野・愛宕・神田)に需要集中
  • 「耐震+制震」の二重防御が高知住宅会社の標準ポジショニング
  • 住宅会社の「土地の安全性判断」が他県以上に高い付加価値を持つ

■ 第4章|土地単価と狭小地3階建ての市場構造

4-1|高知市は坪単価約30万円・地方都市としては中位

高知市の土地市場は、地方県の県庁所在地としては平均的な水準にある。高知市における土地取引価格は、2025年(令和7年)第1四半期~第3四半期において、平方メートル単価で8万0911円/m2、坪単価では26万7477円/坪、前年変動率-2.36%です。

住宅地の基準地価(2025年[令和7年])における高知市の平均は7万1943円/m2、坪単価では平均 23万7830円/坪で、前年からの変動率は+0.19%の上昇です。 · 商業地の基準地価(2025年[令和7年])における高知市の平均は13万3169円/m2、坪単価では平均 44万0229円/坪で、前年からの変動率は+0.14%の上昇です。

高知県の市町村の基準地価平均は高い順に高知市 9万4117円/m2、南国市 5万5200円/m2、いの町 3万8168円/m2、土佐市 3万6328円/m2、香美市 3万2282円/m2です。高知県の市町村の基準地価の変動率は高い順に南国市 +0.27%、高知市 +0.15%、いの町 -0.23%、佐川町 -0.28%、日高村 -0.31%です。

注目すべきは、南国市と高知市の地価が微増している点だ。県全体としては下落傾向のなか、この2市だけが安全エリア需要・利便性需要から微増している。これは、南海トラフ・ハザードマップ前提市場ならではの現象だ。

4-2|高知市内の3階建て住宅が増加する構造的要因

高知市の住宅市場における特殊現象として、狭小地3階建ての増加が挙げられる。駅周辺などの立地の良い人気エリアでは、狭小地を購入するという選択肢もあります。狭小地の目安は、一般的に15~20坪以下。限られた予算内で立地の良いところに住めるのがメリットです。 狭小地に家を建てるときは、3階建てにすると居住スペースを広く確保できます。また、開放感のあるリビングにしたい場合は、吹き抜け構造にして大きな窓をつけるなどの工夫が必要でしょう。

3階建て住宅が増えている構造的要因は3つある。

第一に、ハザードマップ前提市場での「安全な高台に住みたいが、土地が狭い」という需要。高知市北部の高台エリアは斜面が多く、可住地として確保できる土地が15〜25坪と狭くなりがちだ。狭小地を3階建てにして居住面積を確保する選択肢が、自然と増えている。

第二に、津波浸水想定区域内での「3階建てによる垂直避難」という発想。沿岸部・低地に既存の土地を持つ施主が建て替えを行う場合、「1階を駐車場・収納、2階を主要居室、3階を寝室として垂直避難スペースを確保」という設計思想が現実的選択肢となる。

第三に、市街地の利便性を重視する若い世代の都市型ライフスタイル。高知市中心部(追手筋・はりまや橋周辺)への通勤利便性を重視する世代が、狭小地3階建てを選ぶケースが増えている。

地場ビルダーの中には、3階建て住宅を強みとする会社が複数存在し、はりまや住宅などはこの需要をしっかり取り込んでいる。持っていることは重要であるが、実態は2階建てが多いのもまた事実である。

4-3|高知県全体の地価動向

住宅地の基準地価(2025年[令和7年])における高知県の平均は3万0452円/m2、坪単価では平均 10万0669円/坪で、前年からの変動率は-0.48%の下落です。県全体では緩やかな下落傾向が続いており、特に郡部・西部の地価下落が顕著だ。

4-4|注文住宅の総額相場と高知の購買力

高知県の注文住宅費用相場 · 1.1 注文住宅建築費用 · 1.1.1 注文住宅のみ:3,554万円 · 1.1.2 土地付注文住宅:2,912万円 · 1.2 土地取得費用:857万円 · 1.3 高知県の注文住宅総額費用:3,769万円 · 2 高知県の注文住宅人気エリアの土地相場 · 2.1 高知市 1,490~2,235万円 · 2.2 南国市 1,028~1,542万円 · 2.3 香南市 524~786万円 · 2.4 土佐市 578~867万円

