4号特例縮小後の工務店の実務対応|確認審査の長期化を前提にした着工・完工計画

2026.10.27 2026.10.27
4号特例縮小後の工務店の実務対応|確認審査の長期化を前提にした着工・完工計画 解説動画サムネイル

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「4号特例の縮小で、確認申請に時間がかかるようになった」
「受注残はあるのに、決算期内に完工が間に合わない」

2025年4月、建築基準法の改正によっていわゆる「4号特例」が縮小されました。木造2階建ての住宅などは、これまで省略されていた構造の審査が必要になり、確認申請の準備と審査にかかる期間が長くなっています。

この変化は、設計の手間が増えるだけの話ではありません。注文住宅の会社は「受注→着工→完工」で売上が立つため、着工までの期間が延びると、決算期内に計上できる売上がそのまま減るからです。本記事では、施行前の2024年12月に当社代表が解説した内容をもとに、改正のポイントと、施行後の今も有効な着工・完工計画の立て方を解説します。

※制度の内容は2026年10月時点の情報に基づきます。個別の物件の扱いは、所管の行政庁や指定確認検査機関にご確認ください。

4号特例の縮小とは何が変わったのか

4号特例とは、木造2階建てや平屋などの小規模な建物について、建築士が設計していれば確認申請で構造などの審査の一部を省略できる制度です。審査を簡略化することで、建築のプロセスを早める役割を果たしてきました。

見直しの背景には、省エネ性能を高めるための断熱材や太陽光パネルなどで建物が重くなっていることや、審査の省略により構造の安全性が建築士の倫理観に頼る形になっていたことがあります。2025年4月以降に着工する物件から、区分は次のように変わりました。

区分(2025年4月以降)確認申請での扱い
新2号建築物
(木造2階建て、
延べ200㎡超の木造平屋など)
審査の省略がなくなり、
構造・省エネ関係の図書の
提出と審査が必要
新3号建築物
(延べ200㎡以下の木造平屋)
引き続き一部の審査を省略

一般的な木造2階建ての注文住宅は、ほぼすべてが新2号建築物にあたります。あわせて、2025年4月からは原則すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられ、構造の基準(必要な壁量など)も見直されました。

住宅会社とお客様にとっての影響

お客様にとっては、建物の構造性能が客観的に審査されるため、安全性が担保されやすくなるというメリットがあります。一方で、住宅会社とお客様の双方にとって次の3つの負担が生じます。

1. 設計・申請のコストが増える

確認申請のための図面や計算書の作成、審査への対応に手間がかかります。業務が増えるのは設計だけではありません。申請書類の作成、省エネ関連の施工、検査や施工管理、現場写真の整理など、さまざまな職種で1棟あたりの作業時間が増えると当社では見ています。材料費や工事費のように目に見えるコストではないため、価格に転嫁しにくい点も悩ましいところです。

2. 着工までの期間が長くなる

住宅会社にとって最も影響が大きいのがこの点です。法律上の確認審査の期間は、旧4号建築物の7日以内から、新2号建築物では35日以内となりました。実務上は、着工までが約1か月延びる前提で計画を立てる必要があります。

3. 大規模なリフォームに制約が出る

新2号建築物にあたる住宅では、主要な構造部分に手を入れる大規模な修繕・模様替えにも確認申請が必要になりました。接道の条件を満たさない物件などでは、これまでのような大規模リフォームが難しくなるケースがあります。新築だけでなく、リフォームや中古再販を手がける会社も影響を確認しておきましょう。

「12か月」ではなく「11か月」で売上を読む

注文住宅の会社は、受注計画と着工・完工計画の2つで経営を組み立てます。着工までが約1か月延びると、これまで「この月の受注なら期内に完工できる」と読めていた線が1か月前にずれます。

そこで当社が支援先にお伝えしているのが、「1年を11か月として売上を読む」という考え方です。完工できるのは実質11か月分の受注だという前提で、経費計画や利益計画を立て直します。受注が順調でも、完工が期をまたいでしまえば今期の売上にはなりません。受注残はあるのに資金繰りが苦しくなる、という事態を避けるための前提です。

