一条工務店のSPA型ビジネスモデルに学ぶ|真似できる強み・できない強みと新卒・中途採用

2026.10.27 2026.10.27
一条工務店のSPA型ビジネスモデルに学ぶ|真似できる強み・できない強みと新卒・中途採用 解説動画サムネイル

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「一条工務店の強さは床暖房や性能だと思っていた」
「大手の仕組みを真似したいが、どこまでなら自社でもできるのか分からない」

全国で圧倒的な棟数を販売する一条工務店。その強さを「全館床暖房」「高気密・高断熱」といった商品の特徴で説明されることは多いのですが、それはあくまで表に見える部分にすぎません。本記事では、2025年6月時点の動画をもとに、当社代表が一条工務店のビジネスモデルを「製造から販売までの一貫体制(SPA)」という視点で整理し、地域の住宅会社が真似できる強みと真似しにくい強み、そして組織文化をつくる新卒・中途採用のバランスについて解説します。

※本記事の数値は、2025年6月時点の動画内の解説(公開情報と当社の推計)に基づく概算です。

強さの本質は商品ではなく「仕組み」

動画収録時点で、一条工務店は年間約1万6,000棟、展示場は全国で約550か所、営業担当者は3,000人を超える規模で展開しているとされています。この規模を支えているのは、床暖房のような個別の商品ではなく、綿密に組み立てられた組織と事業の仕組みです。一条工務店を「住宅メーカー」としてだけでなく、「仕組みで売る会社」として理解することが、自社の成長のヒントになります。

住宅版の「SPA(製造小売)」というビジネスモデル

一条工務店の最大の独自性は、材料の調達や設備の製造から、施工、販売、アフターサービスまでを一貫して自社で行う体制にあります。アパレルでいえばユニクロのような「SPA(製造小売)」の形で、住宅でここまで徹底できている会社はほかにほとんどありません。設備も海外の自社工場で製造しています。

一条工務店のSPA型ビジネスモデル:材料や設備の製造から施工、販売、アフターまでを自社で一貫して行う。裏返しとして他社の設備は使えない
メリットデメリット
大量仕入れで
コストを圧縮できる
設備などの
選択の自由度が下がる
工程管理が安定し
工期の遅れが少ない
工場など
投資額が大きくなる
社内ルールで
品質を統一できる
トレンドへの
対応が遅れやすい
アフターまで
窓口が一つで明確
見る範囲が広く
アフターが複雑になる

品質が安定し、アフターまで一貫して対応できることは、紹介の多さにもつながっています。大工や職人の不足が進む今後を考えると、この一貫体制のメリットはさらに大きくなるでしょう。

一方で、すべてを自社でつくるということは、他社の設備を使えないということでもあります。競合する側から見れば、お客様に他社メーカーのキッチンや水回り、窓などを気に入っていただければ、一条工務店に負けにくくなります。ビジネスモデルの強みの裏側に、地域の住宅会社が戦えるポイントがあるのです。

仕組みで売る:展示場・新卒・マニュアル

もう一つの大きな特徴が、総合住宅展示場への出展と新卒営業の大量採用を組み合わせた全国展開です。テレビCMなどの大規模な広告に頼らず、展示場で来場を取り、新卒の営業が売れるように仕組みを整えています。

  • 売れない営業が少ない:営業1人あたりの年間棟数は約5.5棟とされ、極端に売る人は多くない一方で、売れない人も少ない。仕組みが完成している証拠といえる
  • 営業マニュアルとトークの台本:床暖房や性能を気に入っていただくための説明が台本として整っており、新入社員でもそのとおりにやれば売れるようになっている
  • 性能と光熱費を伝える売り方:住宅の性能や光熱費などの生涯コストを伝える流れが、北海道から九州まで共通で決まっている
  • 展示場は「体感」と「育成」の場:床下を見せる、自社の窓を見せるなど、性能を感じてもらう仕掛けが以前から作り込まれている