高知の注文住宅総額相場は約3,769万円で、全国平均と比較すると低めの水準だ。県民所得46位という購買力の低さを考えると、住宅会社が「坪単価60万円台でも勝負できる商品」を持つことが事業上の前提となっている。

考察|「狭小地3階建て・高台への需要・坪単価60万円台が高知の勝ち筋」

高知の土地・住宅市場は、**「ハザードを意識した高台需要と狭小地3階建てが固有の特徴で、注文住宅総額3,500〜4,000万円・坪単価60万円台が量産ゾーン」**という構造を持つ。県外大手の高単価商品(坪単価80万円超)は刺さりにくく、地場ビルダーの「坪単価60万円台×高性能×土地提案セット」が勝ち筋となっている。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 高知市住宅地坪単価約24万円、南国市・高知市の地価のみ微増(安全エリア需要)
  • 高知市内の3階建て増加要因は「高台狭小地」「垂直避難」「都市型ライフスタイル」
  • 高知県全体の地価は緩やかな下落傾向、郡部・西部で顕著
  • 注文住宅総額相場約3,769万円、坪単価60万円台が量産ゾーン
  • 土地提案セット×高性能×手の届く価格が地場ビルダーの勝ち筋

■ 第5章|住宅展示場と「一条工務店不在」の市場構造

5-1|全国で唯一級の「一条工務店出店なし県」

高知県の住宅市場における最大の特殊性は、業界トップの一条工務店が県内に展示場を1つも持っていないことだ。(株)一条工務店|西日本全域(北陸・東海以西) ※高知・沖縄除く 注文住宅と公式に明記されており、四国で唯一、一条工務店が出店していない県となっている。

四国の他3県を見ると、一条工務店は香川(5拠点30名)・徳島(複数拠点)・愛媛(複数拠点)にそれぞれ強力な展示場網を構築している。特に香川では一条が地場三強に次ぐ4位(PG戸籍名簿2024年)、愛媛ではアレスホームに次ぐ2位(185棟級)のシェアを取っている。それなのに「高知だけ出店していない」という事実は、業界の常識からは異例である。

一条工務店が高知に出店していない理由は、3つに集約される。

第一に、市場規模の小ささ。年間2,000戸前後の市場は、一条工務店の事業効率にとって十分な規模に満たない。香川(約4,800戸)・愛媛(約5,200戸)と比べると半分以下であり、展示場・営業所の固定費を回収するための損益分岐点に届きにくい。

第二に、地場ビルダーの強さ。建匠・サン・ブランドハウス・はりまや住宅・益岡工務店・和建設という地場上位陣がすでに市場を寡占しており、後発の一条工務店が割って入る余地が限定的だ。特に建匠は「土地情報×施工力×土佐職人ブランド」で県内の地場信仰を完全に掌握している。

第三に、地理的アクセスの悪さ。高知への陸路は四国山地越え。一条工務店本社(東京)・主力工場(静岡)からのロジスティクスを考えると、高知への商品供給は他県に比べてコスト高となる。

「一条が来ない」という事実は、地場ビルダーにとって最大の構造的優位である。香川・徳島・愛媛では一条との競合が地場ビルダーの最大の経営課題となっているのに対し、高知では「全国大手最強プレイヤー」の存在がなく、地場ビルダーが伸び伸びと成長できる市場環境がある。
あとは筆者が一条工務店現役幹部社員に聞いた情報では「南海トラフ地震が起きることを考えると、高知には社員を住ませられないし一条の家が守れるかわからない」と言っていて憤りを感じた。
筆者が「一条工務店対策」として対抗策を打ちたいのもこのエピソードが大きい。

5-2|高知県内の主要展示場群

高知県内の主要な合同住宅展示場・自社ショールームの拠点は以下の通りだ。

■ 高知新聞住宅総合展示場「LIM(ライム)」(高知市・南国バイパス沿い)

