縮小市場で選ばれる住宅商品のつくり方|カワムラホーム札幌の「総額で一番安い」見せ方と新規事業

2026.10.27 2026.10.27
縮小市場で選ばれる住宅商品のつくり方|カワムラホーム札幌の「総額で一番安い」見せ方と新規事業 解説動画サムネイル

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「大手より安く、ローコストより高い。自社の家の価格をどう説明すればいいか分からない」
「性能には自信があるのに、商談で価値が伝わらない」

新築市場が縮小し、商品の差が見えにくくなるなかで、多くの住宅会社が抱える悩みです。北海道・旭川に本社を置くカワムラホーム様は、競合がひしめく札幌に進出し、出店初年度で約180棟という結果を出しました。

本記事では、全国の住宅会社の経営者が参加した札幌の店舗・モデルハウス視察の内容をもとに、縮小市場でも選ばれる商品のつくり方と見せ方、少人数で受注を伸ばす店舗運営、中古住宅×リノベーション事業を解説します。札幌進出の意思決定や、社長が仕事の半分を採用に使う経営については、カワムラホームが札幌進出初年度で約180棟を実現した理由で詳しく紹介しています。

3名体制の店舗が1年で100棟超を受注

札幌で最初に出店した総合展示場の店舗は、営業3名でのスタートでした。中途採用で入社した2名と、旭川で店長を務めていた1名です。この店舗は1年あまりで100棟を超える受注をあげました。続いて出店した店舗も、営業責任者と、その責任者が前職から連れてきた2名の計3名で、1年で約100棟を受注しています。

現在、札幌エリアの営業は20名以上に増え、デザイン住宅の新ブランドのモデルハウスもオープンしました。注文住宅だけで年間200棟前後の受注が見込めるところまで来ています。

店舗自体は決して広くありません。商談スペースが4〜5席ほどで、設計やインテリアコーディネーターの打ち合わせも同じ店舗で行うため、週末は満席になります。限られた場所と人数で受注を伸ばしてきたのが、次に紹介する商談の工夫です。

商談では「本物を机に出す」

札幌の営業責任者が徹底しているのが、商談のときに実物を必ず机の上に出すことです。性能を説明するときは構造体の実物を、デザインが好きなお客様には床材・手すり・階段材・タイルなどの標準仕様の現物を、オプションの話なら実際の建材やクロスを持ってきて、目の前で見てもらいます。

立ち上げ期は、見せられるモデルハウスが十分にありませんでした。だからこそ、使えるものは何でも使ってイメージしてもらう。トリプルガラスのサッシや断熱性能は、温度の体感比較も行います。最近需要が高まっている太陽光発電の説明も欠かしません。

価格は「35〜40年の総額」で一番安いと見せる

同社の企画住宅は、価格があらかじめ決まっています。動画内の説明では、建物価格2,200万円で断熱等級6、気密性能(C値)は平均0.3前後。大手と同等クラスの性能を、この価格で建てられることが強みです。

そのうえで、競合との比較は建てたときの価格ではなく、35〜40年住んだときの総額で見せます。

35〜40年の総額で比較する価格の見せ方:大手は本体価格が高く差額を取り戻せない、ローコストは光熱費とメンテナンス費がかかる、高性能の企画住宅は総額が最も安くなる
比較相手説明のポイント
大手ハウスメーカー光熱費は同程度だが、
本体価格が高いため、
35年以上住んでも差額を取り戻せない
ローコスト住宅断熱等級4〜5の会社が多く、
光熱費やメンテナンス費が
長期的に大きくかかる
自社の企画住宅最安ではないが性能が高く、
35〜40年で見ると
総額が最も安くなる

北海道では一条工務店と競合する場面も多くありますが、同じ性能でコストパフォーマンスが高いことを理解したお客様は契約に至るといいます。「最安でも最高額でもない」という立ち位置を、長期の総額という物差しで分かりやすく示しているのがポイントです。

新ブランドは「契約後に上がらない」ことを価値にする

札幌で新たに立ち上げたデザイン住宅のブランドは、世帯年収800万〜1,000万円ほどの層をペルソナに設定しています。「標準にプラスしてこれが欲しい」と言われがちな間取りやタイル、設備などのオプションを、あらかじめ標準仕様に盛り込んだのが特徴です。

契約後に金額が上がらない商品設計:よく選ばれるオプションを標準仕様に盛り込み、契約後の大幅な追加を減らしてお客様の安心につなげる

大手ハウスメーカーでは、契約後の打ち合わせで150万〜200万円ほど金額が上がるのが一般的だといわれます。最初から欲しいものが入っていれば、契約後の大幅な追加が少なく、お客様が安心して決められる。これが商品の価値になります。性能面でも断熱等級6、耐震等級3を許容応力度計算で確保するなど、後からオプションで足しがちな項目を標準にしています。

視察に参加した経営者からは「標準とオプションの範囲を表で分かりやすく見せておくべきだと改めて感じた」という声もありました。商品力は、仕様の良さだけでなく、お客様が比較・判断しやすい見せ方まで含めて決まります。

中古住宅×リノベーションで、新築以外の柱をつくる

同社は新築だけでなく、リフォーム事業でも北海道トップクラスの実績を持っています。旭川のOB顧客からのリフォームに加え、札幌で伸びているのが、中古マンションや中古戸建てを購入してリノベーションする一次取得者向けの専門店です。

  • 500万円以上の増改築を年間300件以上受注
  • 札幌市内4店舗と旭川1店舗で展開
  • 店舗にはモデルルーム、営業、物件の仕入れ担当が集まる
  • 1店舗あたりの年間売上は7億〜8億円規模

※動画内の解説に基づく概算です。

新築の受注環境が厳しくなるなか、同じ一次取得者を対象に、価格帯の異なる選択肢を用意しておくことは大きな強みになります。収益性の高い事業を新築と並行して育てていることも、縮小市場で伸び続けられる理由のひとつです。

商品力を支えるのは「未来を語って人を集める」経営

視察の最後に講演した同社社長は、「今の会社だから入る、という人はいない。こういう会社にしたい、こういう世の中にしたいという未来と覚悟がなければ、人は集まらない」と語りました。住宅は労働集約型の産業であり、商品をつくり、売り、建てるのはすべて人です。

なぜ今の事業をしているのか、どんな会社になりたいのか。その言葉と実態がずれると、入社した人はすぐに辞めてしまいます。経営理念や行動指針を言語化し、社長自らが語り続けることが、商品力と人材力の両方の土台になっています。

よくある質問

Q. 大手とローコストの間の価格帯は、どう説明すれば選ばれますか?

A. 建築時の価格ではなく、光熱費やメンテナンス費を含めた35〜40年の総額で比較するのが有効です。大手より本体価格が安く、ローコストより性能が高いことを、長期の総額という一つの物差しで示すと伝わりやすくなります。

Q. モデルハウスが少なくても受注を伸ばせますか?

A. 伸ばせます。カワムラホーム様の札幌の店舗では、構造体や床材、タイルなどの実物を商談の机に出して見てもらうことを徹底し、3名体制の店舗で1年に約100棟を受注しました。

Q. 新築以外にどんな事業を育てるべきですか?

A. 地域や自社の強みによりますが、一次取得者向けの中古住宅×リノベーションは、新築と同じ顧客層に別の選択肢を提案できる有力な候補です。OB顧客が多い会社はリフォーム事業も収益の柱になります。

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ピュアグロースでは、商品づくりや価格の見せ方、新エリアへの出店、中古リノベーションなどの新規事業まで、住宅会社の成長を実務で支援しています。経営者向け勉強会では、成長企業への視察ツアーも開催しています。

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