「営業と設計の分業で、プラン提出までに2週間かかっている」
「営業にプランを描かせたいが、外したプランを出して失注しないか不安」
近年、営業担当がプランニングまで担う「営業設計」を取り入れる住宅会社が増えています。全国に出店を広げ、急成長を続けるアイ工務店の強みの一つも、この営業設計の体制にあると言われます。本記事では、住友林業で設計部門の全国1位を獲得し、その後は営業設計としても活躍した当社コンサルタントが、営業設計が強い3つの理由と、営業設計でもプランを外さない2つのポイントを解説します。
従来は、営業担当と設計担当がペアを組み、2人でお客様と打ち合わせをするのが一般的でした。営業設計は、営業担当が設計の内容まで一人で担う体制です。営業の業務量は増えますが、それを上回るメリットがあります。

1人で2人分の役割を担えるため、2倍とまではいかなくても、従来の1人分より高い給与を払うことができます。給与を上げられることは、そのまま優秀な人材を採用できる力になります。急速な出店を支える採用力の背景には、この体制があると考えられます。
分業の場合、営業が設計担当とお客様の予定を押さえ、上がってきたプランを営業がチェックして修正を依頼する、という手順が必要です。そのため、ヒアリングから2週間後に提案というスケジュールが一般的です。
営業設計なら、お客様の要望も予算もすべて一人で把握しているため、意思決定が速くなります。朝に打ち合わせをして、その日の夜にファーストプレゼンを出すことも可能です。期待を膨らませているお客様にとって、見たいものがすぐに出てくることは大きな喜びです。コスパだけでなくタイパ(時間対効果)を重視するお客様が増えている今、スピードは一つの武器になります。
多くの会社では、初回接客で資金や性能、会社のアピールについてはロープレを重ねて臨んでいます。一方で、デザインやライフスタイルの話はあまりできていないのが実情です。プランを描けない営業は、苦手な分野を初回から掘り下げようとしないからです。
しかし、家づくりを始めたお客様の多くは、理想の間取りやデザインを実現したくて来場しています。間取りを楽しみにしていたのに、初回は性能の話ばかりで「間取りは2回目、3回目に」と言われると、がっかりしてしまう方もいます。営業設計であれば、初回から「どんな暮らしがしたいですか」「どんな家具や照明を使いたいですか」と深く聞けます。家具に強い関心があるお客様と、初回の2時間を家具や照明の話だけで過ごすこともあるほどです。
もちろん、資金や性能を最優先に考えるお客様もいます。どちらが正解ということではなく、お客様が大切にしていることに全力で応えるのが営業のマナーです。
営業がプランを描くと「お客様に合わないプランを出して、幻滅されないか」と心配になるかもしれません。プランが外れる原因は、ほぼ次の2つに集約されます。
たとえば西側道路の敷地の中央に、総2階32坪の建物を配置した提案があるとします。家づくりが初めてのお客様なら「普通の家だな」と感じるでしょう。しかし北側に残った細長い空き地を、お客様はわざわざ庭として使うでしょうか。
同じプランでも、他社が建物を北側に寄せ、南に大きなLDKと庭、東に朝日が入る庭、道路から奥まった南東の角にプライバシーの守られた庭を配置した提案を出してきたらどうでしょう。説明されれば誰でも違いが分かり、比較された瞬間に最初の提案は「外れたプラン」になります。整形のプランでも変形のプランでも、敷地に対する考え方は同じです。
28坪の平屋で、玄関からゆるやかにつながる広い土間リビングに観葉植物や趣味のロードバイク、冬は薪ストーブを置ける、遊びのある間取りを考えてみます。趣味を大切にするお客様なら、きっと喜んでくれるでしょう。
ところが、共働きで忙しく、家事や育児の負担を少しでも減らしたいお客様にとっては、玄関が広すぎてキッチンも遠い、使いにくい家になります。この場合は、玄関からシューズクローク、ファミリークローゼット、浴室へと抜けられ、キッチンのパントリーにも直行できる動線の間取りが喜ばれます。

間取りの良し悪しを決めるのは、営業や設計の好みではなくお客様の価値観です。ほとんどの営業は「お客様の要望は聞けている」と考えていますが、資金や性能の話に比べて、暮らし方の掘り下げは不足しがちです。
敷地を読むこと、お客様の価値観に合わせること。どちらも難しい話ではありません。それでもできていない営業が多いのは、単に知らなかったからです。プラン研修で、これまでプランを描いたことのない営業にこの考え方を伝えると、研修後すぐに「この形で接客したらお客様の反応がよく、2〜3日で話が進んだ」という報告が数多く届きます。
なお、設計担当が専任で時間をかけて提案する分業体制が悪いわけではありません。デザインに特化した提案がしやすいという強みがあります。コスパとスピードで勝負するのか、こだわりのデザインで勝負するのか。自社の戦い方に合わせて体制を選ぶことが大切です。プラン研修の具体的な内容は選ばれるプランの条件とは|20〜30代に響く間取りの3つのチェックポイントでも紹介しています。
A. 主に3つです。1人で2役を担えるため給与を上げて優秀な人材を採用しやすいこと、意思決定が速く提案のスピードが上がること、初回から暮らしやデザインの話ができお客様の共感を得やすいことです。
A. 「敷地に対して違和感のない配置か」「お客様の価値観に合っているか」の2点を押さえれば、大きく外すことはありません。どちらも難しい知識ではなく、研修で考え方を学べばすぐに実践できます。
A. 一概にそうとは言えません。分業体制は時間をかけたデザイン特化の提案がしやすいという強みがあります。コスパとスピードで勝負するなら営業設計、こだわりのデザインで勝負するなら設計担当が前に出る体制と、自社の戦い方に合わせて選びましょう。
ピュアグロースでは、設計と営業の両方を経験したコンサルタントが、営業設計の導入、プラン研修、コスパ重視からデザイン重視まで各社の戦い方に合わせた提案力の強化を支援しています。お気軽にご相談ください。