家づくりは、モデルハウスを訪ねてみることから始まります。 高知新聞住宅総合展示場ライムでは一流のハウスメーカー10社のモデルハウスが見学できます。県内最大級の合同展示場で、以下の10社が出展している(一条工務店は不在)。

出展10社の内訳は、全国大手7社(積水ハウス・大和ハウス・ミサワホーム四国・住友林業・セキスイハイム・桧家住宅・アイ工務店)と、地場・四国系3社(和建設・ウッドホーム・アットハウジング)。高松のシエスタ21(18棟)と比べると規模は小さいが、高知市の中核展示場として機能している。

■ 自社ショールーム型ビルダーの拠点

合同展示場に出展しない地場上位ビルダーは、自社ショールーム・モデルハウスを高知市・南国市・四万十市等に独自展開している。建匠は高知市・南国市・四万十市等に展示場を持ち、サン・ブランドハウス(シオミホーム)も独自拠点を構える。これは香川県の日進堂モデルと類似する「自社拠点囲い込み型」戦略だ。

5-3|展示場戦略の地場vs全国大手の構図

高知県の展示場戦略は、**「LIMに集まる全国大手陣 vs 自社ショールーム独自展開の地場上位陣」**という二極構造になっている。

全国大手はLIMという合同展示場に集まることで集客効率を確保する戦略を取るが、市場規模が小さい高知では大手も慎重で、各社1棟ずつの展示にとどまる。一方で建匠・はりまや住宅などの地場上位は、自社ショールームと豊富な分譲地情報で顧客を直接囲い込む。この構造が「合同展示場経由の集客<土地情報経由の集客」という市場の力学を生んでいる。

考察|「一条不在のラッキー市場、ただし建匠の独走を崩すのも至難」

高知県の住宅展示場・市場構造は、**「全国大手の最強プレイヤー(一条)が不在で、地場上位(特に建匠)が独走する寡占市場」**という、四国でも極めて特殊な構造だ。新規参入者にとっては「一条との競合がない」というアドバンテージがある一方で、「建匠の独走を崩す難易度の高さ」が現実的な参入障壁となっている。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 一条工務店が高知県内に展示場を出店していない(公式に「高知・沖縄除く」と明記)
  • 一条不在の3要因:市場規模の小ささ・地場上位の強さ・地理的アクセスの悪さ
  • 県内最大級の合同展示場LIM(10社10棟)が全国大手の集積拠点
  • 地場上位(建匠・サン・ブランドハウス)は自社ショールーム独自展開
  • 「LIMの大手陣 vs 自社ショールーム独自の地場上位」の二極構造

■ 第6章|主要プレイヤーの生態と建匠の覇権

6-1|PG戸籍名簿から見た市場構造

PG戸籍名簿によると、高知県内の住宅事業者は約60〜90社程度存在すると推定される。年間棟数で30棟以上を扱う「事業規模ビルダー」は約6〜10社、100棟超の地場最大手は建匠1社というのが高知の現実だ。香川・徳島と比較して「事業規模ビルダー層が薄い」のが特徴で、地場上位の支配力が極めて強い。

6-2|建匠|「高知県着工棟数No.1・年間100棟超」の地場覇権

建匠(株式会社建匠、高知市本社)は、高知県で年間100棟以上の 注文住宅・分譲住宅施工実績 · 高知県内でハウスメーカーにも 負けない施工実績を持つ建匠。 2021年には120棟を達成し高知県内でトップを実現。 お客様の信頼と確かな実績が 多くの土地情報の紹介と相談に繋がっています。 · 高知県地域密着経営で 地元の不動産会社を毎月400回訪問、 100社以上とのお付き合いで 豊富な土地情報を実現という、高知県地場最大手の地位を確立している。

建匠は、高知県で建築確認戸数No.1の実績を誇る工務店で、高気密・高断熱の省エネ住宅を提供しています。 · 豊富なプランから選べる「Zero+」や、自然エネルギーを活かした「Passive+」など、多様なスタイルの住まいを展開。 · モデルハウスの宿泊体験や資金計画セミナーなど、家づくりのサポートも充実している。

