「市場が縮小する中で、どうすれば業績を伸ばせるのか」
「出店したいが、任せられる人材がいない」
住宅会社・工務店の経営者様から、こうした相談を受ける機会が増えています。集客の改善やKPI管理はもちろん大切ですが、それだけで業績を大きく伸ばすのは難しくなっています。本記事では、当社コンサルタントが代表に「支援先の業績を上げるために、経営者に何を伝えるべきか」を相談した社内ミーティングの内容をもとに、縮小市場で業績を伸ばすための「出店」と「採用」の考え方、そして人材紹介会社・ヘッドハンターを味方にする採用の進め方を解説します。
支援先の日報や資料、チャットを横断して見ていると、業績が上がっていない会社に共通しているのは出店と採用ができていないことです。支援の現場では、目の前の集客を上げる、KPIを管理するといったテーマが中心になりがちです。それ自体は欠かせませんが、既存店の活性化だけでは業績をぐっと伸ばすのは厳しいのが実情です。
実際、この1年ほどで経営者から出店の相談を受ける件数が大きく減っています。新しい店舗を出す、新しいブランドをつくる。こうした成長のための打ち手を、経営者とあらためて話し合う習慣をつくることが重要です。
なぜ出店にブレーキがかかっているのか。理由は大きく2つあります。既存店の活性化がままならないこと、そして「お店を出したいが、いい人がいない」ことです。
以前は、出店する場所(箱)を見つけてそこに人を入れれば、ある程度は勝てる時代でした。しかし市場が縮小し、業界全体が厳しくなった今は、力のある人材でなければ売り切れません。「箱をつくって人を入れる」から、「人がいるから、その人が勝てる箱を出す」へ。出店の前提が箱ありきから人ありきに変わっています。

多くの経営者は「いい人が見つかれば出店したい」と言います。しかし順番は逆で、物件を探すより先に人を探す必要があります。この「人を探す仕事」に経営者自身が踏み込めるかどうかが、成長できるかどうかの分かれ目です。
会社は、社長の器以上の人を雇うことはできません。だからこそ、社長自身が採用に本気になることが出発点です。
ビジョンやミッションと言うと難しく聞こえますが、要は「どんな会社をつくりたいのか」を社長が熱く語れるかどうかです。借り物の言葉ではなく、自分の言葉として話せること。ここが固まっていれば、口下手な社長や話すのが得意でない社長でも、採用はできます。
優秀な人材は「今のままでいい」と考えている会社には入りません。「この社長となら夢が見られる」「県内1番を目指せる」と思える、ビジョンの大きな会社に集まります。
もう一つのネックが条件面です。長く会社を支えてきた幹部社員は大切な存在ですが、その人たちを超える条件を新しい人材に出せない会社は少なくありません。次の未来をつくってくれる人材には、思いだけでなく条件も含めて「来てほしい」と伝える必要があります。
さらに遡ると、そもそも今いる社員に十分な給与を払えていないという問題があります。どの社長も、幹部や社員の給料を上げたいと考えています。それでも払えないのは、今の人件費の範囲で利益が出るようなビジネスモデルになっているからです。
営業の人数が少ない、間接部門が大きい、粗利率が低い、値引きしないと受注できない。こうした変数を一つずつ正さなければ、いくら頑張っても利益は出ません。直間比率や生産性を見直し、社員にきちんと払える会社にすることが、採用の土台になります。
ただし、既存店の立て直しだけにとらわれて止まってしまうと、今の時代は業績を伸ばしにくくなります。ビジネスモデルを磨きながら、同時に採用と出店の計画を握っておくことが大切です。
採用を進めるうえで、まずやるべきなのは採りたい人材の具体像を描くことです。どのくらいの給与レンジの人を、どの役職で、何歳くらいで迎えるのか。ここがぼやけていると採用はできません。
人材紹介会社やヘッドハンティング会社の手数料を、リスクやコストと捉える経営者は多いものです。しかし多くは成功報酬型で、採用が決まったときにだけ発生する変動費です。使えるなら使ったほうがよい手段です。
紹介会社も商売ですから、採用してくれる会社、つまり「この会社ならこの人が動く」と思える会社に優先して紹介します。紹介が来ないのは、地域のせいではなく、自社の魅力が伝わっていないからです。人口が少ない地域にも優秀な人はいます。紹介されないのは「あなたの会社には合わない」と判断されているからだと受け止める必要があります。

紹介をたくさん受けている社長は、紹介会社の担当者と直接会い、採用が決まったら自らお礼の電話をかけています。「先日紹介してもらった方はとても良かった。次はこういう方も紹介してほしい」と、具体的に伝えることも欠かしません。意外とこれをしている社長は多くありません。担当者も人です。「この社長のために」と思ってもらえなければ、いい人材は回ってきません。
支援先では、紹介会社の担当者を集めて自社の魅力を伝える「逆会社説明会」を開いているケースもあります。伸びている会社の中には、紹介料率を引き上げて優秀な人材の紹介を優先してもらっている例もあります。
「安くていい人を採りたい」という発想では、優秀な人材は採れません。本当のコスパとは、優秀な人を適正な価格で採ることです。優秀な人には、また優秀な人がついてきます。その人が「この会社はいいぞ」と次の人を連れてきてくれる。これが住宅業界の常です。
| 考え方 | 中身 |
|---|---|
| よくある誤解 | 手数料を抑えて、 安くいい人を採りたい |
| 本当のコスパ | 優秀な人を適正な価格で採る。 その人が次の優秀な人を連れてくる |
| 避けたいこと | 人がいないからと、 誰でもいいので採ってしまう |
「今のモデルのままでは逃げ切れない」。実は多くの経営者が気づいていることですが、社内ではなかなか口にしづらいテーマです。当社では、支援の場で経営者にストレートに伝えることを大切にしています。何を言うかと同じくらい、誰が言うかも重要です。社内の人が言いにくいことは、外部の立場から他社の事例とあわせて伝える。それがコンサルタントの役割の一つだと考えています。
縮小市場で業績を伸ばすには、既存店の活性化に加えて出店と採用に踏み込むことが欠かせません。出店は「人ありき」で考え、社長自身がビジョンを語り、社員に給与を払えるビジネスモデルを整える。そのうえで、人材紹介会社やヘッドハンターを味方につけ、優秀な人材を適正な価格で迎える。この順番で考えることが、成長の近道です。
A. 今の市場環境では、物件より先に人を探すことをおすすめします。力のある人材がいてこそ新しい店舗は勝てるため、「その人が勝てる箱を出す」という順番で計画を立てるのが現実的です。
A. 紹介が来ない理由は、地域よりも自社の魅力が紹介会社に伝わっていないことが多いです。採りたい人材の給与・役職・年齢を具体化し、社長自ら担当者と会って会社のビジョンを伝えましょう。採用が決まったときのお礼や、次に紹介してほしい人材像のフィードバックも効果的です。
A. 既存社員を大切にする気持ちは重要です。そのうえで、まず今いる社員にもきちんと給与を払えるよう、粗利率や直間比率などビジネスモデルを見直すことが先決です。会社全体の稼ぐ力を高めることで、新旧どちらの社員にも報いる余地が生まれます。
ピュアグロースでは、住宅会社・工務店の出店計画や採用戦略、ビジネスモデルの見直しまで、経営者様と一緒に考え、実行まで伴走しています。全国の成長企業の事例を知りたい方も、お気軽にお問い合わせください。