「展示場を新しくしたのに、売れるのは一部のベテラン営業だけ」
「店舗を増やすたびに、店ごとに売り方がバラバラになっていく」
展示場は、建てた時点では「箱」にすぎません。売れる展示場かどうかは、どんな建物をどう組み合わせ、どの営業が案内しても同じ価値を伝えられるかで決まります。本記事では、2025年6月に当社の経営者向け勉強会「ピュアグロースクラブ」で全国から222名が参加した、愛媛県のトップビルダー・アレスホーム様の視察ツアーの内容をもとに、当社が「2025年時点のパーク型展示場の完成形」と位置づける展示場の構成と、新人でも売れる店舗にするための運用のポイントを解説します。
アレスホーム様は愛媛県で県内トップとなったビルダーで、当社が創業期から支援してきた会社です。県外へ出店するよりも「県内で必ず1番を取る」ことを掲げ、毎年1店舗ずつ出店してきました。視察では、総合住宅展示場の店舗と、2025年5月にリニューアルオープンした今治市のロードサイド店舗の2か所を見学しています。
どちらの店舗にも、真冬の寒さを再現した単独棟の体感施設があり、断熱性能による温度差を身体で感じられるようになっています。代表は「性能の体感は、大手ハウスメーカーに対抗するのに十分な力がある」と話しており、体感をきっかけに決めていただくケースも多いとのことでした。
今治の店舗は、事務所棟(ショールーム)、体感施設、2棟のモデルハウスを1つの敷地に並べた「パーク型」です。当社が今、住宅会社に提案している展示場の基本形がこの構成です。

断熱や耐震の性能は、カタログの数字だけでは伝わりません。体感ブースで「寒さ」と「暖かさ」の差を身体で感じてもらうことで、性能の価値に納得していただけます。ポイントは、構造や性能のブースを「自社の仕様の説明」で終わらせず、競合を想定して比較の軸をつくっておくことです。視察に参加した経営者からも、「競合を前提にストーリーを組んでいるので、自社の性能の価値を伝えやすい」という声が上がっていました。
1棟目は、自社の主力商品に近い2階建ての標準的なモデルハウスです。お客様が「このまま建てたい」と思える、現実的な広さと価格帯で建てます。オプションを付けた部分には「月々いくら」のポップを貼り、標準との違いを月々の支払いで分かるようにしていました。
2棟目は、オプションを盛り込んだ平屋のモデルハウスです。大手ハウスメーカーを意識したデザインと仕様で、「この会社は標準の商品だけでなく、こういう家も得意なんだ」と伝える役割を持たせています。平屋を検討する人が多いこともあり、2階建てと平屋を見比べたいお客様も集まります。
2棟を並べることで、集客できる客層の幅が広がり、受注までの動線もつくりやすくなる。これが従来のロードサイド店舗からパワーアップさせたポイントです。お客様にとっても、見比べられることは大きな価値になります。
| 建物 | 役割 |
|---|---|
| 事務所棟 (ショールーム) | 初回接客の拠点。 全店舗で同じ案内をする |
| 体感ブース | 性能の差を体感し、 競合との比較で納得してもらう |
| 標準モデル | 主力商品に近い2階建て。 「このまま建てたい」と思わせる |
| プレミアムモデル | オプションを盛り込んだ平屋。 大手対策と客層の拡大を担う |
アレスホーム様の最大の特徴は、建物そのものよりも、どの店舗でもショールームでほぼ同じ案内をしていることです。新しい店舗を出すときも、同じショールームと同じ案内をそのまま展開しています。
実はこれが、多くの会社にとって一番難しいところです。経営者は新しい店舗を出すたびに、前の店舗と少し違うものをつくりたくなります。しかし、店舗ごとに変えるとオペレーションが崩れ、店舗によって売り方や動線が少しずつ違ってしまいます。もちろん変えるべきところもありますが、新人や未経験の社員が売れるようにするには、できるだけ同じ売り方・同じ動線にそろえることが欠かせません。

視察に参加したある経営者は「事務所とモデルと体感施設、あの組み合わせなら新人でも売れる」と話していました。別の経営者は「自社はふわっとつくっていた。誰でもできる状態にするには、あそこまで作り込まないといけない」と、すぐに自社へ反映すると決めていました。
体感ブースをつくっても、何も考えずに順番どおりに案内しているだけでは契約にはつながりません。体感施設は、お客様に納得していただくためにつくるものです。大事なのは、お客様の表情を見ながら、どこでどの説明を入れるかを調整できるかです。
代表自身も講演で「特別なことはしていない。責任者がやるかやらないかだけ」と話しています。アプローチブックも、ただ読み上げるだけの営業と、課題を見つけて改善させる営業とでは結果がまったく違います。仕組みを整えるだけでなく、最後までやり切らせる徹底力が成果を分けます。
若手のトップ営業が実践していたのは、初回接客を長く話しすぎないことです。3時間話しても、お客様はほとんど覚えていません。重要な点に絞って伝え、LINEを交換して「今日の内容は他社の話を聞くうちに忘れてしまうと思うので、1日1つずつ内容をお送りしますね」と伝えます。その後、耐震・断熱・基礎などのテーマを1日1つずつ送り、お客様の反応を見ながら次の商談の内容を考えていきます。
他社の展示場を見学したら、すべてを真似しようとしないことが大切です。自社と売りが違えば、地域性も違います。全部を取り入れようとすると、自社がこれまで大事にしてきた強みが抜け落ちてしまいます。
また、視察には社長1人ではなく、店長や設計、工務の担当者も一緒に連れて行くのがおすすめです。経営者だけが見て帰っても、社内では「そうなのね」で終わりがちです。複数人で行き、帰ってから全体会議で報告会を開けば、現場の社員が「これをやりたい」と前向きになり、社内への落とし込みが早くなります。受け入れる側にとっても、自社の取り組みが多くの会社に見られることは、社員が自社の商品や仕事に自信を持つきっかけになります。
A. 事務所棟(ショールーム)、体感施設、複数のモデルハウスを1つの敷地にまとめたロードサイド型の展示場です。来場から初回接客、体感、モデルハウス見学までを1か所で完結でき、案内の動線を設計しやすいのが特長です。
A. 1棟でも営業はできますが、「そのまま建てたくなる標準モデル」と「ここまでできるプレミアムモデル」を並べると、集客できる客層が広がり、お客様も見比べながら検討できます。2階建てと平屋を組み合わせるのも有効です。
A. 地域に合わせて変えるべき部分はありますが、案内の流れや動線はできるだけそろえることをおすすめします。店舗ごとに変えるとオペレーションが崩れやすく、新人や未経験の社員が成果を出しにくくなります。
ピュアグロースでは、展示場の企画から体感施設の案内の型づくり、営業の仕組み化まで支援しています。経営者向け勉強会「ピュアグロースクラブ」では、成長企業の視察を通じて最新の事例を学べます。お気軽にご相談ください。