その吹き抜けは必要か|企画・建売プランの見直しで明るさとコストダウンを両立した事例

2026.10.27 2026.10.27
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「なんとなく人気だから、企画プランに吹き抜けを入れている」
「建売のプランを使い回しているが、資材高で原価が合わなくなってきた」

企画住宅や建売住宅のように、同じ基本プランを何棟にも使う会社にとって、プランの小さな無駄は棟数の分だけ積み重なります。逆にいえば、1つのプランを見直すだけで、商品の魅力と利益の両方を改善できるということです。本記事では、元住友林業で設計と営業の両方を経験した当社コンサルタントが支援先で行ったプラン見直しの実例をもとに、吹き抜けの目的の整理、窓や面積の無駄の削り方、家具配置の改善、費用をかけずに外観を整える考え方を解説します。

その吹き抜け、何のためにありますか?

吹き抜けをつける目的は、大きく分けて2つあります。

吹き抜けの目的は開放感と採光の2つ。目的があいまいなまま企画プランに入れると、コストだけがかかって効果のない吹き抜けになる
  • 開放感:純粋に縦方向の抜け感がほしい
  • 採光:隣家が近く、窓だけでは光が入りにくい敷地で、LDKにしっかり光を届ける

ところが、「吹き抜け」という言葉だけが独り歩きして、何のための吹き抜けなのかが曖昧になっているプランが少なくありません。特に企画プランや建売プランは、南道路・東道路・西道路・北道路と、いろいろな敷地に同じプランを当てはめて使います。敷地ごとに吹き抜けの意味が変わることを考えずに入れていると、コストだけがかかって効果のない吹き抜けが生まれます。

事例1:明るいLDKの上の吹き抜けをなくし、約65万円のコストダウン

ある会社の、南側道路の敷地を想定した企画プランです。吹き抜けの目的を伺うと「光を取り込むため」とのことでした。しかし南道路の敷地なら、道路側には建物が建たないため、もともと十分に明るくなります。プラン自体も、南側の一番良い位置にリビングがくるようにきれいにまとまっていました。東道路で使う場合も、道路側に幅の広い大きな窓が計画されていて、採光は十分でした。

このプランでは、採光のための吹き抜けは必要ないと判断し、思い切ってなくす提案をしました。吹き抜けがなくても、16畳の広々としたLDKを南側に取れ、明るさも変わりません。

あわせて、次のような無駄も見直しました。

  • 吹き抜けのために大きくしていた2階を縮小:収納などを充実させたまま、建物全体で約2.5坪小さくできた
  • 必要以上の窓を減らす:トイレや浴室の窓は「掃除や手入れが大変なので不要」というお客様が今は多い。過剰な窓を整理する
  • 室内建具の無駄をなくす:使わない扉などを見直す
  • 外観のボリュームを整える:手前を平屋のボリュームにして、建物自体の見た目も良くする

試算すると、この見直しで約65万円のコストダウンになりました。明るさを保ったまま、外観も良くなり、原価も下がる。過剰な大きさにお金をかけるのではなく、コスパよくつくるという考え方の好例です。

事例2:北側にきてしまう吹き抜けを南側へ。明るさを上げて約30万円減

2つ目は、建売住宅を多く手がける会社の、北側道路の敷地向けのプランです。この吹き抜けの目的は、実際の明るさの確保に加えて、建築基準法の採光計算への対応でした。隣地との距離などで採光計算が厳しくなる場合、吹き抜けがあると申請上の調整がしやすくなります。

北側道路の敷地では、吹き抜けは南東の角にくるので問題ありません。しかしこの会社では、同じプランを東道路・西道路の敷地にも使っていました。すると、向きを変えた結果、吹き抜けが北側にきてしまうのです。法律上の採光計算はそれでも満たせますが、せっかく吹き抜けをつくるなら、長く住むお客様にとっては明るい方が良いはずです。

そこで外形はまったく変えずに間取りを組み替え、ダイニングテーブルの上、南側の角に約3.7畳の大きめの吹き抜けを設けました。こうすれば、北道路・東道路・西道路のどの敷地で使っても、吹き抜けが常に南側にきます。窓まわりの無駄も見直した結果、トータルで約30万円のコストダウンにもつながりました。年間で多くの棟数を販売する会社にとって、1棟あたりの差は大きな利益の差になります。

※コストダウンの金額は、動画内で紹介された支援先での試算です。仕様や地域、取引条件によって変わります。

南側なら必ず明るい、とは限らない

事例1では南側の吹き抜けをなくし、事例2では吹き抜けを南側に移しました。一見逆に見えますが、判断の基準は同じです。土地の価格が高い地域では、建物を南側ぎりぎりまで寄せざるを得ないことが多く、南側に隣家が迫って光が入らないケースが出てきます。その敷地で、その位置の吹き抜けが本当に光を届けているか。道路の向きと隣地との関係から判断することが大切です。

