社員1人あたり粗利額で分かる住宅会社の現在地|インフレ×縮小期の経営と採用の目安

2026.10.27 2026.10.27
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「価格の安さを打ち出しても、以前ほど集客できなくなった」
「出店も採用もしたいが、自社にどこまでの余力があるのか分からない」

長く続いたデフレの時代が終わり、物価や人件費が上がるインフレの時代に入りました。しかし、経営やマーケティングの考え方が「デフレ脳」のままになっている住宅会社・工務店は少なくありません。

本記事では、2025年2月末に収録された動画をもとに、当社代表がインフレ期と市場縮小期が重なる今の住宅業界で押さえるべきことを解説します。中心となるのは、社員1人あたりの粗利額(売上総利益額)で会社の状況を見るという考え方です。PLの比率から見た収益構造の見直し方は住宅会社のPL構造の見直し方で解説していますので、あわせてご覧ください。

デフレ脳からインフレ脳へ切り替える

デフレとインフレでは、お客様が求めるものも、会社の成長戦略もまったく違います。

デフレ期インフレ期
お客様が求めるもの
とにかく価格。
少しでも安く建てたい
価格と品質のバランス。
少し高くても良いものを
伸びた会社の戦い方
経費を抑えた低価格路線、
粗利率より粗利額
価値の高い提案に切り替え、
無駄のない筋肉質な会社へ
採用の考え方
とにかく頭数をそろえる少数精鋭で生産性を上げる

かつては「家賃並みで家が建つ」「アパート脱出」のように価格を前面に出したキャンペーンで集客できましたが、今はこうした打ち出し方で集客できるケースは減っています。もちろん、お客様は今でも安い方がうれしいのは間違いありません。ただし「安ければ何でもいい」わけではなく、できるだけ安く、かつ品質の良いものが欲しいのです。

住宅ローンの金利や光熱費の上昇も見込まれるなか、建物価格だけで判断する提案をすると「この営業は安ければ何でもいいと思っているのか」と、かえって信頼を失いかねません。総額や暮らしのコストまで含めて提案できるかが問われています。

インフレ期×縮小期に押さえるべき3つのこと

住宅業界はインフレ期であると同時に、市場そのものが縮小する衰退期に入っています。衰退期には会社の数は減りますが、残るのは強い会社ばかりです。そのなかで勝ち残るために押さえるべきことは、次の3つです。

  1. 優秀な人材を集める
  2. 生産性を高める:きちんと儲かっているかどうか
  3. 営業力を高める:来ていただいたお客様をしっかり契約につなげる

大きく出店して成長したいと考える会社も多いでしょう。しかし、儲かっていない会社は出店できません。既存店の業績が下がっているのに新しい拠点を出すことはできず、実際に新規出店の相談は以前より減っています。まずは既存事業・既存店舗の収益を上げ、その底上げを営業力で支えることが先決です。

また、集客を増やせば何とかなると考えがちですが、市場が縮小すれば地域全体の来場者数が減るため、集客の絶対量はなかなか増えません。来ていただいたお客様をいかに契約につなげるかが重要になります。

社員1人あたり粗利額で会社の状況が分かる

当社ではこれまで、全社員に占める営業担当者の割合や、社員1人あたりの年間販売棟数(100人の会社が200棟売れば2.0)を生産性の指標として見てきました。これらに加えて今、最も意識してほしいのが社員1人あたりの粗利額です。

社員1人が年間でどれだけの粗利を生み出しているかで、その会社が採用や出店にどこまで踏み出せるかがおおよそ見えてきます。当社代表が支援先の数字を見ながら整理した目安は次のとおりです。

社員1人あたり粗利額の目安:1,200万円未満は厳しい、1,500万円で新卒採用、1,800万円で地域の中途即戦力、2,000万円で大手出身のトップ営業、2,400万円で大手の役員経験者を採用できる
1人あたり粗利額会社の状況の目安
1,200万円未満今のコスト環境では
厳しい状態
約1,500万円黒字を確保でき、
新卒採用に取り組める
約1,800万円地域の優秀な
中途の即戦力を採用できる
約2,000万円大手出身のトップ営業や
異業種のマーケターを採用できる
約2,400万円大手の役員経験者や
全国トップクラスの営業を採用できる

