「選考に進んでもらえず、面接まで来る人が少ない」
「せっかく採用しても1年もたずに辞めてしまう」
新卒も中途も、内定を複数持つのが当たり前になった売り手市場。住宅会社・工務店の採用では、求人を出して応募を待つだけでは人が集まらず、採れたとしても定着しなければ意味がありません。本記事では、住宅会社で人事部長を務めた当社の採用コンサルタントの解説(2025年5月末時点)をもとに、候補者が「この会社を選んでよかった」と思えるまでの体験をどう設計するかを、選考前・内定後・入社後の3つの段階に分けて紹介します。
今の就職・転職市場では、内定を何社も持っていることがステータスになっている学生も珍しくありません。働く世代の人口は減り、高齢になっても働き続ける人が増え、AIに置き換わる仕事も出てきます。採用する側にとって厳しい状況は、当面続くと考えておくべきです。
そのなかで採用がうまくいっている会社に共通しているのは、候補者が会社を知り、比べ、決めるまでの流れを意識して情報を届けていることです。採用を「選ぶ場」ではなく、候補者に「選ばれるまでの体験」として設計し直すことが出発点になります。

情報があふれる時代だからこそ、それを逆手に取り、選考に進んでもらう前に自社のことをしっかり伝えておく会社は、選考に進む率も母集団の質も高くなります。
当社自身も、スカウト型の転職サービスで候補者に連絡するとき、メッセージに会社の考え方や仕事が伝わるYouTube動画のURLを3本ほど添えています。動画を見て「面白そうだ」と感じた人が選考に進んでくれるため、面接の時点で会社への理解が深まっています。どれだけ良い会社でも、知ってもらえなければスカウトは読み流されて終わってしまいます。
採用のための動画やSNSは、再生回数やチャンネル登録者数を追う必要はありません。大切なのはそこに正しい情報が載っているかです。再生回数が150回でも、会社に興味を持った150人が最後まで見てくれたのなら、それは立派な母集団です。話題になりそうなキーワードを狙う必要はなく、伝えたいことを置いておくだけで十分に役割を果たします。
デザインに凝った採用サイトに大きな予算をかけるより、スマートフォンで寝る前に気軽に見られるInstagramやYouTubeに投資する方が、更新もしやすく効果が出やすいというのが当社の考えです。自社発信の考え方は合同説明会だけでは採れない時代の採用戦略でも解説しています。
内定を出した後の候補者は、複数の会社を比べながら、口コミを調べたり家族に相談したりして迷っています。特に中途の方は家庭があり、「今の会社に残った方がリスクは少ないのでは」と考えるのも自然なことです。
このとき、食事に誘って接点を増やす会社は多いのですが、入ってほしい一心で良いことばかりを伝えてしまいがちです。嘘をつく必要はもちろんありませんし、下手に出て頼み込む必要もありません。候補者が求めているのは判断の材料になる正しい情報です。仕事の大変さや入社後の働き方も含めて正確に伝えることが、結果的に納得して入社してもらうことにつながります。
採用は人が入社して終わりではありません。採用目標を「何人採るか」ではなく、「何人増えるか(純増)」で考えることが大切です。
| ケース | 1人あたりの採用単価 |
|---|---|
| 300万円で3人採用し、 3人とも定着 | 100万円 |
| 300万円で3人採用し、 2人が退職 | 300万円 (純増は1人だけ) |
この視点は見落とされがちです。採用費を増やす前に、採った人が辞めない仕組みに目を向けることで、実質的な採用単価は大きく下がります。
制度以上に大切なのが教育です。役職ごとの研修や同期のつながりなど形は何でも構いませんが、会社のおかげで小さな成功体験ができたと本人が感じられると、会社への帰属意識は大きく高まります。採用して現場に任せきりにするのではなく、「採って終わりではない」と考えることこそが人事の仕事です。
新卒の場合、内定者アルバイトは惹きつけにも入社後のスタートダッシュにも有効です。ただし「とりあえずやろう」では逆効果になりかねません。先に社員と接して会社のリアルを知ってもらうことに加え、入社時点でどんな社員になっていてほしいかという「あるべき姿」を先に決めておくことが前提です。

時給は学生が今しているアルバイトより高くする、目標を達成したら時給を上げる、といった条件も含めて考えることは多くあります。具体的な仕事の区切り方や教育担当の決め方は、新卒の内定辞退を防ぐ住宅会社の採用術で紹介しています。
年間100棟前後の規模の住宅会社では、採用担当が兼任だったり、社長が一人で採用を担っていたりすることがほとんどです。候補者体験の設計まで手が回らないのも無理はありません。最初の一歩としておすすめなのが、毎年どの媒体や紹介会社にいくら払っているかを一覧にすることです。必要な媒体を選べているか、金額は適正かを見直すだけでも、削減できた費用を定着や情報発信に回す余地が生まれます。
A. 候補者が会社を知り、選考を受け、内定を承諾して入社し、定着するまでの流れを一つの体験として設計することです。選考前の情報発信、内定後の正しい情報提供、入社後の教育や制度づくりまでを一貫して考えます。
A. あります。採用動画の目的は話題になることではなく、候補者に正しい情報を届けることです。スカウトの文面に動画のURLを添えるなど、候補者に見てもらう導線をつくれば、少ない再生回数でも十分に役立ちます。
A. 採用費を「採用した人数」ではなく「定着して増えた人数(純増)」で割って考えるのがおすすめです。300万円で3人採っても2人が辞めれば、実質の採用単価は300万円になります。
ピュアグロースでは、住宅会社で人事部長を務めた経験を持つコンサルタントが、採用媒体の見直しからKPI管理、説明会・面接・インターンの実務支援、入社者研修まで伴走します。まずは今の採用費の見積もりを見せていただくところからでも構いません。