「紹介キャンペーンをやっても、OB様からの紹介がほとんど出ない」
「新規の集客に頼り続けていて、営業の負担が減らない」
住宅会社の多くが抱える悩みです。紹介受注は広告費がかからず、成約率も高い理想的な受注経路ですが、営業個人の受注に占める紹介の割合は1〜2割程度が一般的です。
そんななか、愛媛県で地域トップクラスの着工数を誇るアレスホーム様に、年間約30棟を受注し、そのうち半数近くが紹介という営業がいます。ピュアグロースの支援先を対象にした表彰でも、紹介による受注棟数で全国1位となりました。本記事では、元アイ工務店のトップ営業である当社コンサルタントとの対談をもとに、謝礼に頼らず「あなただから建てたい」という指名と紹介が続く営業の習慣を解説します。
この営業は、美容師から転職して23歳で住宅業界に入りました。最初から売れていたわけではありません。
| 年次 | 年間受注棟数(目安) |
|---|---|
| 1年目 | 約5棟 |
| 2〜4年目 | 約7〜8棟 → 約10棟 → 約12棟 |
| 5年目 | 約19棟 |
| 6年目以降 | 約28〜30棟 (うち半数近くが紹介) |
※動画内の対談に基づく数字です。
19棟から約30棟へ伸びた最大の理由は、OB様からの紹介が大きく増えたことでした。通常、19棟も売れるようになれば、さらに新規を増やしてクロージングに力を入れ、契約後の対応は誰かに任せたくなるものです。この営業は逆に、契約したお客様への意識を強めました。忙しくなっても手を抜かずにやり切ったことが、紹介の増加につながっています。
以前は、契約を取りたい、負けたくないという気持ちが強く、数字ばかり追いかけていたといいます。それが「お客様に喜んでもらうにはどうすればいいか」へと切り替わったことが出発点でした。
意識しているのは、営業としては逆説的な「営業しすぎない」ことです。後押しは大切ですが、「早く契約してください」ではなく、「この方が幸せに、安心して暮らせる家にするにはどんな提案がいいか」「これは本当に必要か」を一緒に考える相談相手になる。マニュアル通りにテストクロージングを打つのではなく、まずお客様の不安を聞けば、今はクロージングすべきでないタイミングも見えてきます。
「うちで決めなくても大丈夫です」「今決めなくてもいいですよ」と伝えたうえで、家づくりを考え始めた理由を聞き、そのうえで「それなら今から動いた方がいいのでは」と話す。友人に紹介するとき、強く営業される担当者は紹介しにくいものです。押しの強さを感じさせないことが、紹介のしやすさにつながります。

契約を取ったら次のお客様へ、という営業は少なくありません。しかし、選んでくれたお客様に「契約したら来なくなった」と思われたくない。そこで、地鎮祭、上棟、引き渡し前の検査、引き渡しなどのイベントには必ず立ち会い、打ち合わせの合間にも短時間でも顔を出すようにしています。
現場では、「この後どのように進むのか」「今日はどんなスケジュールで終わるのか」をLINEではなく直接説明します。営業にとっては毎回同じイベントでも、お客様にとっては一生に一度の家づくりです。
新規の商談と重なりそうなときは、事前に日程が決まっている契約後のイベントを優先し、商談のお客様に時間をずらしてもらいます。「その日はこの後なら空いています」と伝えると、多くのお客様は快く調整してくれます。結果として、「この人は多くのお客様から信頼されている人気の担当者なんだ」と感じてもらうことにもつながっています。
連絡はLINEが当たり前の時代だからこそ、手書きの手紙が響きます。初回の接客を終えたお客様には全員に手紙を送り、契約後もお誕生日などの節目に書いています。年末には、OB様への年賀状も手書きで送ります。LINEなら読み流されてしまうことも、手紙なら会話のきっかけになります。
この営業が特に力を入れているのが、Googleの口コミです。ポイントは、会社の評価ではなく、「なぜこの担当者で建てたのか」という個人への評価を書いてもらうこと。Googleマップで会社名を検索すると、担当者への感謝がつづられた長文の口コミが並んでいます。

口コミのお礼に金券などを渡すことはしていません。それでも協力してもらえるのは、引き渡しまでの対応にお客様が心から満足しているからです。依頼された内容を設計担当にそのまま転送するのではなく、お客様の意図をくみ取って一手間加えて伝える。そうした積み重ねがあるからこそ、自信を持って口コミをお願いできます。
集めた口コミは、自身のInstagramのストーリーズで発信し、アーカイブにも残しています。商談中のお客様とはInstagramを交換しているため、たとえば午前中に商談したお客様が、その夜に投稿された引き渡しのお客様の口コミを目にすることになります。「この人なら安心して任せられる」と感じてもらえれば、次の商談ではより本音で話してもらえるようになります。
紹介を増やしたい営業へのアドバイスを聞くと、返ってきたのは「契約を取りたいという気持ちを一度捨てること」でした。「この方は本当に今建てた方がいいのか」「自分が担当すれば必ず幸せになってもらえる」という気持ちから変えなければ、お客様にも「この人は契約が欲しいだけだ」と伝わってしまいます。
今後の目標は、紹介からの契約をさらに増やすこと。そして「会社ではなく、あなたに建ててほしくて来ました」というお客様を一人でも増やすことだといいます。テクニックだけでなく、マインドとスキルを数年かけて積み上げた結果が、指名と紹介の連鎖を生んでいます。
A. 契約後の対応を手厚くすることです。地鎮祭や上棟、引き渡しなどのイベントに必ず立ち会い、今後の流れを直接説明する。忙しくなっても契約済みのお客様への意識を下げないことが、紹介の増加につながります。
A. 引き渡し前の完成検査を一緒に終え、お客様の満足を確認したタイミングがおすすめです。その場でスマートフォンから書いてもらい、会社ではなく担当者個人への評価として残してもらうと、次のお客様の安心材料になります。
A. 必ずしも必要ではありません。本記事の営業は金券などを渡していませんが、多くのお客様が協力しています。謝礼よりも、引き渡しまでの対応でお客様に心から満足してもらうことが大切です。
ピュアグロースでは、大手ハウスメーカーでトップの実績を持つ実務経験者が、商談の進め方から契約後のフォロー、口コミやSNSの活用まで、紹介と指名が生まれる営業の仕組みづくりを支援しています。