日本の住宅会社は海外で勝てるか|アメリカの住宅市場との違いと「施工力の輸出」という可能性

2026.10.27 2026.10.27
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「国内の新築市場が縮小するなか、将来は海外展開も考えたほうがいいのか」
「大手ハウスメーカーの海外事業は、地域の住宅会社にも関係があるのか」

人口減少で国内の新築着工が減り続けるなか、住宅会社の経営者から「海外展開をどう考えればいいか」という相談が増えています。大手ハウスメーカーはすでに海外売上を大きく伸ばしていますが、その中身はM&Aが中心です。

本記事では、海外人材の採用のために毎年アメリカ・ボストンを訪れている当社代表が、現地の住宅に滞在して感じたことを交えながら、日本とアメリカの住宅市場の違いと、日本の住宅会社が海外で生かせる強みを解説します。(本記事の内容は2025年11月〜2026年1月時点の解説に基づきます)

日本とアメリカの住宅市場はここが違う

日本とアメリカの住宅市場の比較:日本は新築中心で住宅の寿命は約30年といわれてきた。アメリカは既存住宅中心で寿命は約55年といわれ、住み替えながら長く使う

アメリカの人口は日本の約3倍ですが、住宅市場の構造は大きく異なります。主な違いを整理すると次のとおりです。

日本アメリカ
新築と中古の割合(流通量)
新築が中心
(新築8:中古2といわれる)
既存住宅が中心
(新築2:既存8といわれる)
住宅の平均的な寿命
約30年といわれてきた約55年といわれる
住み替え
一度建てたら
住み続ける人が多い
ライフステージに合わせて
住み替える文化
物件情報
レインズは
不動産会社向け
MLSの物件情報が
広く一般に公開

※一般に言われている傾向をもとにした概算です。

日本は「新築」、アメリカは「既存住宅」の国

日本は新築志向が強く、流通する住宅の多くが新築です。一方アメリカでは既存住宅の売買が中心で、住み替えの頻度も日本より高いといわれます。その背景にあるのが住宅の寿命の違いです。日本の家は「30年でほぼ価値がなくなる」と言われてきましたが、アメリカでは直しながら長く使い、住み替えながら売買していくのが一般的です。日本でもようやく長期優良住宅やGX志向型住宅など、長寿命・高性能の家づくりが本格化してきたところです。

アメリカでは中古住宅を「Used House」ではなく「Existing Home(既存住宅)」と呼びます。既存住宅の流通を活性化し、大規模なリフォーム・リモデルで価値を保つ文化が根付いているのです。

日本のハウスメーカーが成長した背景

日本の大手ハウスメーカーの多くは、1950〜60年代の高度経済成長期に誕生・成長しました。人口が増え、家が建てば売れる時代に、工業化住宅で大量の需要に応えてきたのです。新築中心の日本の住宅市場は、この時代の成長モデルの上に成り立っています。

透明性の高い不動産情報が中古流通を支える

日本の物件情報システム「レインズ」は、基本的に不動産会社だけが閲覧できる仕組みです。一方アメリカでは、MLSと呼ばれる物件情報システムに登録された情報が広く一般に公開されており、取引の透明性が高いことが既存住宅の流通を支えています。

技術の日本、生産性のアメリカ

職人の質という点では、日本の方が高いといわれます。高温多湿の気候の中で家を建ててきたこと、分譲住宅よりも注文住宅で一棟一棟オーダーメイドの家を建ててきたことが、日本の施工技術を磨いてきました。生産性ではアメリカが上回る一方、一棟ごとの施工技術では日本に強みがあるという見方があります。

アメリカの住宅市場も楽観できない

人口が増え続けるアメリカも、住宅市場は決して順調ではありません。コロナ禍以降、新築・既存住宅ともに取引は減少しています。理由は住宅価格と金利です。

  • 住宅価格の高騰:アメリカの住宅価格はこの25年ほどで大きく上昇し、インフレの影響も重なっている
  • 住宅ローン金利の高さ:2025年11月時点で、アメリカの30年固定の住宅ローン金利は6%台。金利1%台と6%台では、同じ物件でも総支払額が倍近く変わる
  • 人手不足:移民政策の影響などで、建設業の人手不足がさらに進むとみられる

インフレ抑制のための利上げの影響で、住宅購入はさらに難しくなっています。新築は富裕層が買い、それ以外の人は既存住宅を買う、という二極化が進むと予想されています。

海外展開は「会社」ではなく「施工力」を輸出する

海外展開の考え方:これまでは海外拠点や人材の受け入れで物価の差を生かしてきた。これからは日本の施工技術を持つ人を海外に送り出し、メイド・イン・ジャパン品質の家を建てる

日本のハウスメーカーの海外展開は、現地のハウスビルダーをM&Aする形が中心です。地域の住宅会社が海外に支社をつくり、日本流の家をそのまま売るのは現実的ではありません。

そこで当社代表が注目しているのが、日本の施工技術を持つ人を海外に送り出すというモデルです。これまで日本の住宅業界は、海外にCADセンターなどの拠点をつくったり、海外から人材を受け入れたりと、物価の差を利用して国内のコストを下げる形で海外と関わってきました。

一方、美容師や寿司職人、ネイリストなどの業界では、日本の技術を持つ人が海外で働くことで、国内よりはるかに高い収入を得る例が増えています。住宅の領域では、まだこの動きはほとんどありません。日本の若手の職人を海外に送り込み、「メイド・イン・ジャパン」の品質で家を建てるビジネスモデルを手がける会社はまだ少なく、今後のチャンスになりうる分野です。

ハウスメーカーとして海外で家を売るのは難しくても、家を建てるビルダーとしての施工店の機能を海外に持っていく。国内の大工不足という課題とどう両立させるかは考える必要がありますが、これが日本の住宅会社の海外展開として伸びていく形ではないかと考えています。

まとめ:国内の住宅会社が押さえておきたい示唆

  • 市場構造の違い:アメリカは既存住宅が中心で、長く使い住み替える文化。日本の住宅市場も、長寿命化とともに既存住宅・リフォームの比重が高まっていく可能性がある
  • 日本の強みは施工技術:一棟ごとの施工品質は、海外でも通用する強みになりうる
  • 海外展開の現実的な形:支社をつくって家を売るのではなく、施工力や人材を送り出すモデルにチャンスがある

よくある質問

Q. 日本とアメリカの住宅市場の一番大きな違いは何ですか?

A. 日本は新築が流通の中心で、アメリカは既存住宅(中古住宅)が中心です。アメリカでは住宅を長く使い、リフォームで価値を保ちながら住み替える文化があり、物件情報も広く公開されていることが既存住宅の流通を支えています。

Q. アメリカの住宅市場は伸びているのですか?

A. 人口は増えていますが、住宅価格の高騰と6%台(2025年11月時点)の住宅ローン金利の影響で、コロナ禍以降は新築・既存住宅ともに取引が減っています。新築は富裕層、それ以外は既存住宅という二極化が進むと予想されています。

Q. 地域の住宅会社が海外展開を考えるなら、どんな形が現実的ですか?

A. 海外に支社をつくって家を販売するのは現実的ではありません。日本の高い施工技術を生かし、職人や施工店の機能を海外に送り出す形にチャンスがあると考えられます。

住宅会社の成長戦略はピュアグロースへご相談ください

ピュアグロースでは、国内のハウスメーカー・工務店の経営支援に加え、新規事業や今後の成長戦略についてのご相談もお受けしています。市場が縮小するなかで次の一手を考えたい経営者の方は、お気軽にご相談ください。

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