住宅会社のPL構造の見直し方|粗利28%・販管費22%から逆算して営業利益5%を出す

2026.10.27 2026.10.27
住宅会社のPL構造の見直し方|粗利28%・販管費22%から逆算して営業利益5%を出す 解説動画サムネイル

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「売上は伸びているのに、決算を締めると利益がほとんど残らない」
「集客も採用も強化したいが、どこまでお金をかけていいのか分からない」

資材価格の上昇や人件費・広告費の高騰が続くなか、住宅会社・工務店の収益構造は数年前とは大きく変わっています。大手ハウスメーカーがしっかり利益を確保して次の手を打ち続ける一方で、地域の住宅会社が営業利益1〜2%で戦うのは、正直に言えば無理のある勝負です。

本記事では、金融機関出身で住宅会社の財務・資金調達を支援してきた当社コンサルタントが、財務の観点から2026年に勝ち残る住宅会社の条件を解説します。いまの時代に合った収益指標、決算書と社内管理の数字がずれる理由、販管費から逆算する予算の組み方、そして利益を出している社長の共通点まで紹介します。(本記事の内容は2026年1月時点の解説に基づきます)

「30:20:10の法則」はもう通用しない

住宅業界では、損益計算書(PL)の理想形として「粗利30%・販管費20%・営業利益10%」という「30:20:10の法則」が語られてきました。しかしこれは、コロナ禍やウッドショック以前の話です。

現在、営業利益10%を出せている住宅会社はごく一部。当社の会員企業でもトップクラスの1〜2社、上位10%ほどにとどまります。資材高が続くなか、粗利30%・販管費20%という前提自体が実態に合わなくなっているのです。

住宅会社のPL構造の目安の比較:かつての理想は粗利30%・販管費20%・営業利益10%、現在の目標は粗利28%以上・販管費22%・営業利益5%以上
指標現在の一般的な住宅会社の目安
粗利率約28%
販管費率約24〜25%
営業利益率約3〜5%

※動画内の解説に基づく目安です。会社の規模や業態によって異なります。

問題は、そもそもPLを「箱」で捉えて経営している社長が少ないことです。反響数や営業担当者の給与など、個別の数字を切り取って見ることはあっても、販管費全体でいくらまで使ってよいのかをコントロールできている会社は多くありません。

粗利は「最低28%」を目指す

粗利30%が理想とはいえ、資材高の影響で支援先でも粗利率25%前後にとどまる会社は少なくありません。大手ハウスメーカーは粗利率35〜40%前後を確保しているといわれますが、価格帯が違うため、地域の住宅会社がそのまま目指すのは現実的ではありません。まずは少なくとも28%まで引き上げるために何をするかを考えることが、今年の課題です。

粗利を上げる手段は、基本的に値上げかコストダウンです。加えて見落とされがちなのが、契約時の粗利と引き渡し時の粗利の差です。契約時は30%取れていたのに、引き渡してみたら22%だった。工事中のミスや、積算時の拾い漏れが原因で起こるケースです。

要注意:社内管理の数字と決算書の数字がずれる

よくあるのが、物件ごとの管理では粗利28%、30%と取れているのに、決算書で見ると22%しか取れていないケースです。社長が見ている「引き渡しベースの管理の数字」と、財務上の数字が異なっているのです。

原因の一つが、期末をまたぐ工事の原価の扱いです。たとえば決算期末に完了した工事の請求が決算を締めた後に届くと、その原価が翌期に計上されることがあります。すると、管理上は30%取れているのに、前期の工事分の原価が乗って今期の粗利が25%に下がる、といったことが起こります。貸借対照表の未成工事支出金の扱いによっても、利益率は変わってきます。

物件ごとの管理で利益が出ているかではなく、決算書で見て本当に粗利が取れているかを確認しましょう。そのうえで、今の価格で良いのか、コストダウンが必要なのかを判断します。

粗利を測る「物差し」をそろえる

もう一つの落とし穴が、「粗利30%」の定義が会社によって違うことです。典型的なのが労務費の扱いです。

自社で大工を雇用している会社の場合、その給与を原価ではなく販管費に入れていると、大工の手間賃が含まれていない状態で「粗利30%」と言っていることになります。本来は大工の給与も含めて粗利を計算すべきなので、実際には30%取れていないことになります。

当社が指標とする粗利率は、外注先への支払いや労務費をしっかり原価に入れた状態での数字です。同じ物差しで測らなければ、その数字が適正かどうかは判断できません。自社の原価に何が入っているか、顧問税理士にも確認しながら、今一度見直してみてください。

販管費は「22%」から逆算して予算を組む

販管費20%という目安も、今の時代には合いません。人材の引き抜きに負けないための給与の引き上げ、ガソリン代をはじめとする物価上昇などで、販管費は22〜23%かかると考えておく必要があります。

