「月末まであと10日なのに、見込みのお客様が一人もいない」
「短期間で契約をお願いすると、後でトラブルになりそうで踏み込めない」
住宅営業をしていれば、数字が足りない月は必ずあります。そこで焦って強引に契約を迫ればお客様の信頼を失い、逆に「急がせるのは良くない」と遠慮すれば、本当は今決めた方がよいお客様の背中も押せません。本記事では、元アイ工務店のトップ営業である当社コンサルタントが、入社後初めての重要月に「残り10日・見込み客ゼロ」から契約にこぎつけた経験をもとに、お客様が断る理由を一つずつなくしてから商談に臨む準備と、短期間の契約でも信頼が続く考え方を解説します。
当時の会社には、全社で必ず契約を積み上げる重要月がありました。当社コンサルタントはその前月に契約を取ってしまっていたこともあり、重要月に入ると見込みのお客様がいない状態に。残り10日の時点で、支店で契約ゼロは自分だけでした。
それでも諦めず、その月だけで1,000件を超える架電と、同じくらいの数のダイレクトメッセージを送り、まだ会っていないお客様にも接点を持とうとしました。そんな中、飛び込みでご来場されたのがあるご家族です。
お客様の第一声は「どの会社に行っても、今月中に契約してくださいと言われる。そういう営業は本当に嫌い」というものでした。当時は月末で期限を迎える住宅の補助制度があり、各社がそれを理由に契約を急がせていたのです。
ここで当社コンサルタントは、ごまかさずに「実は私も、今月の契約がお客様にとって一番お得だと思っています」と正直に伝えました。他社の言っていることは正しい、そのうえで「今月に契約できる前提で、ご納得いただける提案を一度考えさせてください。話だけでも聞いていただけませんか」とお願いしたのです。本音をさらけ出したことで、お客様も「そこまで言うなら」と真剣に話を聞いてくださいました。
ここで大切なのは、急ぐ理由が営業の都合ではなく、お客様にとっての実際のメリット(制度の期限や家賃の負担など)であることです。根拠のない「今だけ」で急がせる営業とは、まったく別物です。
家づくりのきっかけは「中型犬と暮らせる家に住みたい」というものでした。ただ、土地がまだ決まっておらず、見にも行っていないので決められない、とのこと。お住まいは展示場から車で1時間半ほどの地域でしたが、「今から一緒に見に行きましょう」と提案し、その日のうちに土地を回りました。そして「ここなら犬の散歩がしやすい」という理由で選んだ土地に、買付申込をいただきました。
予算はご希望より高くなりそうだったため、個人的に信頼しているファイナンシャルプランナー(FP)にすぐ相談しました。「この方がダメと言ったら、私は提案しません」とお客様に伝えたうえでの依頼です。FPは遠方から夜遅くに駆けつけてライフプランを確認し、「資金は大丈夫。良い提案なら決めていい」とお客様に伝えてくれました。
次の商談は、FPの面談の翌日でした。眠れないほど不安だったという当社コンサルタントは、お客様が断る理由がないかを徹底的に洗い出し、次の5つの観点で準備を整えました。

| 観点 | 準備したこと |
|---|---|
| 人 | 相談相手であるご家族にも家づくりを共有できているか確認。 上司も現地を確認し、会社として支える姿勢を示す |
| 土地 | 買付済みの土地について、上司が現地で注意点を確認。 費用が増える可能性も先に伝えておく |
| 資金 | FPがライフプランで返済の見通しを確認済み |
| プラン | ご要望を外さないよう忠実に反映。 事前送付せず、当日に手描きで想いを伝える |
| 時期 | 制度の期限と、今払っている家賃の負担から、 今建てるメリットを具体的に示す |
ポイントは、営業担当者が一人で抱え込まないことです。上司が土地を見に行って注意点を教えてくれたこと、FPが資金の安心を保証してくれたこと。「この会社は担当者だけでなく、チームで支えてくれる」と伝わることも、お客様の判断材料になります。
こうして「人も土地も納得できている。資金も安心。プランは要望どおり。時期も今が良い。ほかに断る理由はありませんよね」という状態をつくって商談に臨みました。結果は、用意していた最後の手札を使うまでもなく、プランを見たお客様から「これなら建てたい」と言っていただき、ご契約となりました。予算はご希望より上がりましたが、FPの確認もあり、納得のうえでの判断でした。
初来場から契約まで、わずか2日。それでもこのお客様とは、その後も毎年のように設計担当者やインテリアコーディネーターと一緒にご自宅に招いていただく関係が続いているそうです。
「早く契約をお願いすると、後でもめるのではないか」と不安に感じて、クロージングに踏み込めない営業担当者は多いものです。しかし、トラブルになるかどうかを決めるのは期間の長さではありません。どれだけ真剣にお客様のことを考え、準備したかという時間と質です。それを体験してから、当社コンサルタントは月末の10日前にお会いしたお客様とも、自信を持って月内の契約を目指せるようになったといいます。
クロージング前にお客様の本音を確かめる方法はクロージング前にLINEでアジェンダを送るテストクロージングで解説しています。
A. 営業の都合だけで急がせるのは避けるべきです。一方、制度の期限や家賃の負担など、お客様にとって今決めることに実際のメリットがあるなら、それを正直に伝えるのは誠実な提案です。そのうえで判断はお客様に委ねましょう。
A. 人(ご家族や相談相手の合意)、土地(現地の注意点と費用)、資金(返済の見通し)、プラン(ご要望の反映)、時期(今決めるメリット)の5つです。一つでも不安が残っていれば、その解消を先に行います。
A. トラブルの原因は期間の短さではなく、確認や説明の不足です。土地の注意点や費用の増加の可能性を先に伝え、資金も第三者に確認してもらうなど、準備を尽くしていれば、短期間の契約でも長く良い関係が続きます。
ピュアグロースでは、大手ハウスメーカーのトップ営業出身のコンサルタントが、商談準備やクロージング、組織として安定して受注するための仕組みづくりを支援しています。お気軽にご相談ください。