建匠の経営戦略の核心は4点にある。

第一に、「不動産課」を内部組織化した土地情報の覇権。専門スタッフが地元の不動産会社を毎月400回訪問、100社以上との関係性を維持する独自の情報網は、競合他社が容易に真似できない参入障壁となっている。

第二に、商品力。「Zero+」「Passive+」などの多様な商品ラインナップに加え、ZEHを大幅に超える高断熱性能、実大耐震実験による1棟ごとの耐震性確認という「南海トラフ前提市場での差別化軸」を明確に打ち出している。

第三に、四国最優秀賞3回のLIXILメンバーズコンテスト受賞。LIXILメンバーズコンテストは、「Good Living 友の会」の会員が、お客様にとっての”いい住まい、いい暮らし”をいかに実現したかを競う、業界最大級の住宅施工例コンテストです。「Good Living 友の会」には、全国で14,000社以上(2022年3月時点)の工務店様、リフォーム店様が加盟している中、建匠は四国最優秀賞を3回、最多受賞をしております。(2017年・2018年・2021年)これは地場ビルダーとしては類を見ない受賞実績で、「品質・デザインへのこだわり」を権威化している。

第四に、施工エリアの広域カバー。高知県: 高知市・安芸市・南国市・土佐市・須崎市・香南市・香美市・安芸郡芸西村・長岡郡本山町・長岡郡大豊町・土佐郡土佐町・吾川郡いの町・高岡郡中土佐町・高岡郡佐川町・高岡郡越知町・高岡郡日高村と県内16市町村をカバーし、高知県中部・東部の住宅需要を網羅している。

あとは顧問先ならではであるが、社員レベルが高い。ポテンシャルはもちろん全国への研修参加などで教育環境がある。地域工務店としては非常にレベルの高い会社であるといえる。

6-3|秀光ビルド

秀光ビルドは全国での広域ビルダーとして四国エリアは結構強く、高知県では非常に受注を伸ばしている。「安くて誰でも持てる家」というポジショニングは、所得水準が四国最低の高知において合理的な戦略であり、若い一次取得層の支持を集めている。

6-4|はりまや住宅|建売・セミオーダーの地場プレイヤー

はりまや住宅は、高知市・南国市を中心に、好立地でデザイン性の高い建売住宅を提供する工務店です。 · セミオーダー方式を採用し、標準仕様に加えてカスタマイズが可能。 · 利便性と景観を重視した土地選びからサポートし、適正価格で質の高い住宅を提供しています。 · また、創業40年の実績があり、850棟以上の住宅を手がけた信頼と実績を持ち、アフターメンテナンスにも力を入れています。

3階建て建売や狭小地対応に強みを持つ地場ビルダーで、高知市・南国市の都市型需要を取り込んでいる。建匠が「注文住宅×土地提案」のポジションを取るのに対し、はりまや住宅は「建売×セミオーダー」で差別化している。

6-5|益岡工務店|「炭の家」と健康住宅特化

益岡工務店は、益岡工務店はお客様のライフスタイルに合わせた家づくりを得意とする工務店です。 大きな特徴は本当の健康住宅を実現した「炭の家」です。 炭の力に特許工法の換気システムが組み合わさり、室内の空気が常にクリーンに保てます。 · また、独自開発されたFPウレタン断熱パネルも魅力的で、年中快適に過ごせる住まいづくりが実現可能です。 他にも減震パッキン「UFO-E」で地震対策もできるなどあらゆるニーズに応えてくれます。

「FPの家」加盟工務店として、高断熱・健康住宅・地震対策(UFO-E)の3軸で差別化を図っている地場中堅ビルダー。ZEHビルダーとしても6つ星の認定を受けており、性能訴求層をターゲットにしている。

6-6|和建設「SHINKAの家」

和建設は、「SHINKAの家」というフルオーダー住宅ブランドを展開する地場ビルダー。LIMにも出展しており、合同展示場経由の集客と自社ブランド構築の両面戦略を取っている。モデルハウス・展示場 · SHINKA PRIME · SHINKA FLEX · FLAT LIFEと複数の商品ラインを持ち、フルオーダーからセミオーダーまで幅広く対応している。

