「新卒の会社説明会を開いても、学生の印象に残らない」
「大手ハウスメーカーと併願されると、内定を出しても辞退される」
新卒採用の早期化・長期化が進み、地域の住宅会社・工務店にとって大手ハウスメーカーとの採用競争は年々厳しくなっています。なかでも一条工務店は、毎年数百人規模の新卒を全国で採用している会社です。
本記事では、2025年4月公開の動画をもとに、当社コンサルタントが一条工務店の新卒採用の特徴と会社説明会の組み立て方を整理し、地域の住宅会社が新卒採用で大手に勝つための3つの訴求ポイントと、内定承諾までの関わり方を解説します。
一条工務店は年間1万5,000棟前後を販売し、総合住宅展示場を中心に全国で約550か所の展示場を構える規模の会社です(2025年4月時点の動画内の解説に基づく概算)。この展示場網を支える人材を、新卒中心に毎年数百人規模で採用しています。
特徴的なのは、他のハウスメーカーと比べて理系・土木系の出身者を多く採用できていることです。技術系の学生が営業職を含めて入社しており、これは後述する説明会の伝え方とも深く関係しています。
もう一つの特徴が、全国転勤のある「総合職」と、転勤の範囲を地域に限定する「ブロック職」に分けて採用していることです。全国に拠点を持つ小売チェーンなどでも見られる方法で、初任給も総合職をやや高めに設定しています。いずれも地域の住宅会社の一般的な水準と比べて高めの設定で、給与面だけで勝負するのは簡単ではありません。
就職活動中の学生は、20社、30社と説明会に参加します。当社の新入社員に聞いても「どの会社が何を話していたか、正直ほとんど覚えていない」という答えでした。それだけに、何をどの順番で伝えるかが重要です。
当社コンサルタントが一条工務店の会社説明会(約45分)を聞いて整理したところ、前半の約20分は会社の「スタンス」を伝えることに使われていました。

そのうえで後半に、年間休日、研修制度、インセンティブを含めて選べる給与体系、早く成長している社員の例といった働く条件を伝える構成です。
この順番には意味があります。最初にビジョンと商品への自信を伝えることで、「透明感のある会社」「正直な会社」という印象が生まれます。さらに「商品に自信があるから、無理な営業をしなくても売れる」という話は、営業に不安を持つ理系の学生にも響いていました。理系・技術系の学生を多く採用できている背景には、この伝え方があると考えられます。
地域の住宅会社の説明会は「伸びている会社です」「これから成長します」という話が中心になりがちです。商品に自信がある会社であれば、商品と家づくりの考え方をもっと説明に混ぜてよいというのが、一条工務店の説明会から得られる示唆です。
では、規模でも給与でも大手にかなわない地域の住宅会社は、何を伝えればよいのでしょうか。当社コンサルタントは、実際に大手と競合して採用できている会社の事例から、次の3つを挙げています。

規模の小さい会社では、社長と直接話し、考え方を間近で学べます。また、会社の成長に合わせて店長や部門責任者などのポストが生まれるため、若いうちから抜擢される可能性が高いことも伝えられます。大手では得にくいキャリアの早さは、成長意欲の高い学生にとって大きな魅力です。
地域の住宅会社を受けに来るのは、その地域で優秀な学生であることが多いものです。「地元のために働きたい」という思いに対して、全国転勤のある会社ではできない地域への関わり方を示せるのは、地域の会社ならではの強みです。地域の暮らしを支える家づくりや、自社が取り組んでいる社会貢献の活動を具体的に伝えましょう。
初任給で大手に並ぶのは難しくても、成果に応じて給与がどれだけ伸びるかは示せます。稼ぎたい、成長したいという意欲の高い学生にとって、入社数年後の給与のモデルは重要な判断材料です。
大切なのは、この3つのどれか一つだけでは勝てないということです。キャリア、地域への思い、給与の伸びを総合的に語ったうえで、学生がどれだけ自社を向いてくれるかの勝負になります。
| 訴求ポイント | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 経営者との距離 ・抜擢人事 | 社長から直接学べる環境、 成長に合わせて生まれるポスト |
| 地域への貢献 | 転勤なく地元で働けること、 地域での家づくりや社会貢献活動 |
| 給与の伸び率 | 成果に応じた昇給の仕組み、 入社数年後の給与モデル |
新卒採用は早期化・長期化しており、内定を出してから承諾をもらうまでの期間も長くなっています。その間、大手からも声がかかり続けます。そこで重要になるのが、内定を出してから承諾をもらうまでに、何回熱意を持って会いに行くかです。
接触の回数が増えるほど、学生の会社への思い入れ(エンゲージメント)は高まります。面談、社員との食事、オンラインでの近況確認など、形式にこだわらず接点を重ねることが、最終的な決め手になります。内定後の関わり方は、新卒の内定辞退を防ぐ住宅会社の採用術でも詳しく解説しています。
A. 休日や給与などの条件から話すのではなく、会社が大切にしている考え方や家づくりへの姿勢、商品への自信を先に伝えるのがおすすめです。学生が「この会社は信頼できる」と感じてから条件を伝えると、印象に残りやすくなります。
A. 経営者との距離の近さと抜擢のチャンス、地域に貢献できること、成果に応じた給与の伸び率の3つを組み合わせて伝えます。どれか一つだけでなく、総合的に語ることが大切です。
A. 内定を出してから承諾をもらうまでの間に、面談や社員との交流などの接触回数を増やし、熱意を示し続けることです。採用活動が長期化しているため、内定後の関わり方が最終的な決め手になります。
ピュアグロースでは、説明会の組み立てや内定後のフォローなど、住宅会社の新卒採用を支援しています。一条工務店の強みを整理したレポートもご用意しています。