4号特例縮小後の着工・完工計画の3つのポイント:1年を11か月で読む、着工・完工は前半勝負、契約から着工まで90日を目安にする

着工・完工は「前半勝負」で組む

多くの住宅会社は、決算期の後半に着工・完工が集中しがちです。審査期間が延びた今、後半に寄せた計画は、少しの遅れで完工が翌期にずれ込むリスクを抱えます。

大切なのは、期の前半に着工・完工をしっかり入れておくことです。受注を前倒しするという意味ではなく、着工と完工の山を前半に作るという意味です。前半で売上の土台をつくっておけば、後半に多少の遅れが出ても決算への影響を抑えられます。

また、期末に向けて着工を詰め込むと、次の期のスタート時点の受注残が薄くなります。着工を進める時期にも受注は止めず、翌期に着工する受注残を積んでおくことが、翌期以降の経営の安定につながります。

契約から着工までの日数を短くする

審査期間が延びた分を吸収するには、自社でコントロールできる「契約から着工まで」の期間を短くするしかありません。当社では契約から着工まで90日程度を一つの目安としています。これが120日、150日とかかっている会社は、審査期間が加わることでさらに着工が遅れてしまいます。

見直すポイント具体的な内容
契約時の基準プランや仕様が
どこまで固まっていれば
契約とするかを決める
打ち合わせ契約後の打ち合わせの
回数と内容を標準化する
申請準備構造・省エネの図書を
早い段階から並行して進める
工程の管理「遅れそう」を前提にせず、
着工・完工の予定日から
逆算して動く

審査期間が延びたことを理由に、現場から「2〜3か月は遅れる」という声が上がることもあります。しかし、その多くは審査そのものではなく、申請までの準備の遅れが原因です。延びるのは審査の約1か月分と社内で共有し、それ以上ずらさない意識をそろえることが大切です。着工遅れをなくす業務の仕組みについては、着工遅れをなくす業務マニュアルの中身もあわせてご覧ください。

増えた業務は「分ける」ことで吸収する

1棟あたりの業務が増えるなかで、これまでと同じ体制のままでは残業が増えるか、受注できる棟数が減ってしまいます。売れる営業が契約までの業務に集中できるよう、契約後の仕様の打ち合わせや金融機関とのやり取り、申請書類の作成などを別の担当に切り出すのも一つの方法です。

ただし、設計やインテリアコーディネートを最初から専任で分けている会社は、関わる人数が多い分、営業1人あたりにより多くの棟数が求められます。自社の体制に合わせて、営業でなければできない仕事と、それ以外の仕事を切り分けることが生産性向上の出発点です。

まとめ

  • 4号特例の縮小で、木造2階建ての住宅は構造・省エネの審査が必要になり、着工までが約1か月延びる
  • 1年を11か月として売上を読み、経費・利益計画を立てる
  • 着工・完工は期の前半に山をつくり、期末にも受注残を積んでおく
  • 契約から着工までは90日程度を目安に、契約基準と打ち合わせを標準化する
  • 増えた業務は分業や切り分けで吸収し、営業を契約業務に集中させる

よくある質問

Q. 4号特例の縮小で、平屋も審査が必要になりましたか?

A. 延べ面積200㎡以下の木造平屋は「新3号建築物」として、引き続き一部の審査が省略されます。200㎡を超える木造平屋や木造2階建ては「新2号建築物」となり、構造・省エネ関係の図書の提出と審査が必要です。個別の物件は所管の行政庁や確認検査機関にご確認ください。

Q. 着工はどのくらい遅れる前提で計画すればよいですか?

A. 確認審査の期間は法律上7日以内から35日以内となったため、約1か月延びる前提で計画するのが現実的です。それ以上の遅れは申請準備の遅れが原因であることが多いため、社内の業務フローを見直しましょう。

Q. 決算への影響を抑えるには何をすればよいですか?

A. 1年を11か月として売上を読み、着工・完工の山を期の前半に作ることです。あわせて契約から着工までの日数を90日程度に短縮し、期末にも翌期の受注残を積んでおくと、資金繰りと業績が安定します。

着工・完工計画の見直しはピュアグロースへご相談ください

ピュアグロースでは、契約から着工までの業務フローの見直しや、受注・着工・完工計画の立て方、分業体制の構築まで、住宅会社・工務店の業績向上を支援しています。

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