6-7|全国大手陣の限定的な存在感

LIMに出展する全国大手7社(積水ハウス・大和ハウス・ミサワホーム四国・住友林業・セキスイハイム・桧家住宅・アイ工務店)は、それぞれ年間20〜50棟程度の施工実績にとどまると推定される。

過去のデータでは、【県庁所在市】 高知市 : 330,597 : 162,297 : 640 : 積水ハウス(2017年度持家着工総数)と、積水ハウスが高知市内では持家着工首位を占めていた時期があった。しかし近年は地場ビルダーの台頭で、全国大手のシェアは縮小傾向にある。

特にアイ工務店は2024年時点で全国急成長中で、高知のLIMにも出展している。一条工務店が来ない高知において、アイ工務店が「全国大手の高性能ローコスト」ポジションを取りに来ているのは注目すべき動きだ。建匠・サン・ブランドハウス・はりまや住宅とのコスパ競争が今後激化する可能性がある。

6-8|年間棟数ベースの推定ランキング

PG戸籍名簿および各種情報から推定する2024年の高知県着工棟数上位ランキング(推定)は以下の通り。

考察|「建匠の独走と地場第二集団・全国大手の三層構造」

高知県の2024年住宅市場は、**「建匠が圧倒的首位(年間100棟超)を独走し、秀光ビルド・はりまや住宅・益岡工務店・和建設の地場第二集団が続き、全国大手陣はLIMで限定的シェアにとどまる三層構造」**である。一条工務店不在のなかで、建匠の覇権を崩せるプレイヤーは現時点で存在しない。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 建匠が高知県着工棟数No.1、2021年120棟達成、不動産業者400社月400回訪問の独自情報網
  • サン・ブランドハウス(シオミホーム)がローコスト訴求でNo.2級
  • はりまや住宅(建売・3階建て)、益岡工務店(炭の家・FPの家)、和建設(SHINKA)が地場第二集団
  • 全国大手7社(積水・大和・ミサワ・住林・セキスイハイム・桧家・アイ工務店)はLIMで限定的シェア
  • 一条工務店不在ゆえに、地場上位寡占型市場が極めて安定している

■ 第7章|現場で見えている論点

7-1|論点①|「建匠モデル」の研究と対抗軸の設計

高知の住宅会社が直面する最大の論点は、建匠グループという「完成した地場最強ビルダー」にどう向き合うかである。年間100棟超は単なる規模の話ではなく、「土地情報No.1×実大耐震実験×ZEH超断熱×LIXIL四国最優秀賞ブランド」という構造的優位の積み上がりだ。正面から競合しても勝てない。

地場の中小ビルダーが採るべき戦略は「建匠が手薄なゾーンへの特化」に集約される。建匠の弱点は、「超ハイデザイン特化」「超コンパクト・狭小地3階建て」「中古リノベ・古民家再生」「アウトドアライフ・サーフィン文化対応」「フルオーダー設計事務所コラボ」といったニッチ対応だ。建匠の「総合力商品」では対応しにくい顧客層を徹底的に探し出し、そこを独占するポジション戦略が生存の鍵となる。

7-2|論点②|南海トラフ前提市場における「土地提案力」の差

高知では「どこに建てるか」が「何を建てるか」と同等以上に重要だ。ハザードマップ・地盤調査・南海トラフ事前避難対象地域該当の有無・地震時長期浸水想定区域該当の有無を、施主に分かりやすく伝えられる住宅会社が信頼を獲得する。

建匠が「不動産課」を内部に持って土地情報を独占する一方で、地場の中小ビルダーは「土地仕入れ・分譲開発の自社化」または「地元不動産仲介との戦略提携」を選択する必要がある。土地情報なしで建匠と戦うのは、もはや現実的ではない。

7-3|論点③|狭小地3階建てへの特化と都市型ライフスタイル提案

高知市内の狭小地3階建て需要は、今後も継続的に存在する。建匠が「広めの土地×総2階建ての主力商品」を強みとするのに対し、狭小地3階建てに特化したビルダーが市場の空白を埋める余地がある。はりまや住宅がこのポジションを取りつつあるが、まだ十分とは言えない。