商品・集客・営業が一本の線でつながっているからこそ、属人化しない「工場型」の経営ができているのです。

真似できる強み、真似しにくい強み

では、地域の住宅会社は一条工務店の何を取り入れるべきでしょうか。当社代表は、強みを5つに分けて再現できるかどうかを整理しています。

一条工務店の強みのうち地域の住宅会社が取り入れやすいのは展示場の展開、営業トークの台本化、教育制度の3つ。自社製造と組織文化は真似しにくい
強み地域の住宅会社が取り入れられるか
SPA(自社製造)難しい。年間2,000棟を超える
規模になってから検討する領域
展示場の展開できる。すでに取り組む会社も多い
営業トークの台本化できる。売れる流れを言語化し共有する
教育制度できる。新人が売れるまでの
育成の流れをつくる
組織文化時間がかかる。自社に合った
採用と育成で少しずつ築く

特に取り入れてほしいのが、展示場の展開、営業トークの台本化、教育制度の3つです。「再現性のある売り方」「仕組みで売る」ことを目指すうえで、一条工務店は一つの到達点といえます。

展示場は「同じ会場に複数」も選択肢

一条工務店は、空きが出た総合住宅展示場にも積極的に出展し、同じ会場に2棟、3棟と構えることも珍しくありません。同じ会場で複数の商品を見られれば、お客様は比べやすく、どの商品が売れても会社としては同じです。拠点が増えれば営業の配置も増え、会場内でのシェアも高まります。地域の住宅会社も、人気の会場に2棟目を出すことは十分に検討の余地があります。会場内での戦い方や数字の見方は一条工務店の数字に学ぶ組織づくりでも解説しています。

組織文化をつくる、新卒と中途のバランス

組織文化は、すぐにはつくれません。新卒中心で文化を育ててきた一条工務店に対し、この10年で大きく伸びたアイ工務店は中途採用を中心に成長してきました。伸びている会社でも、やり方はまったく違います。大切なのは、自社の成長段階に合わせて新卒と中途のバランスを整えることです。

  • 年間10〜50棟程度まで:中途採用で数字をつくりにいく方がよい。市場が縮小するなか、新卒を育てる体力がもたない会社も多い
  • 年間50〜100棟の段階:中途で走りながら、新卒採用を加えていく

新卒でも中途でも共通して大切なのは、定着率を高めることです。そして定着率を高めるとは、実は採用に一番力を入れることにほかなりません。辞めさせないように腫れ物に触るような接し方をするのではなく、目指すビジョンを掲げ、それに共感できる人を集める。きれいごとだけでなく現実も伝えながら採用することが、強い文化の土台になります。

そして、新卒が売れる会社とは、ビジネスモデルと仕組みが整っている会社です。属人的に売るのではなく仕組みで売れる状態をつくることが、結果として新卒を育て、拠点を広げることにもつながります。

まとめ

  1. 一条工務店の強さは商品より、製造から販売までを一貫させた仕組みにある
  2. SPAの裏返しとして他社の設備は使えない。そこに地域の会社の戦いどころがある
  3. 真似すべきは、展示場の展開・営業トークの台本化・教育制度の3つ
  4. 新卒と中途のバランスは、自社の棟数規模に合わせて決める
  5. 定着率を高める一番の方法は、ビジョンに共感する人を採用すること

よくある質問

Q. 一条工務店の強さの本質は何ですか?

A. 床暖房や性能といった商品の特徴だけでなく、材料や設備の製造から施工・販売・アフターまでを自社で一貫して行う体制と、展示場・新卒採用・営業マニュアルを組み合わせた「仕組みで売る」組織にあります。

Q. 地域の工務店が一条工務店から学べることは何ですか?

A. 展示場の展開、売れる営業トークの台本化、新人が売れるまでの教育制度の3つは、規模にかかわらず取り入れやすい部分です。自社製造の体制は、年間2,000棟を超える規模にならなければ現実的ではありません。

Q. 新卒採用と中途採用はどちらを優先すべきですか?

A. 成長段階によります。年間50棟程度までは中途採用で数字をつくり、50〜100棟の段階で新卒採用を加えていくのが一つの目安です。どちらの場合も、ビジョンに共感する人を採用し、定着率を高めることが大切です。

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ピュアグロースでは、一条工務店の営業・店長経験者を含む実務家コンサルタントが、競合分析から展示場戦略、営業の仕組み化、採用と育成まで伴走します。一条工務店の強さと対策をまとめたレポートもご用意しています。

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