※2025年2月の動画収録時点での、当社代表の支援現場での感覚に基づく目安です。地域や業態、給与水準によって異なります。

実際、1人あたり粗利額が2,000万円を超える会社は、出店も採用も積極的に打ち出せています。一方でそこに届かない会社は、既存社員の給与を上げる必要もあり、販管費が膨らんで1人あたりの粗利がさらに減っていく悪循環に陥りがちです。売上だけを追う成長では、社員も会社も幸せになりません。まずは1,500万円、目指すべき世界観として2,000万円以上を一つの目標にしてみてください。

1人あたり粗利額を上げるための2つの視点

1. 「筋肉質な会社」に組み替える

頑張っている社員がいるのに、間接部門の人数や、まだ成果を出せていない社員の割合が大きく、構造的に営業利益が出ない会社があります。ここで必要なのは、リストラや人員カットではありません。

  • 成果を出せる部門やポジションに配置を移す
  • 稼ぐ人をサポートする役割に回り、営業が商談に集中できるようにする
  • 業務の進め方やビジネスモデルを少しずつ変え、稼げる人が稼げる仕事に時間を使えるようにする

こうした組み替えによって、無駄がなく利益の出る「筋肉質な会社」に近づけていきます。

筋肉質な会社への組み替え:人員カットではなく、成果を出せる部門への配置、稼ぐ人のサポート、業務の見直しで1人あたり粗利額を上げる

2. 中途採用で「社内の調和」を気にしすぎない

1人あたり粗利額が1,200万〜1,500万円の会社ほど、優秀な中途人材を採りたいのに採れないという悩みを抱えています。理由の一つは、そもそも高い給与を出しにくい構造にあること。もう一つは、「今いる社員に申し訳ない」「既存社員より高い給与で迎えるのはどうか」と、社内への影響を気にしすぎてしまうことです。

当社代表は、こうした会社の社長にこそ「社内への影響を気にしすぎないでください」と伝えています。期待値も込めて給与を払える人を迎え、その期待に応えて稼いでもらう。新卒も中途も同じ評価の物差しで公平に処遇する仕組みがあれば、それに共感する社員が増え、会社全体の生産性も上がっていきます。採用の具体的な進め方はハイパフォーマー採用の記事も参考にしてください。

まとめ

  • インフレ期のお客様は「安さだけ」ではなく、価格と品質のバランスを求めている
  • インフレ期×縮小期に押さえるべきは、優秀な人材・生産性・営業力の3つ
  • 社員1人あたり粗利額を見ると、採用や出店にどこまで踏み出せるかが分かる。まずは1,500万円、目指すは2,000万円以上
  • リストラではなく組み替えで筋肉質な会社にし、中途採用では社内への影響を気にしすぎない

よくある質問

Q. 社員1人あたり粗利額はどう計算しますか?

A. 年間の粗利額(売上総利益額)を、営業以外の部門も含めた全社員数で割って求めます。売上ではなく粗利で見ることで、採用や出店に使える余力をつかみやすくなります。

Q. インフレの時代でもローコスト住宅を求めるお客様はいませんか?

A. 安い方が良いと考えるお客様は今もいます。ただし「安ければ何でもいい」ではなく、できるだけ安く品質の良いものを求めています。住宅ローンの金利や光熱費まで含めた総額で、価格と品質のバランスを提案することが大切です。

Q. 生産性を上げるために人員を減らすべきですか?

A. 人員カットが目的ではありません。成果を出せる部門への配置転換や、稼ぐ人をサポートする役割への組み替え、業務の進め方の見直しによって、会社全体として利益を生み出せる体制をつくることが大切です。

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ピュアグロースでは、1人あたり粗利額などの指標をもとにした組織の見直しや、採用・営業力の強化まで、住宅会社・工務店の業績向上を支援しています。

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