部下は店長の商談に同席させて育てる|1店舗62棟の元店長が実践したOJTと「木曜締め」の時間管理

2026.10.27 2026.10.27
部下は店長の商談に同席させて育てる|1店舗62棟の元店長が実践したOJTと「木曜締め」の時間管理 解説動画サムネイル

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「若手を商談に同席させているのに、なかなか育たない」
「店長自身も忙しく、部下の育成に時間を割けない」

住宅会社・工務店で最も多い悩みの一つが、店長(営業所長)の育成と、店長による部下育成です。店長は自分の受注に加え、受注・完工の管理、クレーム対応、雑務にも追われ、時間がありません。その中でどう部下を伸ばすかが、店舗の業績を大きく左右します。

本記事では、アイ工務店で最年少で支店長となり、営業所長時代には1店舗で年間62棟の受注を達成した当社コンサルタントの解説をもとに、店長自身の商談に部下を同席させるOJTと、部下の生産性を上げる時間管理のポイントを紹介します。

前提:店長は「売る」こと

1店舗の受注棟数は、まず年間30棟が優秀な店長の一つの目安です。しかし、どれだけ店長個人が頑張っても、1人で売れる棟数には限界があります。部下10人がそれぞれ3棟ずつ上乗せすれば30棟。店舗の数字を伸ばすのは、最終的には部下の成長です。

そのうえで大前提として押さえたいのが、売れない店長がいる店は売れないということです。「店長はマネジメント職だから、受注は若手につけてあげている」という店長もいますが、部下全員に十分な棟数を取らせているならともかく、そうでなければ自分で売るべきです。売れない店長の言うことを聞きたい部下はいません。この後紹介するOJTも、店長がトップセールスとして売れていることが前提になります。

同席させるのは「部下の商談」ではなく「店長の商談」

OJTというと、店長が部下の商談に同席する形を思い浮かべるかもしれません。クロージングの最後に店長として挨拶に入るのはよいのですが、部下の商談にがっつり同席するのは、本人の成長を妨げることにもなります。

重視したいのは逆の形、店長自身の商談に部下を同席させることです。ただし、隣に座ってメモを取らせるだけでは意味がありません。頭の中では別のことを考えていても、メモは取れてしまうからです。

店長の商談に部下を同席させるOJTの3ステップ:議事録を書かせて最後にお客様の前で発表させる、ToDoを任せて木曜日午前までに資料を確認する、事前にロープレしたうえで商談の一部を任せる

1. 議事録を書かせ、最後にお客様の前で発表させる

同席の前に「今日は議事録をお願いします。最後にお客様へ発表してもらいます」と宿題を出しておきます。発表しなければならないと分かっていれば、部下は必死に内容を理解しようとします。商談の最後に「本日の内容を、担当の○○からまとめさせていただきます」と部下に発表させれば、その場で理解度を確認し、間違いがあれば補足できます。同席がそのままPDCAの場になるのです。

2. 議事録のToDoは部下に任せ、期限を決める

議事録には、役所調査、見積もりの取り寄せ、敷地調査、土地の資料収集などのToDoが出てきます。これらを同席した部下にお願いし、「木曜日の午前中までに資料を見せてください」と期限を決めます。部下がつくる資料の精度を見極められるうえに、期限までに上司のチェックを受けるという習慣も身につきます。

3. 慣れてきたら、商談の一部を任せる

次の段階では、前回の宿題(土地の資料や住宅ローンの金利比較など)の説明を、部下に任せます。店長はオブザーバーとして見守り、必要に応じて補足します。もちろん、ぶっつけ本番ではありません。木曜日に内容をすり合わせ、一度話させてフィードバックし、金曜日にもう一度確認する。事前に2回ほどロープレしたうえで、本番の商談で実践させるイメージです。

社内でロープレの日を設けている会社は多いですが、ロープレだけで終わるのと、売れている店長の商談で実際に話し、その場で補正してもらえるのとでは、成長の度合いがまったく違います。

店長と部下の「時間の等価交換」

このOJTは、店長にとっても大きなメリットがあります。議事録を取らなくてよいのでお客様との商談に集中でき、資料収集などの作業も部下に任せてフィードバックするだけで済みます。部下にとっても、売れている店長の商談を間近で見て、議事録や資料をアウトプットし、本番で発表する機会まで得られます。

ここで大切なのが、同じ仕事を振っても、誰から振られるかで受け止め方がまったく変わるという点です。売れている先輩から「同席させてあげるから一緒にやろう」と言われればうれしいものですが、売れていない上司から同じことを言われれば、ただの雑務の押し付けに感じます。部下からの評価は、会社からの評価以上に、店長が結果を出しているかどうかで変わります。