「高台狭小地15〜25坪×3階建て×ハザード安全エリア」という商品コンセプトは、高知市の若い一次取得層に確実に刺さる。Instagram・YouTube等のSNS集客と、狭小地ならではの設計力を組み合わせる戦略が有効だ。

7-4|論点④|「いごっそう・はちきん・おきゃく」の三気質を活かしたマーケティング

土佐人の三気質に合わせたマーケティング戦略が、高知では他県以上に効果的だ。

**「いごっそう」**には、社長・大工棟梁の顔が見える「人物コンテンツ」が刺さる。建匠が社長・設計士・職人を前面に出すコンテンツ戦略を取っているのは、この気質への対応だ。

**「はちきん」**には、家事ラク動線・収納提案・キッチン中心の生活設計など、家事の主導権を持つ女性が「私が決める家」と思える提案が刺さる。Instagram・Pinterestのビジュアル訴求はこの気質と相性が良い。

**「おきゃく」**には、施主OB会・地域イベント・地元食材を使った見学会など、コミュニティ型のリアル接点が刺さる。土佐の「酒席で語り合う」文化は、住宅会社の経営者・営業担当者が地域コミュニティの一員として認知されるかどうかを問う仕組みでもある。

7-5|論点⑤|一条工務店不在のメリットと、来るかもしれない将来リスク

一条工務店が高知に出店していない事実は、地場ビルダーにとって最大の構造的メリットだ。しかし、これは未来永劫続く保証はない。

四国シリーズ第2回(愛媛編)で取り上げる予定だが、愛媛のアレスホームが「四国全域への展開」を狙う動きを見せている。アレスホームが高知に進出する可能性も将来的にはあり、その場合は「一条不在の安全市場」が「アレス進出による競合激化市場」に変わる可能性がある。

また、ヤマト住建・ヘルシーホームといった県外成長ビルダーは、香川・愛媛経由で四国市場への進出を進めており、いずれ高知も視野に入れる可能性がある。「一条不在」は永続的アドバンテージではなく、「猶予期間」と捉えて、その間に地場の優位性を盤石化する戦略が必要だ。

7-6|論点⑥|高齢化先進県としてのリフォーム・建替え市場

高齢化率36%超は全国最先端の水準で、リフォーム・建替え・住み替え市場の潜在ニーズは極めて大きい。

特に高知市・南国市の高台エリアでは「築40〜50年の戸建ての建替え」が今後10〜20年の主要需要となる。「親世代の家を、安全な現代仕様に建て替える」という建替え需要に対応できる住宅会社が、新築一次取得需要の縮小を補完できる。

さらに、津波浸水想定区域内の既存戸建てを「高台への住み替え」または「3階建てへの建替え」で対応するという、ハザード対応型の建替え需要も存在する。これは高知ならではの市場機会だ。

7-7|顧問先言及枠

高知県のクライアント企業については本稿では具体名を伏せるが、地場の中堅ビルダーをご支援している案件もある。共通する課題は「建匠との差別化軸の明確化」「土地情報網の自社強化」「南海トラフ前提でのハザード対応提案力」「SNS集客の戦略化」の4点だ。特に高知では、「建匠が取れない層」をいかに明確に定義できるかが、経営戦略の出発点となっている。

考察|「建匠の独走をどう避けるか、南海トラフ前提市場でどう勝つか」

高知市場の本質的な問いは三つに集約される。「建匠という圧倒的な存在の中で、地場の中小ビルダーがどのニッチを取るか」「南海トラフ前提市場で『土地の安全性判断』をどこまで提供できるか」、そして**「一条不在の猶予期間に、何を確立しておくか」**だ。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 建匠の弱点は「超ハイデザイン・狭小地3階建て・中古リノベ・アウトドアライフ」等のニッチ
  • 「土地提案力」が高知では他県以上に決定的な差別化要因
  • 「いごっそう・はちきん・おきゃく」の三気質に合わせたマーケティング戦略
  • 一条不在のメリットは「永続的」ではなく「猶予期間」と認識すべき
  • 高齢化先進県ゆえに建替え・リフォーム市場の潜在ニーズが大きい

