「設計担当がプランを出しても、なかなか契約に結びつかない」
「プラン提出のたびに大きく作り直しになり、打ち合わせが長引く」
注文住宅の商談で、設計担当の動き方は契約率を大きく左右します。本記事では、元住友林業で設計部門の全国1位を経験した当社の設計コンサルタントが、ある住宅会社で設計業務を代行し13件中11件(約84.6%)を契約に導いた商談の進め方を解説します。特別なトークではなく、「敷地解析のヒアリング」「ラフプランを挟む」「検討の過程を見せる」という、どの会社でも取り入れられる基本の積み重ねです。
当社の設計コンサルタントは、全国の住宅会社でプラン研修を行っています。ただ、現場の第一線を離れると、お客様のニーズの変化を肌で感じにくくなります。そこで、ある1社に限って、ヒアリングからプラン提出までの設計業務をまるごと代行させていただくことになりました。
打ち合わせはすべてZoomによる完全リモートです。それでも、対応した13件のうち11件が契約。研修で伝えている内容が実際の商談でも効果が高いことを確かめながら、気づいた改善点を随時取り入れています。
全体の流れは次のとおりです。初回は営業担当が会社紹介と概算の資金計画までを行い、「設計とのヒアリングに進みましょう」と設計担当につなぎます。設計担当が登場するのは2回目からです。

| 回 | 内容 |
|---|---|
| 1回目 | 営業担当が会社紹介・ 概算の資金計画 |
| 2回目 | 設計担当がZoomで 敷地解析のヒアリング |
| (その間) | ラフプラン2案で 方向性をすり合わせる |
| 3回目 | CAD図面と資金計画を提示し、 進めるかどうかを確認 |
| 契約後 | 窓・コンセントなど 詳細の打ち合わせ |
2回目はZoomで30分〜1時間ほど、「ヒアリング」という名目でお客様と話します。ただし、いきなり要望を聞き出すのではありません。まず設計担当として敷地の読み解きをお客様に共有します。
たとえば「南側のマンションの影が気になるので、時間帯を考えるとこちらの角の方が日当たりは確実に良い」「裏手のお宅の窓の位置が気になるので、視線の調整が必要」といった話です。論点は次の3つに絞ります。

建て替えや住み替えのお客様は、実際にその土地に住んでいます。設計担当の見立てが合っているかどうかは、住んでいる人の方がよく知っています。「冬はこちらから朝日が入る」「この時期は南から気持ちの良い風が抜ける」といった実感をお客様に教えてもらうことが、このヒアリングの目的です。
土地をこれから買うお客様の場合も、やることは同じです。隣地が更地であっても、「将来ここに車を止めてこう建つはずだから、日当たりはこうなる」と未来を予測しながら、敷地の使い方の方向性を共有します。
契約後、コンセント1つを決めるにしても、お客様が「この設計担当は頼れる」と感じているかどうかで打ち合わせの進み方はまったく変わります。その信頼をつくるのが、最初の敷地解析です。営業担当だけがお客様に会い、設計担当は図面を描くだけという体制では、後の打ち合わせがやりにくくなります。
現場を見ていると、営業担当に言われるままプランを描いている設計担当が約8割。残りの2割は自分で敷地を考えているものの、ロープレをしないため伝え方が上手ではありません。考えているなら、それをお客様に伝えることまでが設計の仕事です。
敷地の方向性を共有したら、すぐにCADの図面を出したくなります。しかし、その間に必ずラフプラン(ゾーニング)を挟みます。図面といってもPowerPointで描いた手描きに近いもので構いません。
1つの敷地に対して計画の候補は2つ、3つと出てきます。設計担当が「これが良い」と思っても、お客様が同じように思うとは限りません。そこで基本的に2パターンを用意し、「日当たりを重視するならこの考え方、発想を変えると水回りの動線はこちらが使いやすい」と、どちらもフラットに説明して、お客様の価値観とすり合わせます。
2案は五分五分とは限らず、設計担当としては7対3、9対1で本命がある場合もあります。実際、契約に至った案の大半は本命の案でした。それでも、もう一方の案で決まったケースもあります。たとえば初回では聞けていなかった「実はこちら側のお隣さんにあまり良い印象を持っていない」といった事情が、ラフプランの場で初めて出てくるのです。
お客様が内心思っていることを言えないままCAD図面に進むと、後からプランががらりと変わってやり直しになります。本音はラフプランの段階でぶつけてもらう。これが手戻りを防ぎ、商談を早く進めるコツです。
3回目にCAD図面を提出し、同じタイミングで営業担当から改めて資金計画を提示します。営業担当は基本的に同席します。ラフプランの段階で建物の方向性には納得してもらっているため、3回目はプランの提案というより確認の場です。「今後はこの部分をこう打ち合わせていきましょう」「現状の資金計画はこうなります。本格的に進めますか」と確認し、ここで契約に至ります。
「打ち合わせは土日にしか入らない」という声をよく聞きます。しかし実際にやってみると、お客様の方から「平日の夜はどうですか」と言われることが多いのです。Zoomで1時間拘束されるのと、休日が1日つぶれるのとでは、お客様にとっての意味がまったく違います。土日でなければならないというのは住宅会社側の思い込みかもしれません。
打ち合わせの間隔は、長くても1週間、できれば5〜7日で進めます。「プランを出すのに1週間以上かかる」のが当たり前になっていないか、見直してみてください。
なぜこれほど決まるのか。強いて挙げるなら、ボツになったプランもお客様に見せることです。設計担当の多くは、落書きのような検討案をお客様に見せるのは失礼だと考えます。しかしお客様は、自分の家がどう考えられてきたのか、その過程も見たいのです。
実際、引き渡しのときにボツになったプランを大切に取っておき、「捨てられない」と話すお客様も少なくありません。検討の過程を共有することは、お客様の納得感と、設計担当への信頼につながります。
プランの描き方そのものや、20〜30代に響く間取りの考え方は選ばれるプランの条件とは|20〜30代に響く間取りの3つのチェックポイント、設計未経験の営業がプラン力を身につける方法は設計未経験の営業が3日で商談レベルにでも解説しています。
A. 成り立ちます。今回の事例はすべてZoomで行い、13件中11件が契約に至りました。敷地の地図や資料を画面で共有しながら話せば、対面と大きな差はありません。平日夜に1時間程度で行えるため、お客様の負担も小さくなります。
A. 基本は2案です。設計担当として本命があっても、もう一方の案もフラットに説明し、お客様の価値観とすり合わせます。比較することで、初回では出てこなかった本音や条件が見えてきます。
A. むしろ見せることをおすすめします。お客様は、自分の家がどのように考えられてきたのかを知りたいものです。ボツ案を含めた過程を共有すると、納得感が高まり、設計担当への信頼にもつながります。
ピュアグロースでは、大手ハウスメーカー出身の設計コンサルタントが、プラン研修や設計業務の仕組みづくり、営業と設計の役割分担の見直しまで支援しています。設計担当の提案力や商談の進め方に課題を感じている方は、お気軽にご相談ください。