ここで大事なのが予算の組み方です。個人の家計に置き換えると、給料から「これくらい使える」と考えて支出する人と、使うだけ使って最後に収支を見る人がいます。会社の経営でも後者になっている会社が少なくありません。集客を強化したいからといって、広告費を無限にかけられるわけではありません。売上に対して何%ずつ使うかを先に決め、その範囲で会社の数字をつくる考え方が必要です。

販管費22%の配分の目安:人件費約12%、広告費と地代家賃で約5%(広告費は上限4%)、その他の販管費約5%

住宅会社が特に見るべき販管費は、人件費、広告費、地代家賃(展示場など)、採用費です。当社が推奨する売上に対する販管費の配分の目安は次のとおりです。

費目売上に対する目安
人件費約12%
広告費+地代家賃約5%
(広告費は上限4%、理想は3%台。
展示場などの地代家賃は約1%)
その他の販管費約5%
合計約22%

※動画内の解説に基づく目安です。

粗利28%を確保し、販管費をこの22%に収めれば、営業利益5%以上が見えてきます。次の投資、たとえば優秀な人材の採用をするには、まず会社が利益を生み出していなければなりません。この配分を目安に、各予算をどう使うかを改めて考えてみてください。

2026年に勝ち残るための3つのポイント

1. コストダウンで「使えるお金」を増やす

会社の実入りは売上ではなく粗利(売上総利益)です。値上げだけに頼らず、自社の努力で原価をどれだけ下げられるかが、使えるお金の総額を決めます。

2. ハイパフォーマーを採用し、人件費の生産性を上げる

新卒を育てて会社の基盤をつくることは大切ですが、急成長を目指すときや新しいエリアに出るときには、中途で採用するハイパフォーマーの力が大きく効きます。「2:6:2の法則」でいう上位2割が、競合他社と比べて強いかどうか。今はその争いになっています。人件費も求人費も上がる時代だからこそ、評価制度をうまく使い、成果を出す人にはしっかり報い、そうでない人の給与は見直す。そうした判断が求められています。

3. 広告費の上限の中で受注できる集客戦略をつくる

広告費を売上の4%以内に収めるには、来場単価を下げる工夫だけでは足りません。来場1組あたりの獲得コストは年々上がっており、高額な来場特典で集客する会社も出てきています。今売っている商品だけで集客を最適化するのではなく、大手のフルラインナップ戦略のように集客用のブランドをつくり、そこから上位の商品へ引き上げる広告戦略も必要です。濃い名簿を集めるだけでなく集客の母数を増やし、決められた広告予算の中で受注できる体制を戦略から組み直さなければ、大手に顧客を取られていきます。

広告戦略も採用戦略も、その根本には「財務的にいくらまで予算をかけられるか」があります。これを理解している社長でなければ、正しい予算は組めません。

営業利益5%を出す社長の共通点

利益を出している会社とそうでない会社の違いは何か。それは社長がどれだけ数字を見ているかです。利益率の高い会社の社長は、一つひとつの経費や月次の数字を細かく見ながら、販管費をコントロールしています。売上100億円規模までの会社では、社長自身がすべて見ているケースも珍しくありません。

理想は財務を任せられる右腕を育てておくことですが、それが難しいうちは社長自身が見るしかありません。税理士や財務コンサルタントに任せきりにせず、社長が細かく数字を見てコントロールする習慣を身につけること。今は、そうしなければ営業利益5%を出すのも難しい環境です。大手がしっかり利益を出しているなか、営業利益1〜2%で戦い続けることはできません。2026年は、まず会社として健全な経営を取り戻すことから始めてください。

よくある質問

Q. 住宅会社の粗利率・販管費率・営業利益率の目安はどれくらいですか?

A. かつては「粗利30%・販管費20%・営業利益10%」が理想とされましたが、現在の一般的な住宅会社は粗利約28%、販管費約24〜25%、営業利益約3〜5%が目安です。まずは粗利28%以上を確保し、販管費を22%程度に抑えて営業利益5%以上を目指しましょう。

Q. 物件ごとの管理では粗利が取れているのに、決算書の利益率が低いのはなぜですか?

A. 期末をまたぐ工事の原価が翌期に計上されたり、大工の労務費を販管費に入れていて粗利の定義が違っていたりすることが主な原因です。社内の管理数字ではなく決算書で粗利を確認し、原価に何を含めるかを顧問税理士と確認しましょう。

Q. 住宅会社の広告費は売上の何%まで使ってよいですか?

A. 売上の4%が上限、理想は3%台です。展示場などの地代家賃を含めて約5%に収め、人件費約12%、その他の販管費約5%と合わせて、販管費全体を約22%に抑えるのが当社の推奨する目安です。

販管費・原価の見直しはピュアグロースへご相談ください

ピュアグロースでは、財務の観点から住宅会社のPL構造を見直し、原価のコストダウン、販管費の予算設計、採用・集客戦略までを一貫して支援しています。利益が残らない、どこに予算をかけるべきか分からないという方は、お気軽にご相談ください。

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