「YouTubeを始めたいが、今からでは遅いのではないか」
「地域密着の工務店が全国に向けて発信しても、受注につながるのか」
住宅会社のYouTube活用は、今や珍しいものではなくなりました。本記事では、住宅業界のYouTubeの先駆けとして知られる静岡県の平松建築の社長と当社代表の対談(2026年4月公開)から、チャンネルを伸ばした転機、地域密着の会社にとってのYouTubeの使い方、採用や組織への効果を解説します。工務店がこれからYouTubeに取り組むかどうかを判断する材料としてお役立てください。
平松建築の社長は大工の出身です。大工として築30〜40年の家の解体や修繕に数多く携わる中で、住まい手から「ここをこうしておけばよかった」「もっと暖かくしておけばよかった」「耐震を強くしておけばよかった」という後悔の声をずっと聞いてきました。それなら、30年、40年、50年後に後悔のない家を最初からつくれば喜ばれるはず。これが独立のきっかけでした。
同社の家づくりの特徴は、建物にかかるコストを総合的に圧縮することです。初期費用、光熱費、メンテナンス費用、固定資産税、太陽光の収支、補助金や税制優遇の活用、そして資産価値の目減り。どこか1つだけを良くしようとすると別のところが悪くなるため、すべてを踏まえて最もバランスの良い家を目指しています。金利や建築費が上がる今、こうしたコストバランスはお客様からますます求められています。
YouTubeを始めたのは2016年。「話すことは1回で終わるが、動画なら1回つくれば見てもらえた分だけ話したことになる」という発想からでした。ただ、最初の数年は登録者数3,000人ほどにとどまっていました。それでも、一度も会ったことのないお客様から「平松建築さんにお願いしたい」と依頼が来ることがあり、YouTubeの可能性は感じていたといいます。
転機は、事業を大きく成長させると決めたときでした。大工、設計、施工、経営、マーケティング、ファイナンシャルプランニングまで一通り話せる自分なら、「注文住宅のすべてが分かるチャンネル」で日本一を取れるのではないか。そう考えてコンセプトを改め、準備を整えたうえで2022年12月から毎日投稿に切り替えました。

毎日投稿に切り替えて間もなく、世間で話題になっていた事件と時期が重なった防犯対策の動画が大きく再生され、それをきっかけにチャンネル全体の再生数の底上げが起きました。運の要素もありますが、投稿を続けていたからこそ巡ってきたチャンスです。
社長はいまも自身の時間の20〜30%ほどをYouTubeに充てています。撮影はテーマだけ決めて、あとはアドリブで話すスタイルです。AIで台本をつくることもできますが、台本に頼りすぎると面白くなくなるといいます。始めた当初は1本撮るのにも苦労しましたが、慣れれば25分ほど話せば1本撮れるようになりました。ただし、「話しているだけで伸びる時代ではなくなってきた」とも感じており、現場のロケ撮影なども増やしています。
「1つの県や市だけで営業している会社が全国に再生されても意味がないのでは」という疑問はよく聞かれます。確かに、地域だけで家を建てるなら全国へのリーチは必須ではありません。その場合は使い方を変えるのがポイントです。
| 全国展開を目指す場合 | 地域密着の場合 |
|---|---|
| 再生数・登録者数を伸ばし、 広く認知を取る | 自社の良さを伝える動画を 営業の流れに組み込む |
| 新規の問い合わせの 入口として使う | 来場前に見てもらい、 理解とファン化を進める |
地域密着型の使い方なら、チャンネル運営の負担も軽くなります。実際に平松建築では、対談時点で地元・静岡エリアの受注の8〜9割がYouTube経由で、広告費もほとんどかけずに済んでいるといいます。動画を見尽くしてから相談に来るお客様も多く、説明しようとすると「動画で見たので大丈夫です」と言われるほどです。
一方で、社長が一番伝えたい「建物の価値が残る家づくり」というテーマは、地味なため再生数が伸びにくいとも話します。伝えたいことと、見られるテーマとのバランスを取ることも、運営の難しさの一つです。
YouTubeの効果は集客だけではありません。もともと良いものをつくり、お客様の笑顔を本気で考えるメンバーがいたところに、同じ考えを一貫して発信し続けたことで、動画を見て共感した人が入社してくるようになりました。売ることではなく良い家をつくることを目的とする社員が増え、ミスマッチも少なくなっています。それが現場の熱量や家づくりのエネルギーにもつながっています。
「今から始めても遅いのでは」という問いに対して、社長は「同じスピードで伸ばすのは難しい。ただ、自分が本格的に始めたときもすでに10万人登録の会社があり、もっと早く始めればよかったと思った」と答えます。家の価格が上がり続けるなら今建てた方がいいのと同じで、YouTubeも今始めた方がいいという考えです。
広告や出店は、資本の大きい会社が有利な戦いです。その中でSNSは、資本力の勝負から外れて戦える数少ない手段です。良い家をつくろうというこだわりや、社員の熱量を持っている会社ほど、YouTubeは向いています。1万回再生されるというのは、1万人にその思いが届くということです。
A. あります。全国的な再生数を追う必要はなく、自社の良さや家づくりの考え方を伝える動画を営業の流れに組み込み、来場前に見てもらう使い方が有効です。お客様の理解が深まった状態で商談に入れるため、説明の手間も減ります。
A. 先行する会社と同じスピードで伸ばすのは難しくなっていますが、始めるのが遅れるほど差は広がります。広告や出店のように資本力に左右されにくい手段なので、伝えたいこだわりや熱量がある会社ほど早く始める価値があります。
A. 今回の事例では、社長が自身の時間の2〜3割を充てています。撮影はテーマを決めてアドリブで話すスタイルで、慣れれば1本あたりの撮影時間は短くなります。続けることが前提になるため、無理のない体制を最初に考えておくことが大切です。
ピュアグロースでは、YouTubeやInstagramを含めたSNS活用から、広告運用、ホームページの改善まで、住宅会社の集客全体を支援しています。発信を始めたい、続けているが成果につながらない、という方はお気軽にご相談ください。