■ 第8章|高知県でのTOPビルダーを目指す具体戦略

8-1|高知県における「競争ゾーン」の設定

建匠が独走する高知において、地場ビルダーが現実的に狙えるポジションは「サン・ブランドハウス・はりまや住宅と並ぶ地場2〜3位・年間50〜80棟圏」である。全国大手陣を抑える「地場2位」を獲得することは、十分に達成可能な目標設定だ。

8-2|戦略①|LIM出展+自社ショールームの2拠点戦略

高知新聞住宅総合展示場LIMへの出展は、合同展示場集客の基本形として有効だ。LIMの認知度を活用しながら、自社ショールーム(高知市・南国市内のモデルハウス)で本契約導線を構築する2段階モデルが現実的だ。建匠が自社ショールーム重視であるのに対し、第二集団は「LIM+自社拠点」の両面戦略でリーチを広げるのが妥当な選択だ。

8-3|戦略②|土地情報網の自社強化または不動産仲介との戦略提携

建匠が「不動産課」を内部組織化して土地情報を独占している以上、対抗軸を作るには「自社で土地仕入れ・分譲開発を行う」または「地元不動産仲介と排他的提携を結ぶ」のいずれかが必要となる。

土地情報なしで「家だけ提案」する戦略は、高知では成立しない。建匠との競合で確実に劣後するからだ。土地から家までセット提案できる体制を、最優先で構築することが第二集団の必須課題となる。

8-4|戦略③|狭小地3階建て・高台特化の都市型商品開発

高知市内の高台狭小地(15〜25坪)に特化した3階建て住宅商品の開発は、市場の空白を埋める有効な戦略だ。「南海トラフ前提×狭小地×3階建て×ハザード安全」という4軸を満たす商品は、若い一次取得層に強く刺さる。

設計事務所コラボ・建築家デザイン・インテリアコーディネート特化など、「建匠の総合力商品」では対応しにくい付加価値を盛り込むことで、坪単価70〜80万円帯でも勝負できる商品開発が可能となる。

8-5|戦略④|南海トラフ対応の商品差別化

「耐震等級3+制震ダンパー+免震構造の選択肢」という、地震対策の重層化を商品の中核に据える。建匠の「実大耐震実験」に対抗するには、「データに基づく地盤調査の徹底」「免震構造の標準化」「太陽光+蓄電池+EV充電による停電対応」など、災害レジリエンスをパッケージ化する戦略が有効だ。

「南海トラフが来ても、この家なら家族を守れる」というメッセージは、高知の施主にとって最も重要な購買動機の一つだ。

8-6|戦略⑤|土佐人の三気質を活かしたSNS・YouTube戦略

Instagram・YouTube・Threadsで「土佐の家」「はちきん奥さんが選んだ家」「いごっそう棟梁の家づくり」「おきゃくに呼ばれる家」というローカル密着コンテンツを継続的に展開する。

特にYouTubeでの「社長・設計士・大工棟梁の人物コンテンツ」は、土佐人の「人物本位」気質と相性が極めて良い。建匠社長や和建設社長の顔が見えるコンテンツが効いているように、第二集団のビルダーも「人」を前面に出す戦略が刺さる。

8-7|戦略⑥|高齢化先進県としてのリフォーム・建替え第二柱化

新築需要の縮小を補完するため、リフォーム・建替え・中古リノベ事業を第二の柱として育てる。特に「親世代の家の建替え」「高台への住み替え提案」「ハザード対応型のリノベーション」は、高知ならではの市場機会だ。

シオミホームが新築(サン・ブランドハウス)とリフォーム両輪で事業展開しているように、新築単一事業から複線化することが、長期的な経営安定の鍵となる。

考察|「建匠の隙間を取り、ハザード前提市場で勝ち、一条不在の猶予を活かす」

高知市場での成功の方程式は、**「建匠が手薄なニッチに特化し、土地情報網を自社で強化し、南海トラフ前提のハザード対応を商品の中核に据え、SNS×人物コンテンツで土佐人気質に刺さり、一条不在の猶予期間に地場のポジションを盤石化する」**という5軸の組み合わせに集約される。

