「合同説明会に出展したのに、ブースに学生がほとんど座らなかった」
「新卒採用に取り組みたいが、いつ・どの説明会に出ればいいか分からない」
住宅業界の新卒採用は年々難しくなっています。就職活動は前倒しが進み、大学2年生からエントリーする学生もいます。本記事では、上場企業の人事として年間200名以上の採用に携わってきた当社の採用コンサルタントの解説をもとに、合同企業説明会(合説)で新卒の母集団をつくるための媒体の選び方、採用までの数字の目安、事前準備と当日のポイントを紹介します。
※本記事は2026年4月時点の解説に基づきます。説明会の開催状況や媒体のルールは年度によって変わるため、出展前に必ず最新情報を確認してください。
2026年4月中旬の時点で「27卒の採用をどうしよう」と相談に来る会社は、すでにかなり厳しい状況です。就職活動の前倒しにより、初めて学生と出会ってから入社まで2年近くかかることもあります。これから新卒採用を考えるなら、28卒をどう採るかを軸に動く必要があります。
新卒採用は費用も手間もかかります。高卒採用に振り切る会社や、新卒採用をしないと決める会社もあります。まずは「これくらいやらなければ採れない」という全体像を知ったうえで、本気で取り組むのか、戦略を絞るのか、今年は見送るのかを判断しましょう。
合同説明会にはさまざまな種類があり、集まる学生の層が違います。自社が採りたい人材に合わせて選ぶことが大切です。
| 採りたい人材 | 向いている説明会 |
|---|---|
| 営業職だけ 採りたい | 体育会系学生向けの 営業職限定の説明会 |
| 早くから動く 優秀層 | 早期の就活生が集まる 都市部の説明会 |
| 毎年継続して 採りたい | 大手就職サイトの 大規模な説明会 |
| 建築系の 学生 | 資格スクール主催の 建築学生向け説明会 |
※費用は動画内の解説に基づく目安です。
工務店にとって注意したいのが、建築学生向けの合同説明会の縮小です。これまではエリアごとに年1回程度開催されていましたが、28卒向けでは開催が大幅に減る見込みで、今後はなくなっていく可能性があります。理系学生向けの説明会も減っています。集客ができないために減っているのであり、その学生たちは文系も含めた一般の説明会に参加するようになります。
地方の会社は、地元の小規模な説明会ではなく、最も近い大都市の大規模な説明会に出展するのがおすすめです。たとえば三重県の会社なら、地元よりも名古屋の説明会に出る。札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡などでは、必ず大きな説明会が開催されています。採りたいのは「そのエリアで開かれる説明会に来る学生」ではなく、「自社で活躍できる学生」です。出展費用は少し高く、競合も増えますが、そのぶん集客も多くなります。
出展の申し込み方法は、媒体と直接契約するか、代理店を通すかの2通りです。直販は値引きの幅が小さく、良い代理店を通すと直販より安くなるケースがあります。また、代理店は全国の開催状況を見ているため、「同じ日に近くで大規模な説明会がある」といった集客上の注意点も教えてもらいやすくなります。ただし、利益を大きく乗せる代理店もあるため、見積もりの相場感を持っておくことが大切です。
合同説明会から採用までのKPIは、着座数、インターンシップや会社説明会への参加数、選考への参加数、内定承諾数の4つで管理します。

目安として、ブースに座った学生のうち、インターンシップや会社説明会に参加してくれるのは2〜4割です。2割台なら改善の余地があります。そこから選考に進むのは半分ほど。選考に進んだ10人から、ようやく1人が内定を承諾してくれるイメージです。つまり、着座100人に対して入社1人がひとつのベンチマークです。
もちろん、50〜60人の着座から1〜2人を採用している会社もあります。まずは自社の過去の数字を分析し、「うちは何人の着座で1人採れているのか」をつかんだうえで、目標の着座数や途中の指標を逆算しましょう。
注意したいのは、代理店などは着座数だけで説明会の良し悪しを判断しがちなことです。目的は学生を座らせることではなく、採用することです。着座数と、その後の歩留まりの両方を見てください。
