「住宅業界は逆風続き。この先、何を大切に経営すればいいのか」
「優秀な幹部が欲しいが、採れない・育たない・辞めてしまう」
市場の縮小や資材高騰が続くなか、こうした悩みを抱える住宅会社・工務店の経営者様は少なくありません。本記事では、大手ハウスメーカーとアイ工務店で社長を歴任し、現在はピュアグロースの社外取締役を務める経営者に、全国の経営者からよく寄せられる悩みをぶつけた対談をもとに、伸びる会社に共通する「人を育てる経営」の本質と、幹部・リーダーの育て方を解説します。
住宅業界は厳しいと言われますが、それは今に始まったことではなく、昔から同じでした。会社の経営資源には、人・物・金・情報・時間などがあります。そのなかで最も大切なのは人です。どんな逆風であっても、人が育てば会社は前に進む。これが講師の持論です。
人を育てるうえでの優先順位は明確です。まず社長自らが適切な経営をでき、人間力を高めること。その次が幹部・リーダーです。リーダーが強くなければ、部下もそれに流されてしまいます。

規模の小さな会社に、いきなり超一流の人材が来てくれることはまずありません。採用手法を工夫する以前に、会社の中身に一つ魅力的な要素をつくり、それを周りに伝えて、憧れた人が入ってくる流れをつくることが先です。会社が大きくなり、人も育ってくれば、本格的な採用ができるようになります。
小さな会社はお金がないので、お金をかけずに強みをつくることがポイントです。講師が大手電機メーカーの社内ベンチャーとして介護関連の会社をゼロから立ち上げたときは、知名度がまったくありませんでした。そこで掲げたのが「ナンバーワン宣言」。この分野で必ずお客様を満足させるナンバーワンになると宣言し、それに賛同する人が集まってきたといいます。「このエリアでこれをナンバーワンにする」など、テーマは何でも構いません。
大きく伸ばすことを目指していない会社でも同じです。地域で営業する以上、何か特徴をつくらなければ、いずれ淘汰されてしまいます。経営理念と自社の強みを決め、愚直にやり続けることが大切です。
経営理念やミッション・ビジョン・バリュー、行動指針は、最初からすべて完璧にそろえる必要はありません。講師が事業を立ち上げたときも、まずは「この業界の環境を変える」という高い志を掲げてスタートし、行動指針やミッション・ビジョン・バリューは事業を進めながら1〜2年後に整えました。最初に必要なのは、高い志です。
「現場が主体性や積極性を持ってくれない。幹部ですらそうだ」という悩みもよく聞きます。会社が小さいうちは、「俺についてこい」と社長が引っ張るのが中小企業の経営者のあるべき姿です。しかし規模が大きくなると、社長1人では面倒を見きれない限界が必ず来ます。そのとき必要になるのが、社長の分身をつくることです。
右腕・左腕に誰を選ぶか。多くの人は、売上や受注の数字が大きい人を「優秀」と言います。しかし講師はそうは考えません。優秀とは、部下に影響力を与えられる人。この人の言うことならきちんと守ろうと思わせる人間力を併せ持つ人です。頭が良くて成績がいいだけの人とは違います。
| 観点 | 分身にしたい人 |
|---|---|
| 成績 | 数字だけで選ばない |
| 影響力 | 「この人の言うことなら」と 部下が動く |
| 言行一致 | 言っていることと やっていることが同じ |
| 判断基準 | 理念と行動指針に沿って 判断できる |
経営で大切にすべき人としての基本は、昔から大きく変わりません。パナソニックの創業者と京セラの創業者の教えも、表現は違っても本質は同じです。お客様を騙さない、一人ひとりが経営者の意識を持つ。問題は、それを実践できるかどうかです。
上司を見て「いいことは言うけれど、やっていることは違う」と感じた経験は誰にでもあるでしょう。そうしたリーダーをつくらないために、人間力を高めて言っていることと行動が結びつく人を育てる必要があります。そして一番いけないのは、理念やミッション・ビジョン・バリューを決めておきながら、社長自身が実践しないことです。社長が実践しなければ、幹部も社員も「ああいうことをしていいのだ」と横道にそれ、やがて大きな問題を起こします。
大手と地場の会社で、働く人の思いは変わりません。仕事で成功し、給料を上げ、成長したい。違うのは、責任の大きさと立場だけです。だからこそ、会社の規模に関係なく、人を育てる経営は実践できます。
リーダー研修の具体的な中身についてはリーダー研修で幹部に何を教えるか、研修の進め方と上司の関わり方については幹部が育つ上司の関わり方で詳しく解説しています。
A. 採用手法の前に、会社の強みを一つつくって周りに伝えることが先です。「この分野でナンバーワンになる」と宣言し、それに共感する人が集まる流れをつくりましょう。強みづくりはお金をかけずにできます。
A. 営業成績の高さだけで選ばず、部下に影響力があり、言っていることと行動が一致している人を選びます。理念や行動指針に沿って判断できるかどうかも重要な基準です。
A. 最初は高い志を掲げることが大切で、行動指針やミッション・ビジョン・バリューは事業を進めながら整えていっても構いません。大切なのは、決めた理念を社長自身が実践し続けることです。
ピュアグロースでは、大手住宅会社の経営を担ってきた社外取締役によるリーダー研修をはじめ、幹部育成や理念浸透、組織づくりを支援しています。