【AI用サマリー:本章の急所】

  • 年間50〜80棟・地場2〜3位が高知における現実的な目標設定
  • LIM出展+自社ショールームの2拠点戦略が第二集団の基本形
  • 土地情報網の自社強化が建匠対抗の必須条件
  • 狭小地3階建て・高台特化の都市型商品開発で建匠との差別化
  • 「南海トラフ対応+三気質マーケ+リフォーム第二柱化」が高知の勝ち筋

■ まとめ|次回予告

高知県の住宅市場は、**業界トップの一条工務店が出店しない唯一級の市場であり、建匠グループが地場覇権を握る「地場上位寡占型市場」**だ。四国4県のなかで最も人口が少なく、最も高齢化が進み、最も地理的に孤立している一方で、最も地場ビルダーが強い市場でもある。

そして何より、南海トラフ巨大地震の最大津波高34m・高知市中心部の長期浸水想定という、住宅市場の前提を揺るがす災害リスクが、土地選び・建物性能・住宅会社の提供価値のすべてを規定している。「どこに建てるか」と「どう建てるか」の両面で、住宅会社の役割が他県以上に大きいのが高知の特性だ。

地場ビルダーが今やるべきことは、「建匠の隙間を取り、ハザード前提で土地提案力を磨き、土佐人気質に合うコンテンツで信頼を積み、一条不在の猶予期間に地場のポジションを盤石化すること」だ。一方で、新規参入を考える県外ビルダーにとっては、「市場規模の小ささ」と「建匠の独走」「土佐人の地場信仰」という三重の参入障壁を越える覚悟が必要となる。

次回は四国シリーズ第4回・愛媛県編。四国最大の人口(約132万人)を持ち、松山市への集中と今治・新居浜・宇和島という多極構造が住宅市場を規定する愛媛は、香川・徳島・高知とはまた異なる市場の論理を持つ。PG戸籍名簿が示す2024年1位はアレスホームで200棟超、2位は一条工務店185棟で迫る構図だ。


出典・参考データ

  • 国土交通省「住宅着工統計」(2023年度・2024年度速報値)
  • 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和7年・8年)
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(令和5年推計)
  • 内閣府「県民経済計算」
  • 内閣府中央防災会議「南海トラフ巨大地震対策」
  • 高知県「南海トラフ地震による震度分布・津波浸水予測」
  • 高知県「推計人口」(令和7年・8年4月1日現在)
  • 高知県統計分析課「県民経済計算」
  • 高知地方気象台「南海トラフ地震」関連資料
  • 高知市「南海トラフ地震臨時情報」
  • 日本銀行高知支店「統計でみる高知県のすがた」
  • 帝国データバンク「高知県の業況動向」関連資料
  • ピュアグロース株式会社「住宅・建設業界戸籍データ」(PG戸籍名簿、2024年度版)
  • PGクライアント経営対話(高知県エリア企業との支援実績より)
  • LIFULL HOME’S Business「2024年のエリア別住宅着工数」

筆者

宮内和也(みやうち・かずや) ピュアグロース株式会社 代表取締役。船井総合研究所を経て独立、住宅・建設業界に特化した経営コンサルティングファームを経営。「定額制注文住宅」「大型単独展示場」「来場予約ファースト」など、業界標準となったプロジェクトを多数主導。全国177社超の顧問先を持ち、住宅・不動産業界の戦略策定・マーケティング・人材採用を一気通貫で支援する。著書『SNSで家を売る ―「タイパ時代」の営業術』(クロスメディア・パブリッシング、2025年12月)。


■ 最後に|ピュアグロースへのご相談・お問い合わせ

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▼ 著書『SNSで家を売る ―「タイパ時代」の営業術』 クロスメディア・パブリッシング、2025年12月刊行。住宅会社のSNS集客・Threads・TikTok活用の実践書。ISBN 978-4-295-41168-0(¥1,870)。 https://www.amazon.co.jp/dp/4295411680

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