「経験を積んできたのに、ここ数年は契約数が頭打ちになっている」
「お客様に嫌われたくなくて、言われるがままに土地案内を続けてしまう」
営業経験が長くなるほど、自分のやり方の限界を感じる瞬間があります。宮崎県のピースホーム様で店長を務める入社7年目の営業の方も、まさにその壁にぶつかっていました。年間の契約は5〜8棟、良い年で9棟ほど。「知識も経験もついたが、これ以上は成績が上がらないのではないか」と不安を感じていたといいます。
そこから元一条工務店のトップ営業である当社コンサルタントの支援を受けて約半年。契約率は10%ほどから40%を超えるまでに上がり、期の途中ですでに自己ベストの棟数に到達しました。本記事では、その変化を生んだ初回接客の組み立て方と「お客様教育」の考え方を解説します。
何を変えたのかと聞くと、答えは「全部変えた」でした。以前は多くの営業と同じく、初回の打ち合わせで自社商品の良さをどれだけ伝えるかに力を注いでいました。今は、初回接客で最初にやるのは徹底したヒアリングです。「いかに今までヒアリングをおろそかにしていたかが分かる」というほど、聞く内容が変わりました。
当社コンサルタントが推奨する大まかな流れは次のとおりです。

この流れの中で最も重視しているのが、初回のアンケートを使ったヒアリングです。初回接客の重要度のうち7割を占めると考えています。アンケート自体はどの会社もとっていますが、さらっと済ませてしまうのは非常にもったいないことです。
こうしたことを漏れなく拾っていくほど、このお客様がどこでつまずきそうか、つまり契約の阻害要因があぶり出せます。阻害要因が見えれば、それをどこでどう解消するかという戦略が立てやすくなります。「聞くこと」自体がゴールになるとヒアリングは浅くなります。「後でこういう要因が出るかもしれないから、今のうちに聞いておく」という目的意識を持つことで、商談の途中で壁にぶつかることが減ります。
初回の打ち合わせは2時間で変わりませんが、以前の説明内容を削り、アンケートのヒアリングに30分、長いときはそれ以上をかけるようになりました。以前は「あいさつ→展示場の案内→ヒアリング」の順でしたが、今はヒアリングをしてから案内する流れです。
総合展示場では「まず建物を見ないとお客様は話を聞く気にならない」という声もありますが、当社コンサルタントは「まったく関係ない」と言い切ります。お客様が何を求めているかによって、見せ方や見せるポイントは変わります。それが分からないまま案内するのはもったいない。先にヒアリングしておくと、案内中のお客様の表情も良く、話もしっかり聞いてもらえるようになったといいます。
もう一つの大きな変化が、伝えるべきことをしっかり伝えるようになったことです。以前は嫌われたくないという気持ちから、お客様の言うことにすべて「はい」と答え、「では次回は土地をご案内しましょう」と進めていました。しかし振り返ると、それはお客様のためではなく、契約を取りたい営業のためだったと気づいたといいます。そしてその姿勢は、お客様からも見えてしまいます。
当社コンサルタントは、支援先の営業にこう伝えています。お客様は家づくりを経験したことがない、いわば素人です。そういう方が望むことは、間違っていることも多い。間違いを正さなければ、間違ったまま進んでしまう。だから最初に、間違いは間違いとして正しましょう、と。これを「お客様教育」と呼んでいます。
お客様の目線に立って入居時期などの条件を詰めていくと、無理に押さなくても話が具体的になり、他社は自然と候補から外れていきます。その結果、以前は1件の契約に半年ほどかかっていたリードタイムが、1か月〜1か月半ほどに縮まりました。
土地案内のアポイントは取りやすいものですが、お客様が土地を探している状態だと、他社にも目が向きやすくなります。これも嫌われたくない営業の理由づけになりがちです。そこで、土地から探すとどんな失敗が起こりやすいかをきちんと伝え、まずはこの会社で建てるかどうかを決めてもらいます。