誰を同席させるか:苦手な場面に課題を持たせて入れる

同席させる部下は、案件会議で見えてくる一人ひとりの苦手な場面から決めます。たとえば年間6棟前後の営業は、初回から次回アポまでは取れても、2回目の商談で話をどちらの方向に持っていくかの判断が苦手で、クロージングまで行きつかないケースが多く見られます。一方、クロージングで負けが続いている部下もいます。

育たない同席育つ同席
「今から商談あるから
同席して」と
当日に声をかける
「来週の2回目商談、
あなたの課題の場面だから
入ってみよう」と
事前に伝える
隣でメモを取るだけ議事録を書き、
最後に発表する
何を学ぶかが
本人に分かっていない
同席前に課題を出し、
目的を持たせる

ポイントは、同席の意味を本人に具体的に持たせること、同席前に課題を出すこと、当日の無茶ぶりはしないことの3つです。目的のない同席では、隣で眠そうにしているだけになってしまいます。

部下の商談管理は「木曜日の午後1時まで」に確認する

部下の商談の管理も、細かく口を出す必要はありません。ただし、次の商談の資料やプランは木曜日の午後1時までに一度見せてもらい、フィードバックすることは徹底します。

多くの店長は、金曜日の夜に「明日の商談資料を見せて」と部下を呼び、ダメ出しをします。しかしその時間には、メーカーや不動産会社、役所に問い合わせることができません。メーカーが電話に対応できるのはおおむね平日の日中です。木曜日の段階で確認すれば、金曜日の日中に何度でも修正でき、資料の精度が上がります。残業も減ります。あとは本人に主体性を持たせて任せることが大切で、「一緒にやってあげる」が良い上司とは限りません。

部下の生産性を上げる店舗の時間割

部下の生産性を上げる店舗の時間割:重いタスクは午前中、外回りは午後、会議や厳しい話は夕方、褒めるのは朝、店長は朝一番に出社して夜は早く帰る
  • 重いタスクは午前中:人は午前中が最も集中しやすく、昼食後は眠くなりがちです。図面や見積もり依頼などは午前中に事務所で集中して終わらせ、敷地調査や役所などの外回りは午後に回します。
  • 会議や厳しい話は夕方、褒めるのは朝:朝一番に叱られると、その日1日の生産性が下がります。言いたいことがあっても、午前中は「夕方に話そう」と伝えるだけにとどめ、話し合いは夕方に。逆に褒めるのは朝にすると、1日中モチベーションが高く保てます。
  • 夜は早く帰らせる:夜遅くまで残ると、雑談や不要なダメ出しが始まり、結局若手が上司の帰った後に資料を作り直すことになりがちです。店長が先に帰らないと部下も帰りにくいので、店長が率先して帰ります。
  • 店長は朝一番に出社する:仕事が終わらないなら、夜ではなく朝に時間をつくります。朝一番に来れば、部下が片付ける前の机の状態から、前日の仕事ぶりや気持ちの状態を読み取れます。お客様の個人情報を含む書類が出しっぱなしになっていないかなど、情報管理のチェックにもなります。

工務(内勤)部門でも、ハンズフリーのイヤホンを導入して電話中も手を止めずに作業できるようにしたり、午前中の一定時間は電話をかけないルールを設けたりすることで、確認申請などの業務効率が大きく上がった例があります。

管理職は、自分の感情のコントロール次第で、部下の業務効率を上げることも下げることもできる立場です。部下の集中力が最大になるように店舗を運営する視点を持ちましょう。

よくある質問

Q. 部下を商談に同席させても育たないのはなぜですか?

A. 目的や課題がないまま隣でメモを取らせているだけだからです。同席前に「議事録を書いて最後に発表する」という宿題を出し、本人の苦手な場面の商談を選んで同席させると、同席そのものがPDCAの場になります。

Q. 部下の商談資料はいつ確認すればよいですか?

A. 週末の商談であれば、木曜日の午後1時までに一度確認するのがおすすめです。金曜日の夜では、メーカーや役所に問い合わせて修正する時間がありません。早めに確認すれば、平日の日中に何度でも修正でき、資料の精度も上がります。

Q. 店長はプレイヤーとして売るべきですか?

A. 売るべきです。売れている店長だからこそ、部下は商談への同席や資料作成の依頼を「学びの機会」と受け止めます。売れていない店長が同じことをすると、ただの雑務の押し付けに感じられてしまいます。

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ピュアグロースでは、大手ハウスメーカーで店長・支店長を務めた実務家コンサルタントが、店長研修やOJTの仕組みづくり、案件会議の改善まで、営業組織のマネジメントを支援しています。お気軽にご相談ください。

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