全社員研修を1日で開く住宅会社の進め方|部門横断の講演と部門別討議で全社のスイッチを入れる

2026.10.27 2026.10.27
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「営業・設計・工事がそれぞれの仕事に追われ、会社の目標が全員に浸透していない」
「研修をしても、翌週には元どおりになってしまう」

会社が大きな目標を掲げても、部門ごとに動いていると、他部門が何に取り組んでいるのかが見えにくくなります。本記事では、売上100億円を目指すと宣言した静岡県の住宅会社・株式会社スタンダード様で、当社が全社員約100名を対象に行った「1日ワンストップ支援」の内容を紹介します。営業・マーケティング・工事・設計の各分野の実務家が1日で全社員に向き合ったこの取り組みから、全社研修を成果につなげるための設計と、各部門に伝えたポイントをまとめました。

全社員を1日で巻き込む研修の流れ

当社の支援は通常、部門ごとに複数のコンサルタントが別々に入ります。そのため経営者の方から「全員に一度に話してもらえる機会はないか」という声があり、生まれたのがこの企画です。1日の流れは次のとおりです。

全社員を1日で巻き込む研修の流れ:午前は全社員向けに各部門の講演、午後は部門別の研修と討議、最後に部門ごとの発表と総括
  1. 午前:全社員向けの講演:営業・マーケティング・工事・設計の担当者が、それぞれ約20分ずつ話す。全員がすべての部門の話を聞く
  2. 午後:部門別の研修・討議:部門ごとに分かれ、自社の課題に沿って質問・ディスカッションする
  3. 最後:部門ごとの発表と総括:各部門のリーダーが、何に気づき、何をやるかを全体に共有する

ポイントは、午前中に全員が他部門の話も聞くことです。日頃は自分の専門領域の話しか聞く機会がなくても、会社の計画やビジョンの達成に向けて、各部門のテーマはすべてつながっています。横断的に話を聞くことで、部門を越えた一体感が生まれます。

「2割が変われば十分」という考え方

前日の打ち合わせで社長から伝えられたのは、「2割の人が覚醒して、少しでも動きが変われば会社としては十分に元が取れる。すべてを理解してもらえなくても、一人でも多くの社員に気づきを与えてほしい」ということでした。全社研修は全員を一度に変える場ではなく、動き出す人を一人でも多く生む場と考えると、内容の設計も変わります。

各部門に伝えたポイント

営業:予算が合わないのは「前提」と考える

現場の営業からよく聞くのが、「お客様の希望予算と、こちらが提案したい金額が合わない」という悩みです。しかし、お客様の予算が最初から合っているほうがまれで、予算が合わないのは当たり前という前提で商談を組み立てる必要があります。お客様が比較検討する会社が2〜3社に絞られている今、何を基準に選ばれているのかを理解し、最終的には営業一人ひとりのスキルアップが欠かせません。

SNSについても、登録者数や再生回数を追う必要はありません。大切なのは、自社の商圏に住む人に見てもらえるかです。地域の人が見ているSNSやインフルエンサーとつながることには大きな意味があります。また、お客様にSNSのフォローを一方的にお願いすると「押し付けられている」と感じさせてしまうことも、講演の場で実際に体感してもらいました。

マーケティング:全員が「お客様を理解する」発想を持つ

マーケティングというと、SNSの投稿や広告の話になりがちです。しかし本質はお客様を理解することであり、マーケティング部門に限らず、営業も現場監督も持つべき考え方です。部門別の討議では、自社のホームページを題材に「お客様はこの情報を最初に見たいだろうか」と一緒に見直しました。社員からは「当たり前だと思っていた固定観念に気づけた」「感覚だけでなく数値を見て改善することが大切だと分かった」という声が上がりました。

