「新卒に内定を出しても、最後に他社へ流れてしまう」
「若手に指示を出しても、なかなか動いてくれない」
新卒採用は、学生を集めて内定を出せば終わりではありません。内定を持つ学生の多くは複数の会社を比べており、入社までの関わり方で結果が大きく変わります。本記事では、年間200名以上の採用に携わってきた当社の採用コンサルタントの解説(2025年8月時点、27卒採用に向けた内容)をもとに、住宅会社が新卒の内定承諾率を上げるための「内定者アルバイト」の設計、Z世代への伝え方、そして採用の軸となる「採用理念」について紹介します。合同説明会での母集団形成については合同説明会で新卒を採る住宅会社の準備もあわせてご覧ください。
新卒の就職活動は年々早くなっています。動画を収録した2025年8月の時点で、27卒の学生の半数ほどはすでに動き始めていると見られ、そこから就職サイトへの掲載を始めるのは遅いタイミングでした。翌年以降の学生も早くから動く時代です。焦る必要はありませんが、採用目標から逆算して行動を細かく分け、計画的に動くことが欠かせません。
出会い方は、職種によって変えます。
コロナ禍にはオンラインの説明会や面談が広がりました。費用も安く当時は主流でしたが、支援先では、オンラインで接点を持った学生ほど最終面接や入社の段階で離脱が多い傾向がありました。対面で会う頻度が、内定承諾に直結する。だからこそ、手間はかかっても対面の合同説明会やスカウトで、1人ひとりに時間をかけることが大切です。
内定を出した後、どれだけ自社のことを伝えられるかが勝負です。当社が支援先におすすめしているのが内定者アルバイトです。入社するかまだ迷っている学生でも構いませんが、なるべく入社の可能性が高い学生に声をかけます。

さすがに学生にいきなり家を売ってもらうのはハードルが高いので、最初は会社のことを知ってもらう段階から始めます。いろいろな部署を回り、社内の仕事を手伝ってもらうイメージです。そのうえで、入社後に最初に覚える仕事をレベル1・2・3のように区切り、「レベル3まで行けば内定者アルバイトとして一人前」という基準をつくります。小さな成長体験を積み重ねることで、学生の会社への帰属意識が高まります。
「この仕事ができるようになったら時給を上げる」「入社時の役職を1つ上げる」といったボーナスを設けると、学生は自然と「この会社で上に行きたい」と考えるようになります。他社への興味が薄れ、結果として囲い込みにつながります。
今の若い世代は、子どもの頃からテストの点数や塾の順位、SNSの「いいね」の数など、数字で評価され続けてきました。だからこそ、数字ではなく「自分という人間」を見てほしいという思いを持っています。また、親世代は努力が報われやすい時代を生きてきましたが、今の若い世代は情報化社会の中で「頑張ってもうまくいかない人もいる」ことを知っています。そのため、「それをやると本当にうまくいくのか」という意味づけを求めるのです。

一番効かないのが「とりあえずこれをやっておいて」という指示です。先に「これをやるとこうなる」という背景と目的を伝え、そのうえで本人に選択肢を与えます。自分で選んだという感覚が、若い世代にとってはとても大事です。選択肢の答えが実質的に1つであっても、「あなたが選んだ道だから、責任を持って最後までやろう」と伝えると響きます。
メモを取るように言ったら、スマートフォンで動画を撮り始めた。今では珍しくない光景です。世代が変わることは当たり前で、学生が悪いわけではありません。企業の側が、時代とともに価値観が変わっていることを理解しておく必要があります。
今は、内定をたくさん持つことに誇りを感じる学生も少なくありません。それを否定する必要はありません。そのうえで、「新卒として最初に選ぶ会社は1社だけ。その1社目にうちを選んで良かったと思ってほしいから、ゆっくり考えてほしい」という気持ちを伝えましょう。「一生働いてほしい」といった重い話をする必要はありません。面接の中で、本人が自分で考え、自分で選んだと納得できるように関わっていくことが大切です。
面接の回数に正解はありません。理念経営を重視し、理念を理解した人だけに入社してほしい会社なら4回、5回と重ねる方法もあります。営業として早く戦力になってほしい会社なら、1〜2回でも十分です。大切なのは、自社がどんな人を採りたいのかを俯瞰して把握しておくことです。
採りたい人物像(ペルソナ)を決める会社は多いですが、当社が最近支援先で取り組み始めているのが、その一歩手前の「採用理念」づくりです。経営理念とは別に、「どういう考え方で人を採るのか」を言語化しておくと、面接で迷ったときや選考フローを考えるときの判断軸になります。
| ステップ | 考えること |
|---|---|
| 1. 経営理念 | 例:「いい家をつくる」 |
| 2. 分解する | うちが考える「いい家」とは何か。 それをつくる「いい人」とはどんな人か |
| 3. 採用理念 | 例:技術と速さより、 現場を美しく保てる人を採る |
| 4. ペルソナ・選考 | 採用理念に沿って人物像と 面接の回数・内容を決める |
たとえば「いい家をつくる」という経営理念があるなら、その会社にとっての「いい人」とは誰かを分解します。設計の技術があり最短で仕事ができる人なのか、それとも現場をきれいに保ち、掃除をきちんとできる人なのか。自社の「いい家」から逆算して、採るべき人の考え方を決めていきます。毎年、採用ページのメッセージに「今年のテーマ」を掲げ、営業を強化したい年と定着率を上げたい年で打ち出し方を変えるのも一つの方法です。採用理念は人事部だけでなく、社長と一緒に決めることが大切です。
A. 最初は部署を回って会社を知ってもらい、入社後に最初に覚える仕事をレベル1・2・3のように区切って段階的に任せるのがおすすめです。教育担当がいる日だけシフトに入れ、成長に応じて時給を上げるなどのご褒美を用意すると、帰属意識が高まります。
A. 「とりあえずやっておいて」は避け、先に背景と目的を説明してから、本人に選んでもらう形にしましょう。自分で選んだという感覚があると、最後まで責任を持って取り組みやすくなります。
A. ペルソナは「どんな人が欲しいか」という人物像、採用理念はその手前にある「どういう考え方で人を採るか」という軸です。経営理念を分解して採用理念を決めておくと、ペルソナや選考フローがぶれにくくなります。
ピュアグロースでは、採用のプロが住宅会社の採用計画づくりから、母集団形成、面接、内定後のフォロー、採用理念の言語化まで支援しています。お気軽にご相談ください。