事例3:同じ16畳でも、家具が置けるLDKに変える

事例2の会社からは、もう1つ相談がありました。完成した建物に対して、お客様から「ソファが置きづらい」という声が多く寄せられていたのです。

同じ16畳のLDKでも、見直し前は幅1m程度のテレビボードと1人掛けソファしか置けなかったが、見直し後は幅1.8mのテレビボードと3人掛けソファが置ける
見直し前見直し後
LDKは16畳超で
広さは十分
広さはほぼ同じ
(16畳弱)
テレビボードは
幅1m程度しか置けない
新築らしい
幅1.8mのテレビボード
ソファは1人掛け程度3人掛けソファ+
1人用のチェアも置ける
使い道のない
中途半端なスペース
ダイニングテーブルも
ゆったり置ける

LDKの広さはほぼ変わらず、コストも変わっていません。それでも、家具の配置まで考えて間取りを組み直すだけで、空間の広がり方はまったく違ってきます。賃貸なら小さなテレビボードでも済みますが、マイホームでは「せっかくなら」と大きな家具を置きたいお客様が多いものです。同じ費用をかけるなら、家具を含めて暮らせるプランにした方が満足度は高くなります。

ほかにも、ベッドを置くとウォークインクローゼットに入れない、といった家具のイメージが不足しているプランは少なくありません。

なぜ家具が置けないプランが生まれるのか

当社コンサルタントは、その原因を「設計担当者のもとに、住んだ後のお客様の声が届きにくいこと」だと見ています。設計担当者は家が建てば仕事が一区切りになりますが、入居後のお客様と長く話すのは営業担当者です。住み心地の不満が設計にフィードバックされない限り、同じ問題が繰り返されます。設計と営業の両方を経験し、失敗も含めてお客様の声を受けてきたからこそ、プランニングのときに真っ先に家具の配置を考えるようになった、と話しています。

自社でも、営業担当者が聞いた入居後の声を、設計担当者に共有する場を設けてみてください。

外観は「お金をかけずに」かっこよくする

外観にこだわった企画プランで、「かっこいいが、標準の外観との差額にお客様が納得しにくい」という現場の声が上がっていた会社もありました。アクセントのために一部の外壁を厚くして色を変える、といった手法を多用していたため、コストがかさんでいたのです。

かっこ悪い家を望むお客様はいません。だからこそ、お金をかけて外観を飾るのではなく、間取りのつくり方で外観を整えることを意識します。事例1のように建物のボリュームの組み方を変えるだけでも、外観は大きく変わります。

まとめ:使い回すプランほど、見直しの効果は大きい

  1. 吹き抜けは「開放感」か「採光」か、目的をはっきりさせる
  2. 道路の向きが変わると吹き抜けの意味も変わる。使う敷地すべてで確認する
  3. 不要な吹き抜け、過剰な窓や建具を見直し、面積と原価を下げる
  4. 家具の配置まで描いて、同じ広さでも暮らしやすいLDKにする
  5. 入居後のお客様の声を、設計担当者に届ける
  6. 外観はお金ではなく、ボリュームの組み方で整える

選ばれるプランの条件やプランを描ける人材の育て方は、選ばれるプランの条件とはで解説しています。

よくある質問

Q. 吹き抜けは必要ですか?

A. 目的次第です。開放感がほしい場合や、隣家が近くて窓だけでは光が入りにくい敷地では有効です。一方、南道路の敷地などもともと十分に明るい場合は、吹き抜けをなくして面積とコストを抑えた方が、お客様にとって良い選択になることもあります。

Q. 企画プランや建売プランの見直しで、どのくらいコストが下がりますか?

A. プランによりますが、動画で紹介した事例では、吹き抜けの見直しと面積の縮小で約65万円、吹き抜けの位置変更と窓まわりの整理で約30万円のコストダウンになりました。同じプランを何棟にも使う会社ほど、効果は大きくなります。

Q. 「家具が置きにくい」という声を減らすにはどうすればよいですか?

A. プランを描く段階で、テレビボードやソファ、ダイニングテーブル、ベッドなどの家具を実寸で配置して確認することです。あわせて、営業担当者が聞いた入居後の声を設計担当者に共有する仕組みをつくりましょう。

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ピュアグロースでは、設計と営業の両方を経験した実務家コンサルタントが、企画プランや建売プランの見直し、プラン研修、商品づくりまで支援しています。自社のプランに改善の余地があるか知りたい方は、お気軽にご相談ください。

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