学生が自社のブースに座ってくれるかどうかは、当日の呼び込みで決まるものではありません。学生は事前に、どのブースに行くかをある程度決めて来ています。最初の時間帯にブースが埋まらないのは、多くの学生の行き先がすでに決まっているからです。だからこそ、事前の告知が勝負です。
通常の2倍の広さのダブルブースに出展しても、集客が2倍になるわけではありません。着座数を左右するのは会社の知名度や事前の告知です。競合がダブルブースを出していても気にせず、シングルブースで十分です。なお、ブースの配置はランダムとされており、意図的に競合の隣に置かれることはありません。
一方で、営業職と技術職で別々にブースを出し、学生の志望に合わせて座る場所を分ける会社もあります。1社の中で学生の動線をつくる作戦です。
大規模な説明会では、以前のように「ブースを回るとプレゼントがもらえる」といったスタンプラリー形式の特典が禁止になり、見たい会社だけを回って帰る学生が増えています。そうした学生に立ち寄ってもらうには、当日の工夫も欠かせません。

かつては年間休日や初任給などの条件をブースにたくさん貼る手法が流行りましたが、今は逆効果です。何を伝えたいのか分からず、学生が座らなくなりました。自社が一番伝えたいメッセージを一つ、大きく出しましょう。社名よりも住宅ブランド名のほうが知られている会社なら、ブランド名を前面に出すのも賢いやり方です。
社長が出られるなら、ぜひブースに立ってください。「社長が登壇します」といったのぼりを立てるのも効果的です。初めて会う会社の社長から直接話を聞き、名刺をもらう体験は、学生にとって特別なものです。最終面接が社長なら「また会いに来てね」というメッセージも響きます。新卒採用に本気で向き合っていることが伝わります。
会社説明の資料は、出展する媒体や時期に合わせて必ずつくり変えます。体育会系の学生が多い説明会なら「成果を出した分だけ評価される」「若手から裁量がある」といったメッセージが響きます。大規模な説明会では、まだやりたいことが決まっていない学生が多いため、職種の選択肢が多く、挑戦しながら自分に合う仕事を選べることをアピールすると効果的です。
着座から次のステップで最も離脱が多いのが、エントリーです。学生は当日たくさんの会社を見るため、後からどの会社だったか覚えていません。かといって、その場で大学名や電話番号、メールアドレスを入力してもらうと、面倒になって離脱してしまいます。LINEのQRコードを一つ用意し、そこからエントリーしてもらうのがおすすめです。あとは人事担当者がLINEでやり取りし、インターンシップや説明会へ案内します。
新卒採用の難易度は毎年上がっています。現場からは「人事はどんな新人を採ってきたんだ」という声が出ることもありますが、これだけの準備を重ねてようやく1人が採れるのが今の新卒採用です。過去のやり方をそのまま続けるのではなく、時代に合わせて見直していきましょう。中途採用の進め方は「優秀な人材を口説ける社長の共通点とハイパフォーマー採用術」、内定承諾率を上げる面接は「住宅会社の内定承諾率を上げる面接術」もご覧ください。
A. 目安は、合同説明会でブースに座ってくれた学生100人で1人の入社です。着座した学生の2〜4割がインターンシップや説明会に参加し、その半分が選考に進み、選考の10人から1人が内定を承諾するイメージです。自社の数字を分析して、必要な着座数を逆算しましょう。
A. 最も近い大都市で開かれる大規模な説明会への出展がおすすめです。出展費用は高くなりますが、そのぶん多くの学生が集まります。建築学生向けの説明会は縮小傾向にあるため、一般の説明会も視野に入れてください。
A. ダブルブースにしても集客が倍になるわけではありません。学生の多くは事前に行くブースを決めているため、就職サイトでの露出やSNSでの告知など、事前準備に力を入れるほうが効果的です。
ピュアグロースでは、合同説明会の選び方や見積もりの確認、告知や当日の運営、選考までの流れづくりなど、採用活動をゼロから一緒に構築しています。お気軽にご相談ください。