「土地の契約の前日に、売主の都合で白紙になってしまった」
「資金計画に擁壁や造成の費用を入れ忘れ、契約後にお客様を怒らせてしまった」
土地から家づくりを始めるお客様が多い住宅営業では、土地にまつわるトラブルは避けて通れません。そしてトラブルが起きたとき、どう動き、どう気持ちを立て直すかで、その後の結果は大きく変わります。本記事では、元アイ工務店のトップ営業である当社コンサルタントが新人時代に経験した2つの土地トラブルと、そこから得た再発防止の工夫、落ち込んだときの気持ちの整え方を紹介します。若手営業の方はもちろん、部下を育てる上司・店長の方にも読んでいただきたい内容です。
営業1年目のある日、不動産会社から電話がありました。「明日の土地の契約ですが、売主が売りたくないと言っているので、なしにしてもらえませんか」。お客様が気に入っていた土地が、契約の前日に買えなくなったのです。しばらく粘って交渉しましたが、売主の意向は変わりませんでした。
気持ちを切り替えた当社コンサルタントが最初にしたのは、店長への連絡でした。「この事実は早くお客様に伝えた方がいいと思うので、電話しようと思いますが、いかがでしょうか」と相談します。店長の答えは「そうした方がいい。諦めちゃだめだよ。自分が思う準備をしていけばいい」というものでした。
すぐにお客様に電話で状況を伝え、「明日あらためて店舗でご説明します。私なりに今後の方向性も準備しておきます」と約束しました。悪い知らせほど、上司と共有したうえで、早く、正直に伝えることが大切です。
翌日の面談には、希望の学区だけでなく、少しエリアを広げた土地まで、10件ほどの資料を用意して臨みました。「買いたかった土地は残念ながらありません。でも家づくりはぜひ進めていただきたいので、どうすれば安心して進められそうか、一緒に考えさせてください」と、むしろ相談する姿勢で話しました。
その日は結論が出ませんでしたが、週明けにお客様から電話がありました。「あのとき提案してもらった土地で建てます」。お客様は、実は断るつもりで面談に来ていたそうです。ところが、たくさんの土地資料を用意してくれていたので断りにくく、帰ってから見直すと「案外この土地も似た条件だ」と納得できたとのこと。「最初に家を建てたいと思った気持ちを思い出させてくれた」とも言っていただけました。
特別なトークがあったわけではありません。土地情報をいつも以上に準備する、見込みが薄くてもアポを取ってやる気を示す。そうした小さな行動で、お客様の気持ちは変わるということです。
もう一つは、営業として初めて担当したお客様でのことです。道路から1〜1.5mほどの高低差がある土地で、擁壁をつくる必要がありました。ところが当時の当社コンサルタントは、擁壁の費用は土地代に含まれていると思い込み、資金計画に入れないまま契約まで進めてしまいました。後から分かった追加費用は約300万円です。
お客様には全力で謝罪しましたが、当然ながら強いお叱りを受けました。店長と一緒に謝罪に伺い、そこから引き渡しまでの数か月間、信頼がほとんどない状態での打ち合わせが続きました。
心が折れそうになったときも、店長は「諦めるのはいつでもできる。最後まで一度やってみよう」と背中を押してくれました。打ち合わせを重ね、設計担当者や店長にも助けてもらいながら、着工から引き渡しまでやり遂げました。
引き渡しの日、お客様から「追加の費用はかかったけれど、総額で見て満足できる家になった。ありがとう」と言われ、名刺入れをプレゼントしていただいたそうです。最後まで誠実に対応すれば、失った信頼も取り戻せる。この経験が、その後の営業の土台になりました。
この2つの経験から得た教訓は「土地はトラブルのもと」ということです。そこで当社コンサルタントは、次のことを自分のルールにしました。

たとえば土地の購入を決めていただく商談では、事前に不動産会社の担当者に「今日、何時ごろにお電話するので、お客様の気になっている点にお答えいただけますか」とお願いしておきます。土地の専門家から直接説明を受けることで、お客様の不安は解消されやすくなり、説明の行き違いも防げます。
土地が白紙になったとき、店長はもう一つ声をかけてくれました。「次のお客様もいる。そっちにも集中しよう」。今月家を建てたいお客様は、地域全体で見れば必ずいます。そう考えると、架電やポスティング、ダイレクトメールなど、次の行動に気持ちを向けられるようになります。
これも店長から教わった方法です。契約がいただけたような嬉しいときは「契約は通過点、当たり前」と受け止める。ショックな出来事があったときは「まあ大丈夫、まあいいか」と口に出す。実際に言葉にすることで、気持ちの浮き沈みが小さくなり、メンタルがぶれにくくなるといいます。
擁壁のトラブルで落ち込んでいた時期、店長は「営業はお客様の前でプライベートを見せてはいけない。今こそ明るい自分を演じる練習の場だ」と励ましました。気持ちは沈んでいても、商談の場では笑顔で明るく振る舞う。それを続けた結果、その年は年間15棟の契約につながったそうです。
2つのエピソードに共通しているのは、すぐに相談できる上司がいて、慰めるのではなく「諦めるな」「次に集中しよう」「最後までやってみよう」と前を向かせてくれたことです。そして当社コンサルタント自身も、上司の言葉を素直に聞いて、実際にやってみた。同じ言葉をかけられても、やらない人がほとんどだったといいます。
上司・店長の方は、トラブルが起きたときに部下がすぐ相談できる関係をつくっておくこと。若手の方は、言われたことをまず素直にやってみること。失敗の数だけ、営業として大きくなれます。
A. まず上司に状況を共有し、できるだけ早くお客様に正直に伝えましょう。そのうえで、条件の近い土地の情報を十分に用意して面談に臨みます。家づくりを進めたいというお客様の気持ちに寄り添い、一緒に次の方向性を考える姿勢が大切です。
A. 高低差のある土地では擁壁や造成、ほかにも地盤改良や上下水道の引き込みなど、追加費用が出やすい点を上司と必ず確認しましょう。可能性がある費用は、金額の幅も含めて資金計画に明記し、契約前にお客様へ説明しておくことが大切です。
A. 一人のお客様だけに意識を向けず、次のお客様との出会いに行動を向けることです。ショックなことがあったときは「まあいいか」と口に出して受け止めるのも効果的です。そして一人で抱え込まず、上司に早めに相談しましょう。
ピュアグロースでは、大手ハウスメーカーのトップ営業出身のコンサルタントが、若手営業の育成や店長のマネジメント、土地提案から資金計画までの営業の仕組みづくりを支援しています。お気軽にご相談ください。