アイ工務店の急成長を支える経営の仕組み|中途・リファラル採用と出店・粗利の考え方

2026.10.27 2026.10.27
アイ工務店の急成長を支える経営の仕組み|中途・リファラル採用と出店・粗利の考え方 解説動画サムネイル

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「アイ工務店は、なぜこれほど短期間で成長できたのか」
「人を引き抜かれるばかりで、自社が学べることが見えない」

アイ工務店は、創業から十数年で年間5,000棟規模まで成長した注文住宅会社です。未上場のため情報は多くありませんが、地域の住宅会社・工務店が競合する場面も増えています。

本記事では、2025年1月公開の動画をもとに、当社代表がアイ工務店の急成長を採用力・出店力・収益力・営業力の4つの視点から分析し、地域の住宅会社がベンチマークすべき点を解説します。同社の営業設計の強みについてはアイ工務店に学ぶ「営業設計」の強みで解説していますので、本記事では経営と組織の仕組みに焦点を当てます。

数字で見るアイ工務店

動画で解説された直近決算の数字を整理すると、注文住宅の会社としては異例の水準であることが分かります。

指標動画内の解説に基づく概算
年間販売棟数約5,000棟
(ハウスメーカーを含め上位)
展示場数約250か所
(うち総合展示場が約200か所)
社員数・営業人数社員約1,900人、
うち営業約1,100人
社員1人あたり販売棟数約2.5棟超
粗利率・経費率粗利率約34%、
経費率約22%
経常利益率1割を超える水準

※2025年1月の動画収録時点での、動画内の解説(公開情報と当社の推計)に基づく概算です。

社員の半数以上が営業で、社員1人あたりの販売棟数が2棟を大きく超える。この規模でこの生産性を実現している会社は、住宅業界ではほとんど例がありません。

アイ工務店の急成長を支える4つの力:中途中心でリファラル採用が多い採用力、展示場をリースで活用する出店力、粗利約34%を確保する収益力、紹介窓口経由でも売り切る営業力

1. 採用力:中途中心で、リファラル採用が多い

アイ工務店の採用は、中途採用が中心です。新卒と中途の比率はおよそ2対8といわれ、近年は新卒も徐々に活躍し始めています。中途採用では、人材紹介会社やヘッドハンティングも活用しています。

ただし、条件の良さで人を集めているだけだと見るのは早計です。本当に見習うべきなのは、社員の紹介によるリファラル採用が多いことです。リファラル採用は、社員が「この会社なら知人に勧められる」と思える魅力的な会社でなければ起こりません。「うちはいい会社だ」と言いながらリファラル採用がゼロの会社は、その前提を見直す必要があります。

同社で働いていた方々がよく口にするのは、経営者自身の魅力です。成長している会社で店長や支店長に早く挑戦できること、成果を出している人が集まっていることも、腕を試したい営業担当者を引きつけています。お金はもちろん大切ですが、お金だけで人は動きません。魅力的なビジョンと、ついていきたいと思えるリーダーの存在があってこそ、人が人を呼ぶ好循環が生まれます。

新しいエリアは「核になる人」から

また、トップ営業を1人ずつ採用するだけでなく、幹部クラスの人材を迎え、その人のもとにメンバーが集まる形もとられています。新しいエリアに出店する際には、その地域で実績のある人材が加わることで立ち上がりが早くなります。人材紹介会社やヘッドハンティングを使う場合も、どの階層の人材を採るために使うのかを経営者が考えておくことが大切です。

2. 出店力:展示場の資産を持ちすぎない

総合住宅展示場への出展を次々と進めると、建物という資産が増え、資金繰りが重くなります。アイ工務店は展示場をリース会社に売却してリースで使う手法をうまく活用し、手元の資金を意識しながら出店のスピードを上げているとされています。

注文住宅は契約金や中間金などで比較的先に入金がある事業ですが、出店を急げば資産が膨らみます。キャッシュフローを意識した出店の仕組みは、規模を問わず参考になる考え方です。資金繰りの基本は住宅会社の黒字倒産を防ぐ資金繰りもあわせてご覧ください。

展示場1か所あたりの販売棟数は、全体を平均すると20棟前後ですが、新しい展示場が次々に増えているため、軌道に乗った展示場ではそれ以上の棟数を販売していると考えられます。

3. 収益力:粗利34%を確保するコスト意識

地域の工務店の経営者からは「アイ工務店は値引きをしているから売れている」という声も聞かれますが、粗利率は約34%を確保しているとみられます。あの仕様の商品をあの価格で提供しながら、しっかり利益を出しているのは、原価に対するコスト意識が非常に高いからです。

経費率は約22%と、決して経費を削っている会社ではありません。採用や出店にしっかりお金を使いながら、それを上回る粗利を確保しているからこそ、高い利益率で成長を続けられているのです。

4. 営業力:紹介窓口の活用と売り切る力

展示場への来場も多い一方で、契約の経路としては住宅の紹介カウンターなど紹介窓口からのお客様の比率が高いとされています。紹介窓口経由では複数社で比較されやすいにもかかわらず、粗利を確保して売り切る営業力があることが強みです。紹介窓口との向き合い方についてはスーモカウンターの仕組みと住宅会社の向き合い方も参考にしてください。

地域の住宅会社がベンチマークすべきこと

  • 人が人を呼ぶ会社になる:リファラル採用が生まれるだけの魅力(経営者のビジョン、挑戦の機会、成果を出す仲間)をつくる
  • 成長段階に応じて中途の力を使う:県外進出など野心的なビジョンを描くなら、中途人材の招へいは欠かせない。新卒は文化をつくる。どちらに重心を置くかは成長段階で変えてよい
  • キャッシュフローを意識して出店する:資産を持ちすぎない出店の仕組みを検討する
  • コスト意識で粗利を守る:値引きではなく原価の努力で、売れる価格と利益を両立させる
人が人を呼ぶ採用の好循環:経営者のビジョンと挑戦の機会があり、成果を出す人が集まり、社員が知人を紹介するリファラル採用が生まれる

急成長する会社に対して、「人を取られた」と身構えたり、反感を持ったりする声もあります。しかし、結果を出している会社から学ぶ点を真摯に見ることこそが、持続的な成長につながります。当社自身も、創業時に住宅会社やコンサルティング会社ではなく、アイ工務店の成長の仕方をベンチマークし、さまざまな経験を持つ人材が集まる組織づくりを目指してきました。

よくある質問

Q. アイ工務店が短期間で成長できた理由は何ですか?

A. 中途中心でリファラル採用も多い採用力、展示場をリースで活用するなどキャッシュフローを意識した出店力、粗利を確保するコスト意識、紹介窓口経由のお客様でも売り切る営業力が組み合わさっていることが大きな要因です。

Q. 地域の工務店がリファラル採用を増やすにはどうすればよいですか?

A. まず社員が知人に勧めたくなる会社であることが前提です。経営者がビジョンを語り、成果を出した人が挑戦できる機会をつくり、魅力的な人が集まる組織にすることが、リファラル採用を生む土台になります。

Q. 中途採用を増やすと社風が崩れませんか?

A. 新卒は会社の文化をつくり、中途は成長のスピードを生みます。どちらも大切で、成長段階に応じて重心を変えてよいものです。県外進出など大きく伸ばす局面では、中途人材の力を取り入れることが欠かせません。

成長戦略・組織づくりのご相談はピュアグロースへ

ピュアグロースでは、大手・急成長企業の分析をもとにした成長戦略や出店計画、採用・組織づくりまで、住宅会社・工務店の経営を支援しています。

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