工事:少ない人数で品質と生産性を上げる仕組み

工事部門では、限られた人数でも品質と生産性を高め、お客様の満足度を上げることをテーマにしました。現場の品質が高い会社に共通する取り組みは次のとおりです。

  • 業務を明確にする:部署間でどのタイミングで打ち合わせをすれば、ミスなく情報を共有できるかを固める
  • 品質向上の委員会をつくる:現場のパトロールや、施工マニュアルの勉強会を行う
  • 現場の「きれい」の基準を言葉にする:道具の置き場所や安全設備まで自社の標準を決め、協力業者・職人に伝える
  • 職人が誇りを持てる現場にする:「あの会社の現場はすごい」と言われるような関係を、時間をかけて積み上げる

こうした取り組みは一朝一夕にはできません。始めるなら、やり続けることが前提です。

設計:設計力は「才能」ではなく積み重ね

20代の設計担当が多い会社だったこともあり、設計部門で伝えたのは「設計のセンスは才能ではない」ということです。設計の力は、仕事に就いてから学ぶものです。アートは自己表現ですが、デザインはお客様の課題解決。一つひとつの課題を聞き、一つずつ図面に描いていけば、10年後、20年後には大きな力になります。

実務面では、年間の担当棟数が多い設計担当ほど土日の時間を効率よく使う必要があります。たとえば打ち合わせを「10時〜12時」「13時〜15時」「15時〜18時」のように時間割にし、間に図面やサンプルを準備する時間を確保すると、お客様の集中力が切れにくく、予約が先に延びることも防げます。

採用:相手のメリットから企画を考える

採用の討議では、インターンシップを「会社が採用したいから」ではなく、参加する学生が成長できる場として企画することを提案しました。また、採用時期に一気に動くのではなく、通年で応募が集まるよう媒体を運用し、マーケティングと同じように費用対効果を集計することも大切です。

研修を「やりっぱなし」にしないために

研修の日は、多くの社員が「よし、やるぞ」という気持ちになります。しかし日々の業務に戻ると、その熱は少しずつ溶けていきます。だからこそ、研修で決めたことを「自分との約束」として最後に言葉にしてもらうことが大切です。今日やろうと決めた人が、明日も来週も続けられているか。そこまで見届けて初めて成果につながります。

研修をやりっぱなしにしないための2つの工夫:決めたことを自分との約束として言葉にする、3か月に1回など定期的に全社で振り返る

スタンダード様からは「全社員に話してもらうことで会社全体の底上げを図りたかった。他部署が何をしているのかを知ることができ、会社全体に一体感が出た。特に若手社員が悩みが吹っ切れたような顔をしていた」という感想をいただき、3か月に1回の定期開催も決まりました。一度きりにせず、定期的に全社で振り返る場をつくることも、研修を定着させる方法の一つです。

まとめ:全社研修は「部門の壁」を越える場にする

  1. 午前は全員が全部門の話を聞き、会社の目標と各部門のつながりを理解する
  2. 午後は部門別に、自社の課題に沿って討議する
  3. 最後に部門ごとに発表し、決めたことを「自分との約束」にする
  4. 全員を変えるのではなく、動き出す人を一人でも多く生む
  5. 一度きりにせず、定期的に開催して熱を保つ

よくある質問

Q. 全社員研修では、なぜ他部門の話も聞く必要があるのですか?

A. 会社の目標に向けて、営業・設計・工事・マーケティングの取り組みはすべてつながっているからです。他部門の考え方を知ることで、部門間の連携がしやすくなり、会社全体の一体感も生まれます。

Q. 研修の効果を持続させるにはどうすればよいですか?

A. 研修の最後に、各自が実行することを言葉にして「自分との約束」にしてもらうことです。そのうえで、3か月に1回など定期的に全社で振り返る場を設けると、日々の業務で熱が冷めるのを防げます。

Q. 全社員が変わらないと研修は失敗ですか?

A. そうではありません。2割の社員が気づきを得て動きが変われば、会社としては十分な成果になります。全員を一度に変えようとせず、動き出す人を一人でも多く生むことを目標にしましょう。

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ピュアグロースでは、大手ハウスメーカー出身の実務家コンサルタントが、営業・設計・工事・マーケティング・採用の各分野から、全社員向けの研修や部門別の支援まで行っています。お気軽にご相談ください。

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