お客様がこの考え方に納得すると、逆に土地から提案してくる他社の営業が悪く映るようになります。担当者の評価が上がり、お客様は「この人と家づくりをしたい」と一社に絞っていきます。土地は後から決めても十分で、むしろ早くベストな土地が決まります。予算を聞かない資金ヒアリングや、建物から決める家づくりの進め方については、住宅営業はお客様の予算を聞くな|競合しにくい資金ヒアリングと家づくりの進め方でも詳しく解説しています。
今はどの会社も断熱性能を高めており、各社が等級やUA値の細かな差を競い合っています。しかし、0.01の差が生活にどう影響するかはお客様には分かりにくく、非常に戦いづらい土俵です。今は性能の数値の話はほとんどせず、電気代の目安や見学会場での体感を通じて「こういう暮らしをしたいか」を確かめるだけで、商談が格段にしやすくなったといいます。
当社コンサルタントは、競合対策にはそれほど力を入れなくてよいとも伝えています。競合の情報を正しく入手するのは難しく、情報がずれていると対策もすべてずれるからです。最も強いのは、そもそも競合しないこと。仮に競合しても、お客様教育ができていれば、お客様の方から「他社にこんなことを言われた」と相談してくれます。それが一番の競合対策になります。

支援では、まず営業自身が自分の強みと弱みを把握することを重視しています。年間の目標を接客数・アポイント数・申し込み数・契約数まで分解して毎月に割り振り、実績を入力していくと、目標とのずれがパーセンテージで見えます。数値が低いところが弱点なので、そこを強化するという進め方です。
営業はどうしても今月の契約や今月の接客にとらわれ、「来月もっと頑張る」という抽象的な目標になりがちです。年間の数字から逆算しておけば、すぐに進まないお客様についても「半年後の契約なら、その1か月前に申し込み、さらにその前にこの打ち合わせ」と年間のスケジュールを組み立てやすくなります。
支援は月1回の訪問と、毎週の短時間のオンライン打ち合わせです。毎週の打ち合わせでは直近の案件について、どこまでヒアリングできているか、次にどんな手を打つか、浅かった部分は次回どう聞くかを確認します。営業部長の代行に近い役割です。社内の店長や部長が同じように正しい助言をしながらサポートできれば、同じ効果が期待できます。
当社コンサルタントが評価するのは、教わったことを即座に取り入れて実行するフットワークの軽さです。多くの営業は、聞いた内容を咀嚼して実行に移すまでに時間がかかります。さらにこの方は、「コンサルタントならどうするか」を一度自分で考えてから相談し、返ってきた答えと自分の考えが一致しているかを確かめています。
本人は「コンサルが正解だとは思っていない。ただ、やってみれば正解か不正解かは数字で出る」と話します。まず素直にやってみて、数字で判断する。その姿勢が、7年目での大きな飛躍につながりました。
A. ヒアリングを先にするのがおすすめです。お客様が何を求めているかによって、見せ方や見せるポイントが変わるためです。アンケートをもとに考え方や知識レベル、家づくりへの思いを聞いてから案内すると、お客様の反応も良くなります。
A. 家づくりが初めてのお客様の要望には、間違っているものも少なくありません。お客様の目線に立って理由を説明し、正しい進め方を伝えることで、かえって信頼が高まります。言われるがままに進める営業は、お客様からも「契約を取りたいだけ」と見えてしまいます。
A. 初回接客のヒアリングです。お客様の考えや思いを漏れなく聞き、契約の阻害要因をあらかじめ洗い出すことで、どこで何を解消するかの戦略が立てられます。あわせて年間目標を毎月の接客数・アポイント数・申し込み数に分解し、弱いところを把握しましょう。
ピュアグロースでは、元一条工務店のトップ営業をはじめとする実務家コンサルタントが、初回接客の組み立てから案件ごとの打ち手、数字の管理まで、営業部長の代行のように伴走しています。