「大手の成功事例を聞いても、自社で何を真似すればよいか分からない」
「やるべきことは分かっているのに、社内でやり切れない」
住宅・不動産業界で好調な会社としてよく名前が挙がるのが、都市部の戸建分譲を中心に成長してきたオープンハウスグループです。決算の数字はオープンハウス2025年9月期第3四半期決算の解説記事で整理していますが、本記事では数字の背景にある「強さの要因」に焦点を当てます。
2025年4月公開の動画をもとに、当社コンサルタントがオープンハウスの成長要因をビジネスモデルの3つと組織の3つに分けて解説し、地域の住宅会社が取り入れられるポイントを整理しました。

オープンハウスの仕入れの強さは、他社が手を出しにくい狭小地や不整形地でも商品化できることと、仲介会社から情報をいち早く得る行動量にあります。
行動量の違いが分かる例として、ある仲介会社に担当者が5人いれば、オープンハウス側の仕入れ担当が全員それぞれに名刺を置いて回るという話があります。多くの会社は「1社に1人」「1担当者に1人」で回るのに対し、全員で顔を覚えてもらいに行くわけです。
そしてもう一つが回答の速さです。どの土地ならいくらで買えるか、どのプランが入るかの判断材料がデータとして蓄積されているため、朝に情報をもらって昼には買うかどうかを返せる。多くの会社が「即日回答します」と言いながら実際にはできていないなか、これを徹底していることは仲介会社にとって大きな価値になります。
販売棟数の増加に合わせて、施工の効率化も進めてきました。資材の仕入れや輸送のコストを規模の力で下げ、施工のプロから見ても驚くほどの原価水準を実現しているとされています。グループ内の施工会社との連携や、成長の過程で施工会社を増やしてきたことも背景にあります。
また、「この土地ならこの間取り」という判断も、過去のデータが蓄積されているためスピーディーです。仕入れから設計・施工までの判断が速いことが、事業全体の回転を高めています。
都市部の駅前などで、通りがかりの方に声をかけて物件をご案内する営業もオープンハウスの特徴です。理にかなっているのは、分譲住宅を買う方の多くが今住んでいる場所の近くで家を探すという点です。その駅を通勤で使っている方は近隣に住んでいる可能性が高く、物件の近くで声をかけることは見込み客に出会う効率の良い方法になります。
もちろん、声をかけた方のうち足を止めてくださるのは一部で、さらに店舗まで来てくださる方、購入に至る方はごくわずかです。それでも成果が出るまで声をかけ続けられるのは、次に述べる組織の力があるからです。なお、人通りの少ない地方では同じやり方は成り立ちにくいため、自社の商圏に合った「見込み客に会いに行く方法」に置き換えて考えることが大切です。
オープンハウスのカルチャーは、合理的で実力主義、そして「やり切る力」が強いことで知られています。売上規模が1兆円を超えてもなお、自らを挑戦するベンチャーとして位置づけている点も印象的です。上で挙げた仕入れの行動量や声かけ営業も、このカルチャーがあってこそ続けられるものです。
以前は新卒中心でしたが、近年は中途採用にも力を入れ、投資用不動産や海外不動産のプロフェッショナル、異業種の優秀な人材も採用しています。新卒の初任給も住宅業界でトップクラスの水準に設定しているとされています(2025年4月の動画収録時点)。
注目したいのは、厳しさを隠さずに発信している透明感です。「実力主義で、成果を出せば給与で報いる。その代わり頑張ってほしい」という約束が明確なので、稼ぎたい、一旗揚げたいという人が集まります。入社前に良いことだけを伝えると、入社後のギャップで早期離職につながります。採用向けの発信でも自社のカラーをはっきり出していることが、ミスマッチを減らしていると考えられます。
プロセスも大切にしつつ、最終的には結果を出す人を評価する。この思想を行動指針として明文化し、評価と結びつけて日々の行動に落とし込んでいます。
実は、伸びている会社の行動指針はどこも似ています。「評論するより行動する」「やれるまでやる」「他人のせいにしない」「変化を恐れない」「自ら動く」「スピードを意識する」「目標を明確に持つ」。多くの経営者が共感する内容でしょう。差がつくのは、それをお題目で終わらせず、全員がやり切れるかどうかです。
ここまでの6つは、どれも「やれば成果が出る」と多くの会社が分かっていることです。オープンハウスとの差は、それをやっているかどうか、やり続けられるかどうかという小さな差の積み重ねにあります。

とはいえ、社員が100人、200人と増えた会社で、今の社風を一気に変えるのは簡単ではありません。現状維持を続ける会社ほど、じわじわと競争力を失っているのが実情です。そこで当社コンサルタントが強調するのが、カルチャーを変える入口は採用だということです。
縮小市場で競争が激しくなるなか、「分かっているけれどやり切れない」状態から抜け出せるかどうかが、これからの住宅会社の明暗を分けます。
A. 仲介会社の担当者一人ひとりに会いに行く行動量と、蓄積したデータによる回答の速さが大きな要因です。他社が手を出しにくい土地でも商品化できるため、情報が集まりやすく、買い負けにくい仕組みになっています。
A. 土地情報への即日回答、見込み客に会いに行く行動量、行動指針をお題目で終わらせない運用などは、規模に関係なく取り入れられます。特に「やるべきことをやり切る組織」をつくる考え方は参考になります。
A. 今いる社員を一気に変えようとするより、採用から変えるのがおすすめです。目指すビジョンと処遇を明確に示し、それに共感してやり切れる人材を迎え入れながら、社長自身が率先して行動で示すことが大切です。
ピュアグロースでは、大手の戦略分析を踏まえた組織づくりや採用、分譲事業の仕入れ・販売の仕組みづくりまで、住宅会社・工務店の経営を支援しています。